糖尿病の3大合併症:腎症、網膜症、神経障害

1a824286457fbae7e12e5243a526de1b_s

糖尿病とは、血糖値(血液中の糖濃度)が高くなってしまう病気のことを指します。それでは、なぜ血糖値が高くなると体に悪いのでしょうか。糖はエネルギー源として重要な栄養素であるため、血液中に多く含まれるのは良いことのように思えます。

実は、一見すると毒性を示さないように思える「糖分」であっても、その量が多すぎると毒性を示すようになります。これを糖毒性といいます。糖尿病を発症すると、糖毒性によって体に障害が表れるようになるのです。

糖尿病の3大合併症

生活習慣病の一つとして、糖尿病が知られています。これら生活習慣病には他にも高血圧や脂質異常症などがあります。こうした生活習慣病は「血管にダメージを与える」という共通点があります。

「人は血管と共に老いる」といわれいますが、血管の状態によって健康に過ごせるかどうかが決まってしまうともいえます。

血糖値が高いと、糖は血管壁に存在するタンパク質(コラーゲンなど)に付着することで変性していきます。こうして生成される「変性した糖」を専門用語でAGE(終末糖化産物)といいます。「糖が姿を変えた最終的な産物」であると考えてください。

AGEが作られると、血管の弾力性がなくなっていきます。血管が硬化したり詰まったりしてしまうのです。このように考えると、糖尿病は血管病ということができます。

糖尿病による血管の障害は「細い血管」で起こりやすいです。例えば、腎臓は血液中の老廃物をこしとることで尿を生成します。このときは微細な毛細血管によって尿が作りだされます。

ただ、腎臓に張り巡らされているような細い血管では、前述の通りダメージを受けやすいです。腎臓の血管が固くなると、うまく尿を生成できなくなります。その結果、腎臓の機能が低下していきます。

いわゆる腎症といわれ、糖尿病によって発症するため糖尿病腎症と呼ばれます。腎臓は老廃物の排出に重要な器官であるため、腎機能が低下すると体内の毒素を外へ出せなくなります。そこで、一度血液を外に出してろ過した後、再び体内へ戻す「人工透析」と呼ばれる作業が必要になります。

人工透析の導入となる患者さんのうち、糖尿病を原因とする人が最も多いとされています。

また、高血糖状態は網膜の血管へも障害を与えます。最初は小さな出血が起こる状態からはじまり、徐々に症状が進行していきます。

最終的には網膜で新たな血管が作られるようになり、この現象を専門用語で血管新生といいます。このとき作られる血管は脆弱であるため、すぐに出血してしまいます。これによって網膜がはがれるなど、視力が低下していくのです。

こうした症状を糖尿病網膜症といいます。糖尿病網膜症は失明原因の上位です。

さらに、糖尿病では神経障害も問題となります。細い血管が障害されると、血流が悪くなります。その結果、神経への栄養供給が途絶えてしまいます。これによって神経系に異常が起こるようになり、発汗異常や立ちくらみなどさまざまな症状が表れるようになります。

また、神経の障害が起こっているため、痛みを生じることがあります。人によっては足などが壊疽(えそ:腐ってしまうこと)することで、切断しなければいけなくなるケースもあります。

糖尿病の3大合併症は、これら「糖尿病腎症」「糖尿病網膜症」「糖尿病神経障害」の3つを合わせたものを指します。

diabetes-a1

糖尿病による大血管障害

小さい血管だけでなく、糖尿病では太い血管に対してもダメージを与えます。細い血管が固くなるだけでなく、大きな血管に対しても動脈硬化を引き起こさせるのです。

太い血管が障害されることによって起こる病気としては、脳梗塞や狭心症、心筋梗塞、閉塞性動脈硬化症などが知られています。

いずれにしても、糖尿病ではこうした合併症が問題になります。「血糖値が高い状態」によって健康が害されるというよりも、高血糖状態によって血管が蝕まれ、その結果として生じる合併症によって日々の生活が困難になってしまうのです。

合併症が問題となるため、糖尿病では多くが自覚症状をあまり感じないまま進行します。そのために注意しにくい病気ですが、合併症を予防するために早目の対策が必要になります。