妊娠中に生じる便秘の原因と対策

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便秘は、多くの女性が経験する身近な病気です。便秘が重症化すると、食欲不振や吐き気などが起こることもあります。女性の便秘は、ダイエットによる食事制限や、筋力の低下、ホルモンバランスの乱れなどによって起こることが多いです。

特に妊娠中は、便秘になりやすい時期です。妊娠中の便秘には、女性ホルモンの一つ「プロゲステロン」が影響しています。

そこで、ここでは妊娠中の便秘のメカニズムについて解説し、予防や改善に有効な生活習慣について述べていきます。

プロゲステロンによる便秘への影響

排卵後、卵子を包んでいた卵胞(らんぽう)は「黄体(おうたい)」という組織に変化します。黄体は、プロゲステロンを分泌して妊娠に備えた身体作りを行います。また、黄体の寿命は約14日です。そのため妊娠が成立しない場合は、排卵後約14日でプロゲステロンの分泌が低下します。

妊娠が成立すると胎盤がプロゲステロンを分泌し始め、妊娠32~39週まで分泌量が増加します。そのため、分娩によって胎盤が排出されるまで、体内にプロゲステロンの多い状況が続きます。

プロゲステロンは、流産を防ぐために子宮の筋肉を弛緩させます。このとき、子宮の近くにある腸を動かす筋肉も弛緩させます。そのため、便を体外に排出する力が弱くなり、便秘になりやすくなります。

また、プロゲステロンは体内に水分を溜め込む働きがあります。摂取した食物の水分を吸収しやすくなり、便の水分が減ります。そのため便が固くなり、排出が困難(=便秘)になりやすくなります。

妊娠中の便秘

前述のように、妊娠中はプロゲステロンが多く分泌されています。便秘になりやすい状況が長く続くため、重症化する人も少なくありません。

また、妊娠中の水分不足も便秘を引き起こします。妊娠中の母体の血液量は、ピーク時で1.3~1.6倍に増えます。さらに、羊水はピーク時で800mlといわれており、3時間ごとに新しく入れ替わります。このように妊娠中は水分を多く必要とするため、便から多くの水分を吸収します。そのため便が固くなり、便秘になりやすくなります。

このような理由から、妊娠中は意識して水分補給を行うことが大切です。ただ、緑茶や紅茶、コーヒーなどのカフェインを含む飲料は排尿を促すため、水分補給には向きません。麦茶などのノンカフェイン飲料で水分補給をしましょう。

ルイボスティー(ルイボス茶:ハーブティーの一種)はノンカフェインな上、妊娠中に不足しがちな鉄分を多く含みます。そのため、妊娠中の水分補給におすすめです。

また、妊娠中における運動量の低下も便秘の大きな要因の一つです。歩行は腸を動かす筋肉を刺激するので、妊娠中の便秘対策に最適な運動です。また、適度な日光浴はストレス解消にもなります。ストレスも便秘の原因になるので、ゆったりした気持ちで散歩を行うことが便秘対策に有効です。

妊娠中の便秘対策

便秘予防には、食生活の改善が有効です。食物繊維の多い食事は便秘の予防・改善につながります。食物繊維には「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」があります。働きに差はありますが、どちらも便秘の予防に大切な食物繊維です。

食物繊維は、野菜や穀物、海藻などに多く含まれます。特に、根菜や未精製穀物に多いです。そのため白飯や食パンを、玄米や雑穀ご飯、全粒パン、ライ麦パンなどに置き換えると効果的に食物繊維を摂取することができます。

食物繊維を加熱すると、膨張して腸を刺激します。また、加熱することによってかさが減るため、食材を多く食べることができます。

そのため、野菜などを加熱して食べることが便秘予防に効果的です。ただ、水溶性食物繊維は水に溶けるので、汁までのむことが大切です。

ただ、すでに重度の便秘が起きている場合、食物繊維が便に絡まって悪化することがあります。また、吐き気や食欲不振を伴った便秘の場合、栄養不足によって胎児へ影響が出ることがあります。自己判断で解決しようとせず、医療機関にかかることが大切です。

妊娠中における軽度の便秘は、市販の医薬品によって治療することが可能です。ただ、作用の強いものを選択すると子宮の収縮(=流産)が促されることがあります。そのため、薬は必ず専門家に相談して使用するようにしましょう。