糖尿病に罹るとがんの発症リスクが高くなる

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糖尿病は血糖値が異常に高くなる病気のことを指します。血液中にたくさん糖が存在することで毒性を生じるようになり、細い血管に障害が表れるようになります。

特に腎臓や網膜の血管は障害されやすく、腎症や網膜症を発症します。また、神経障害を起こすことで手足のしびれを引き起こすことがあります。

これらの合併症だけでなく、糖尿病患者ではがんの発症リスクが高くなります。一見すると、糖尿病とがんは関係なさそうに思えますが、両者は深い関係があると学会でも発表されています。

糖尿病によってがんになる

日本糖尿病学会や日本癌学会の発表によると、糖尿病患者とそうでない人を比べたところ、糖尿病を発症している人はがんに罹るリスクが1.2倍だったと報告されています。特に大腸がんでは1.4倍、肝臓がんでは1.97倍、すい臓がんでは1.85倍にもなったとされています。

糖尿病では血糖値が高くなっているため、血糖値を下げるためにインスリンが放出されます。血糖値を低下させる唯一のホルモンがインスリンです。ただ、糖尿病患者ではインスリンの効き目が悪くなっているため、さらにインスリンが分泌されます。

インスリンには細胞の増殖を促す働きがあるため、高いインスリン濃度が維持されることによって細胞のがん化が促されるのではと考えられています。また、高い血糖値が維持されると細胞の炎症が引き起こされます。このような長く続く炎症が細胞のがん化に関わっているともいわれています。

なお、糖尿病には1型糖尿病と2型糖尿病の二種類あります。1型糖尿病は若くて痩せている人でも発症する糖尿病であり、インスリン分泌機能が完全に破壊されています。

一方、多くの人が罹るのが2型糖尿病です。2型糖尿病が糖尿病患者の9割以上であり、肥満や飲酒、喫煙、ストレスなど生活習慣の乱れによって起こります。糖尿病によってがんリスクが高まるというのは、2型糖尿病患者のことを指します。

糖尿病で肝臓がんやすい臓がんが増える理由

それでは、なぜ糖尿病患者では特に肝臓がんやすい臓がんなどを発症しやすくなるのでしょうか。例えば、肝臓がんであれば、脂肪肝が関係していると考えられています。

脂肪肝とは、肝臓の30%以上が脂肪である状態を指します。2型糖尿病では肥満や運動不足によって体に脂肪を蓄積している人が多く、このときの脂肪は肝臓にも溜まっていきます。こうして、脂肪肝になっていきます。

脂肪肝といえば、大量のアルコールを飲む人がなるイメージがあります。ただ、少量のアルコールを飲む人でも脂肪肝になることがあり、この状態が進行することで起こる炎症を非アルコール性脂肪肝炎(NASH)といいます。

非アルコール性脂肪肝炎(NASH)では炎症が起こり、肝臓が硬くなる肝硬変を生じ、さらに症状が進行することで肝がんへと移行していきます。

また、すい臓がんであれば、インスリンはすい臓から分泌されるため、すい臓を酷使する糖尿病患者はすい臓がんを発症しやすくなります。

糖尿病が腎臓や目、心臓の機能を低下させることは知られているものの、がんと密接に関係していることまで理解している人は少ないです。糖尿病は高インスリン状態や慢性的な炎症により、あらゆる病気を悪化させる危険性を含んでいるのです。

糖尿病の治療では薬を服用するよりも、生活習慣を正すことの方が重要です。食生活や運動習慣を見直すことで、がんを含めたさまざまな疾病が改善されます。