α-グルコシダーゼ阻害薬の効果と副作用:ベイスン、グルコバイ

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糖尿病や高血圧、脂質異常症などは生活習慣病として知られています。糖尿病は罹患者数が多く、血糖値が異常に高くなっています。これら糖尿病では、血糖値が高くなることによる合併症が問題になりやすいです。

そこで、糖尿病による合併症を防ぐために投与される薬として、α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)と呼ばれる種類の医薬品があります。α-グルコシダーゼ阻害薬としては、以下のような薬があります。

・グルコバイ(一般名:アカルボース)

・ベイスン(一般名:ボグリボース)

・セイブル(一般名:ミグリトール)

α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)と糖尿病

糖は3大栄養素の一つであるため、私たちにとって不可欠です。ただ、血液中の糖濃度が異常に上昇してしまうと、糖による毒性が発生してしまいます。これを糖毒性といいます。そこで、糖毒性が起こらないように血糖値を下げようとするのです。

これを行うため、糖の吸収をゆるやかにさせます。糖が少しずつ腸から吸収されれば、血糖値の上昇は穏やかになります。こうして、血糖値の急激な上昇を防ぎます。

食物には含まれる糖は主に「でんぷん」という形になっています。糖がいくつも連なった状態がでんぷんです。そこで、唾液や胃から分泌される消化液によって、でんぷんを細かく分解していきます。

このときは、糖が大量に連なっている「でんぷん」から、2つの糖がくっついている「二糖類(ショ糖など)」、そして1つの糖である「単糖類(ブドウ糖など)」へと順番に変化していきます。

このとき、「二糖類 → 単糖類」への変換に関わっている酵素としてα-グルコーシダーゼが知られています。そこでα-グルコシダーゼを阻害すれば、糖が吸収されなくなります。二糖類のままでは腸から吸収されず、単糖類になってようやく吸収されるからです。

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このような考えにより、α-グルコシダーゼを阻害することで糖の吸収を抑制する薬がα-グルコシダーゼ阻害薬(α-I)です。

α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)の特徴と副作用

グルコバイ(一般名:アカルボース)、ベイスン(一般名:ボグリボース)、セイブル(一般名:ミグリトール)を使用すれば、糖の吸収が抑えられます。この薬を使用すると、糖が糞便として一緒に排泄されるのかというとそうではありません。結局のところ、糖はすべて腸から吸収されてしまいます。

糖が吸収されるのであれば、このような薬は意味がないのではと考えてしまいますが、もちろん意味はあります。それは、「食事後に起こる高血糖状態を防ぐ」ことです。

血糖値が高いほど糖毒性が表れます。特に食事には多くの糖が含まれているため、血糖値が上昇しやすいです。正常な方であればすぐに血糖値は下がりますが、糖尿病患者では食後に異常な高血糖に陥ります。

そこで糖の吸収を穏やかにすれば、食後の高血糖を防ぐことができます。これによって糖毒性が軽減され、糖尿病による合併症を予防できるようになります。

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この薬を服用するときは、食直前(いただきますの段階)で飲まなければいけません。既に食事が胃の中にある状態では、糖が既に吸収されているので意味がないからです。

主な副作用としては放屁(おなら)や鼓腸、腹部膨満、下痢などが知られています。糖は腸内細菌の栄養であるため、糖の滞在時間が増えるとその分だけ糖が分解・発酵されます。その結果、おならが増えたり鼓腸・腹部膨満を感じたりするようになります。

これらおならや腹部膨満は腸内ガスの増加によって起こります。こうした腸内ガスが増加すると、腸閉塞を引き起こすことがあります。

また、糖尿病治療薬の副作用で低血糖に陥ったときは糖を摂取しなければいけませんが、α-グルコシダーゼ阻害薬を服用中の場合は注意しなければいけません。

「甘く感じる糖」の多くはショ糖であり、ショ糖は二糖類です。つまり、そのままの状態では腸から吸収されません。しかし、二糖類を単糖類へと分解する酵素はα-グルコシダーゼ阻害薬によって抑制されているため、アメなどを舐めても低血糖状態から脱することはできません。

そこで、ブドウ糖などの単糖類を低血糖のときに摂取する必要があります。ブドウ糖の粉は薬局にいけば配布されていますし、スポーツドリンクに含まれていることもあります。

なお、血糖値を下げる作用に関しては、アカルボース(商品名:グルコバイ)の方がボグリボース(商品名:ベイスン)よりも比較的強いとされています。ただし、腹部膨満感や放屁(おならがたくさん出る)などの副作用もアカルボースの方が出現しやすいといわれています。