便秘の人で、便意や排便が消失する原因とそのチェック法

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便秘は多くの日本人が悩まされている症状です。そして、便秘の症状の中にもさまざまな病態があるため、その訴えは人それぞれです。

通常では、便が直腸に到達すると「便意」が生まれ、その後に排便が起こります。しかし、便秘の人の中には、この便意すら生じない人もいます。これは、下剤に依存している人に特に多く見られます。下剤の服用量が多くなるほど、「便意の消失」 を生じるようになるのです。

そこで今回は「便意の消失」について、そのメカニズムからチェック方法まで解説します。

便意が生じると排便が起こる

正常な人では、大腸の「S状結腸」と呼ばれる部分に便が溜まり一定量を超えると、腸の内圧が高まることによって一気に直腸に押し出されます。直腸に便が移動すると、その刺激によって「便意」が生まれます。これは専門用語で「直腸反射」と呼びます。

通常では、排便は自分の意志によってある程度までは我慢できます。これは、排便に関わる「肛門括約筋」のうち、外側にある「外肛門括約筋」は自分の意志によってコントロールできる筋肉であるためです。

筋肉には、自分の意志でコントロールできない「不随意筋」と、自分の意志でコントロールできる「随意筋」があります。例えば、心臓の筋肉や血管の筋肉は不随意筋です。

外肛門括約筋はこのうちの随意筋であるため、その筋肉を意識的に働かせ、肛門を締めることによって排便を我慢できるのです。

つまり、排便は便意とともに、「排便しよう」という意志と、腹筋など腸を圧迫し便を押し出す筋肉の収縮があって初めてスムーズに行われるということです。そのため、便を出すという行為は一見簡単そうで複雑なものなのです。

一方、便意が消失している人は、この流れが上手くいきません。直腸に便が入っても、その指令が上手く脳へ伝わらず便意を生じないのです。そのため、便がどんどん腸に溜まってしまいます。

このような状態になると、便秘という症状だけでなく、「お腹の張り感」や「お腹の痛み」などさまざまな症状が強く表れます。そのため、また下剤に手を出してしまい、依存してしまうのです。

内臓の感覚が弱くなるために便意がなくなる

便意の消失は、内臓の感覚がなくなるために起こります。内臓の感覚というと、イメージがつきにくいかもしれません。 これを医学的には「内臓感覚」といって、一般的に知られる視覚や聴覚などと同様に、人間に備わっている感覚とされています。

内臓感覚とは、心臓や肺、胃腸などの臓器から生じる感覚のことを指します。空腹感や満腹感もこれに含まれます。

内臓感覚は、内臓に刺激が加わり、その刺激が神経を介して脳に伝えられることによって起こります。また、内臓感覚は自律神経や免疫にも影響を及ぼすとされており、人間にとって大切な感覚になります。便意の消失は、このように人間にとって重要な内臓感覚が障害されているために起こる現象です。

内臓感覚のチェック法

内臓感覚は、専門的には内視鏡を使って検査します。しかし、それでは手間がかかり過ぎるため、ここでは簡単にできるチェック法をお伝えします。

以下の10項目に当てはまるものがある場合は、内臓感覚に何らかの問題がある可能性があります。

① 1日に1~2食しか食べない
② お腹がごろごろと音がしない
③ 水をあまり飲まない
④ 下腹部に張り感がある
⑤ 便意がない
⑥ 薬を使わないと排便できない
⑦ 1年以上、毎日薬を飲んでいる
⑧ 何もしないと全く便が出ない
⑨ グリセリン浣腸を行ったことがある
⑩ 排便がなく、お腹が張ると胸やけも出てくる

以上のように、便意は排便において必要な感覚です。そして、その感覚の消失は、内臓感覚の障害によって起こっています。もし、以上のチェック項目で当てはまる項目が3つ以上あった場合は、 生活習慣を改善するなどの対処法が必要です。