臭くないのに「体臭でクサイ」と思い込む病気:自己臭恐怖症

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体臭は多くの人が悩むものです。身体から発するニオイのほとんどは、汗や皮脂から作られます。そして、汗や皮脂は誰でも分泌するものであるため、体臭は全ての人に起こるものだと言えます。

ただ、その体臭の程度が強いために悩んでいる人は少なくありません。そして、自分の体臭を気にし過ぎることで、日常生活に弊害が出ている人もいます。今回は、そのような体臭を気にし過ぎる病気「自己臭恐怖症」について述べます。

ニオイは印象を作る

体臭は、あなたのイメージを作る大きな要素です。いくら年齢を重ねて「年だから気にしないでおこう」と考えている人でも、体臭があるのは事実ですし、周りの人からは「あなたのニオイ」として認識されています。

あなたの印象は、話し方や仕事への取り組み方、見た目など、さまざまな要素で形成されています。ただ、そのような中でも、体から発する「ニオイ」というものは、人のイメージを作る大きな要因になります。なぜなら、ニオイは人の「好き嫌い」という感情に直接左右する感覚であるからです。

人間には、「視覚」「聴覚」「嗅覚」「触覚」「味覚」という5つの感覚機能があります。これらは、外からの刺激が脳に届くことで形成されます。

この5つの中でもニオイを感じる嗅覚以外の4つの感覚は、「大脳新皮質」と呼ばれる部位に情報が送られます。そして、この大脳新皮質で情報が統合され、目の前にあるものに対する感情が作られます。

一方、嗅覚は脳の中でも大脳新皮質ではなく、「大脳辺縁系」と呼ばれる部位に情報が直接送られます。そして、この大脳辺縁系は、感情や記憶と深く関係している場所だと言われています。そのため、ニオイは感情や記憶などに直接的に影響を与える感覚と言えます。

あなたも、ニオイが記憶と関係していると感じたことはあるのではないでしょうか。例えば、畳や線香のニオイがすると、昔よく行っていた田舎にある祖母の家を思い出したり、塩のニオイがすると、子供のころ旅行に行った島の風景が浮かんだりするなど、多くの人が「ニオイと記憶が関係している」ことは、実感したことがあるはずです。

そのことと同様に、ニオイは感情とも直結しています。そのため、5つの感覚の中でも、ニオイはあなたの印象に最も影響を与えるものだと言えます。

自己臭恐怖症

このように、あなたのイメージに影響するものですので、体のニオイを気にすることはとても大切なことです。体臭をコントロールすることで、周りの人に与えるあなたの印象は大きく変わるのです。

ただ、体臭を気にし過ぎるのも問題があります。ニオイを過剰に意識することで起こる病気に「自己臭恐怖症」というものがあります。

自己臭恐怖症とは、実際には、そんなに臭っていないにも関わらず、「自分の体臭は強い」「周りの人は自分のことを臭いと思っている」など、妄想や思い込みによって体臭に悩まされる病気です。そして、自己臭恐怖症は、最終的に「対人恐怖症」に陥ってしまう可能性があります。

自己臭恐怖症の人では、実際にはその人が気にするような強い体臭はありません。その人の脳が作り出している勘違いに過ぎないのです。

このような場合、病院などでニオイに対する適切な検査を行うことが有効になります。ニオイを客観的に表す検査を行い、そこでニオイが強くないことを確認することで、自己臭恐怖症は解消します。

そのため、自己臭恐怖症が疑われるような人は、一度、体臭の専門医に診てもらうようにしてください。

今回述べたように、ニオイはあなたの印象を作る大きな要素です。ただ、気にし過ぎは、人とのコミュニケーションを妨げるきっかけになります。体臭はコントロールすることも必要ですが、過剰に意識しないようにすることも大切です。