かくれ冷え症:冷え症とアトピー性皮膚炎の関係性

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手足などに慢性的な冷えを感じる「冷え性」の人は、年々増加傾向にあります。さらに、このような自覚を持たずに身体が冷えている「かくれ冷え症」と呼ばれるケースも増えつつあります。

このような人は、平熱が35℃以下であったり腹部がいつも冷たかったりします。つまり、手足などが冷えていなくても、身体の内部が冷えているということがあるのです。

また、アレルギー患者も年々増加しています。これには、さまざまな要因が重なっており、一つの原因によるものではありません。そして、アレルギー症状の一つである「アトピー性皮膚炎」も例外ではありません。

アトピー性皮膚炎では、「身体の内側が冷えて皮膚が熱を持つ」という症状が現れます。そのため、冷え症もアトピー性皮膚炎の原因の一つであるといわれています。

そこで、ここではアトピー性皮膚炎と冷え症の関係性について述べていきます。

身体の内側が冷えるメカニズム

現代人は、身体の内側が冷えやすい傾向にあります。外出時に購入できる飲料の多くは冷えていますし、忙しさや経済的な理由から入浴をシャワーで済ませる人が多いです。さらに、現代人のほとんどが抱える「ストレス」は、身体の内部を冷やす大きな要因になります。

ストレスを感じると、血液を筋肉や脳に優先的に送り、身体能力を一時的に向上させてこれを回避しようとします。このとき、消化器官や生殖器官などは後回しにされて血流が悪くなります。

この状態が長く続くと、消化器官などの組織に酸素や栄養素が不足します。すると、腹部の組織による熱産生量が低下して腹部が冷えやすくなります。また、腹部の血行が悪化すると血液が停滞するため、熱が腹部に運ばれにくくなります。

このような理由から、現代人は身体の内側が冷えていることが多いのです。

アトピー性皮膚炎と冷え症の関係性

前述のように、アトピー性皮膚炎はさまざまな原因によって起こりますが、その原因の一つにタンパク質の分解不良が挙げられます。

食事で摂取したタンパク質は、このままでは大きすぎて吸収できないため、たくさんの「アミノ酸」に分解されて腸管から吸収されます。

タンパク質がアミノ酸に分解されるとき、「ポリペプチド」という過程を経ます。ポリペプチドとは、アミノ酸がいくつかつながった状態のことをいいます。

吸収されたアミノ酸は再度合成されてタンパク質になり、身体の一部となります。ただ、人間の身体には、ポリペプチドをタンパク質に再合成する仕組みが備わっていません。そのため、身体にはポリペプチドをアミノ酸に分解し、アミノ酸を原料にタンパク質を合成するという仕組みがいくつか備わっています。

ただ、このようなポリペプチドの分解には「酵素」の働きが必要です。そのため、酵素が少なくなっていたり働きが弱かったりすると、ポリペプチドのまま身体に吸収されることがあります。

酵素がきちんと働くためには、一定の温度が必要です。酵素が働くために最適な温度は、36.5~37℃程度といわれています。

つまり、身体の内部が冷えていると、酵素の働きが弱くなることによってポリペプチドが身体に吸収されやすくなるのです。

さらに、身体の内部が冷えているということは、消化器官の血行が悪いということです。血行不良によって消化器官に酸素や栄養素が不足すると、消化器官の働きが低下します。すると、ポリペプチドをアミノ酸に分解する仕組みが働きにくくなり、ポリペプチドのまま吸収されやすくなります。

このようにしてポリペプチドが体内に吸収されると、各組織に届けるために血液中に流れ出ます。ただ、前述のように、ポリペプチドは組織の材料にはならないため、身体に異物と認識されます。

身体に異物が侵入すると、白血球がこれを排除しようとします。そして、身体が異物を覚えて、再び身体に同じ物質が入ったときにアレルギー反応が起こります。このようにして、ポリペプチドはアレルギーの原因となります。

以上のことから、身体の冷えはタンパク質の分解不良を招くため、アトピーなどのアレルギー症状を起こしやすくするといえます。

アトピー性皮膚炎改善のための冷え症対策

前述のように、アトピー性皮膚炎を改善するためには冷え症対策が有効といえます。ただ、一般的に、身体が温まると痒みがひどくなります。

アトピーを良くするために身体を温めても、痒くなってかきむしってしまうと、改善どころか悪化してしまいます。そのため、身体を温め方に工夫が必要です。

前述のように、腹部が冷えるとアレルギー反応が起こりやすくなります。そのため、アトピーを防ぐためには腹部を温めることが大切です。

前述のように、冷たい飲料は消化器官をダイレクトに冷やすため、避けることが賢明です。また、薄着を避けて腹巻きやカイロなどで腹部を温めると、アレルギー症状が起こりにくくなります。

アトピーがある人は、痒みが起こるという理由で湯船に浸からないことがあります。ただ、シャワーによる入浴は身体を冷やすだけではなく、皮膚の乾燥を招きます。皮膚の乾燥は、アトピーを悪化させる原因の一つです。

湯船に浸かるときは、お湯の温度を温め(38℃程度)にすることが大切です。熱い湯は肌を刺激するため、痒みの原因になります。

また、入浴時間は最大20分程度を目安とし、長湯は避けるのが無難です。長時間湯に浸かると、肌が持つ保湿成分が湯に流出して肌が乾燥しやすくなります。また、入浴後は乾燥しやすいため、すぐに保湿をすることが大切です。

通常、冷やすと痒みが引きます。そのため、痒みがひどいときに皮膚を冷やす人が多いです。ただ、冷やし終わって皮膚の温度が戻ると、強い痒みが起こることがあります。

さらに、皮膚が冷えることによって皮膚のバリア機能が低下し、アトピーが悪化しやすくなります。そのため、アトピー対策で冷やすことはオススメできません。

また、皮膚から液体が出るアトピーでは、身体が過剰に冷えやすくなります。これは、汗が体温を下げるのと同様に、皮膚表面の液体が蒸発するときに体内の熱を奪っていくためです。そのため、このような症状がある人は身体の冷えを疑い、冷え対策を行う必要があります。

前述のように、アトピー性皮膚炎の原因は一つではありません。そのため、冷え症の改善だけでアトピー性皮膚炎が治るとはいえません。

ただ、冷え症はアトピー性皮膚炎などのアレルギー症状を起こしやすくすることは事実です。そのため、これまでに述べたような冷え症対策を行うことによって、アトピー改善に近づくことができるはずです。