インスリン注射の種類と使い分け:基礎分泌と追加分泌

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糖尿病患者では血糖値が高くなっています。そこで、高血糖状態を改善するために重要な物質としてインスリンが知られています。インスリンは血糖値を下げる唯一のホルモンです。

内服薬であれば、インスリンの働きを強めることで作用する医薬品が多いです。ただ、場合によっては「インスリンそのもの」を体内に投与することで糖尿病を治療しようとすることがあります。インスリンの作用が弱いため、外からインスリンを補おうとするのです。これがインスリン注射です。

インスリン製剤にはいくつか種類があります。そこで、大まかなインスリン注射の性質と特徴について確認していきます。

インスリンの基礎分泌と追加分泌

血液中には、常にインスリンが存在します。このときのインスリンはいつも濃度が一定なのではなく、時と状況によって変わっていきます。これは、血糖値の変動が大きく影響しています。

食事をすれば、腸から糖が吸収されることで血糖値が急激に上がっていきます。この状態を放置すると高血糖状態に陥るため、望ましくありません。そこで、インスリンを追加で放出することで血糖値を下げようとします。これを、追加分泌といいます。

一方、1日の間で確認すると、常に一定の量だけインスリンが分泌されています。このときのインスリンを基礎分泌といいます。

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インスリンには、一定の割合で1日中放出される「基礎分泌」と食事によって放出される「追加分泌」が存在することから、インスリン注射も用途によって使い分けなければいけません。

インスリン製剤のパターン

体内でのインスリン分泌が基礎分泌と追加分泌に分かれることから、インスリン製剤は主に次のように3種類存在します。

追加分泌を補うインスリン製剤

基礎分泌を補うインスリン製剤

追加分泌と基礎分泌を補うインスリン製剤

糖尿病患者の中で「インスリンが不足している」とはいっても、どのパターンのインスリンが足りていないのかは個人によって異なります。そのため、個別にインスリン分泌のパターンを見極めながらインスリン製剤を活用しなければいけません。

また、追加分泌を補うインスリン製剤であっても、超速効型や速効型と作用時間などによって分けることができます。インスリンの注射薬としては、以下のようなものが主流です。

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人に応じてインスリン製剤は単剤で活用したり、複数用いたりすることがあります。これによって、より自然な状態のインスリン分泌のパターンに近づけ、血糖値をコントロールしようとするのです。

注射とはいっても、現在のインスリン注射は針が細く短くなっており、痛みをほとんど感じなくなっています。少なくとも、採血されるときのような痛みを生じることはありません。

これらインスリン注射が可能な部位としては、「腹部(おなか)」「上腕部の外側」「おしり」「ふともも」などがあります。注意点としては、「毎回同じ場所に注射しない」ことがあります。常に同じ個所へ注射をすると、皮膚が固くなったりへこんだりすることがあります。インスリン製剤を用いるとき、前回の注射部位より2~3cm程度離れた場所に注射するようにしましょう。

このように、インスリン製剤には種類があり、活用するときのポイントがあります。インスリンの注射剤を複数用いる人が中にはいますが、これは前述の通り、「追加分泌や基礎分泌の両方を補う」など、きちんとした意味があるのです。こうしたことを認識して薬と付き合うことが重要です。

ただ、本来は薬ではなく、生活習慣を見直すことの方が大切です。食事や運動内容を見直せば薬を減らすことができ、医薬品の副作用から解放されてさらなる健康生活を実現できるようになります。