アトピーと喘息との関係:腸内環境が喘息やかゆみに関わる

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アトピーは皮膚に異常がみられる病気です。一方、喘息(ぜんそく)は肺の異常によって起こるものです。一見すると、両者はお互いに関連性がないもののように思えます。しかし、アトピーでのかゆみと喘息は、大きな関係があるとされているのです。

肺と大腸には、独特な関係がある

中医学では、肺と大腸には独特の関係があるとされています。その内容は、大腸の状態が悪くなると、それに合わせて肺の状態も悪化するというものです。

たとえば、腸の中に存在する悪玉菌(宿主の体内で宿主にとって悪い働きをする菌)の数が増加し、腸の環境が悪い方向に向かうとします。その場合、それによって肺の具合が悪くなり、喘息などが起こるというわけです。このことは、研究によって判明した事実とされています。

その研究方法としては、まず被験体となる哺乳類の動物に、大量の抗生物質を投与します。すると、その動物は下痢を起こします。また、抗生物質が腸内の細菌を死滅させるため、自身の腸の中にほとんど菌が存在しない状態になります。その結果、カビの一種であるカンジタ・アルビカンスが、被験体の動物の腸の中に発生してしまったのです。

カンジタ・アルビカンスというカビが腸の中に1度でも発生した場合、そのカビが体内で増殖していきます。それにより、体内に存在するカビの数が次第に増加していくことになります。

さらにカンジタ・アルビカンスは、プロスタグランジンE2という炎症物質の生産を行います。生産された炎症物質は、水分とともに腸で吸収されます。腸から吸収された炎症物質は、血管を介して肺に送り込まれます。

肺に炎症物質(プロスタグランジンE2)が存在する場合、免疫を担当する細胞であるマクロファージが、その異常を感じ取ります。すると、「毒が体内に侵入した」と白血球が感知し、肺を攻撃するようになります。

その結果、被験体の動物は、喘息の発作を起こしてしまうという研究結果が出たのです。それでは、この実験結果がアトピーにどのように関係するのでしょうか。

アトピー患者の腸内の状態

私たちの体にある腸の中には、乳酸菌などの善玉菌(宿主の体内で宿主に有益な働きをする菌)と悪玉菌がそれぞれ存在しています。

アトピー患者の方の腸内では、大量の悪玉菌が存在するとされています。大腸の中に多くの悪玉菌が存在していれば、当然、腸の環境は悪くなってしまいます。そして、腸内の環境の悪さの度合いによっては、カビの発生を招いてしまうのです。

そして、腸内中の環境の悪さの度合いによっては、悪玉菌に該当するカビである「カンジタ・アルビカンス」の発生を招いてしまうのです。

アトピー患者の方が抗生物質を摂った場合、先ほどの動物実験と同じように、悪玉菌にあてはまるカンジタ・アルビカンスというカビが生え、喘息を起こす恐れがあります。

しかしその一方で、先ほどの動物実験とは異なり、場合によっては善玉菌が大腸内で増加するときもあります。この場合、腸内で増えた善玉菌により、乳酸や酢酸などが腸で数多く生産され、腸の中が酸性に傾きます。これにより、大腸の中に発生していたカンジダ・アルビカンスが減少し、喘息の症状がやわらいでいきます。

ただ、事態はそう単純ではありません。皮膚の健康には、ビオチンやビオチン生成に関わるアシドフィルス菌が関わっています。このとき、アトピー患者の腸内で増加する善玉菌には、ビオチンやアシドフィルス菌を食べる「フェーカリス菌」も含まれています。

つまり、増加したフェーカリス菌により、腸の中に存在するビオチンやアシドフィルス菌が次々に食べられてしまうのです。さらに、それに合わせて、フェーカリス菌の数も増加していくことになります。

これらの結果として、喘息の症状が治まった一方で、アトピーのかゆみの症状が現れてしまうのです。アトピーでは、皮膚の健康状態に大きくかかわっている栄養素として、ビオチンが非常に重要だからです。この場合には、動物実験で現れたような喘息の代わりに、かゆみを生じてしまうようになるのです。

つまり、アトピー患者が抗生物質を飲むことにより、「腸内でカンジダ・アルビカンスが増えて喘息が起こる」、もしくは「大腸内でフェーカリス菌が増えてかゆみが起こる」という恐れがあるというわけです。

こうしたことから、アトピー患者の方が抗生物質を服用するのは、なるべく避けた方が良いです。

また、抗生物質は薬剤として飲むだけでなく、肉や魚などの食材にも含まれています。アトピー患者の方の場合、これらの食材を摂ることには慎重になった方が良いです。