SGLT2阻害薬の効果と副作用:スーグラ、フォシーガ、カナグル

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体内の血糖値が高くなってしまう病気として、糖尿病が知られています。血液中の糖濃度が高くなること自体はあまり問題ではなく、糖尿病によって生じる合併症が問題になります。

合併症では、腎機能が悪化したり網膜症によって失明したりします。神経障害によって痛みを感じるようになり、足が壊死して切断を余儀なくされることもあります。こうした合併症を防ぐためにも、血糖値を下げることで糖尿病を治療するのです。

これら糖尿病治療薬として、SLT2阻害薬と呼ばれる種類の薬があります。SGLT2阻害薬としては、以下のような医薬品が知られています。

・スーグラ(一般名:イプラグリフロジン)

・フォシーガ(一般名:ダパグリフロジン)

・カナグル(一般名:カナグリフロジン)

・ルセフィ(一般名:ルセオグリフロジン)

・デベルザ、アプルウェイ(一般名:トホグリフロジン)

・ジャディアンス(一般名:エンパグリフロジン)

SGLT2阻害薬と糖尿病

正常な人であると、尿から糖が検出されることはありません。ただ、糖尿病を発症すると尿に糖が含まれるようになります。そのため、糖尿病患者の尿は甘いにおいを発することがあります。

尿は腎臓で作られます。腎臓では血液をこしとることで尿が生成されます。このときに作られる最初の尿(原尿)の中には糖やアミノ酸が含まれています。ただ、糖などは重要な栄養素であるため、腎臓から膀胱へ到達するまでの間に再び血液中へと移動します。

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これを再吸収と呼び、これが尿から糖が検出されない理由です。しかし、糖尿病患者は血液中に含まれる糖分が多すぎるため、原尿に多量の糖が含まれるようになります。その結果、すべての糖を再吸収できなくなり、膀胱に糖が含まれるようになるのです。

糖尿病で問題になるのは、血液中に多くの糖が存在することによる毒性です。これを糖毒性といいます。血糖値が高いと、糖毒性によって血管がボロボロになりやすいです。特に細い血管が影響を受けやすく、腎臓の血管が損傷することで腎症になったり、網膜の血管が傷つくことで失明に繋がったりします。

こうした合併症を防ぐために、糖尿病患者では何とかして血糖値を下げようとします。最も効果が高いのは食事や運動内容を改善することですが、薬を使用することもあります。その中の一つとして、SGLT2阻害薬があります。

SGLT2阻害薬はなぜ効くのか

腎臓で作られた原尿が膀胱へと到達する間に、尿に含まれる糖は血液中へと移動することは既に述べました。糖が血液へと移動すると、血液中の糖濃度は高まります。

そこで、原尿に含まれる糖が「血液中へと再吸収される過程」を阻害することを考えます。これによって、血糖値は上がりにくくなることがわかります。これを実現できれば、よけいな糖を尿として外へ排泄できるようになります。このような作用をする薬として、SGLT2阻害薬があります。

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通常であれば、血糖値が高くなることによる「糖が尿から検出されること」が問題視されていました。ただ、SGLT2阻害薬では「尿から糖をたくさん排泄させる」ことで血糖値を下げようとします。血糖値の上昇が問題となるため、尿から糖が検出されること自体は問題ではないのです。

糖尿病はその名の通り、「糖が尿から見つかる病気」のことを指します。そのため、考えようによっては「SGLT2阻害薬は、糖尿病にすることで血糖値を低下させる薬」と理解することができます。

1日1回の服用によって、SGLT2阻害薬はHbA1cなどの血糖値の指標を長期間にわたって下げることが知られています。

SGLT2阻害薬の副作用

糖尿病治療薬の多くは、服用によって患者を太らせる作用があります。一方、SGLT2阻害薬は栄養素である糖を尿から排泄する薬であるため、他の糖尿病治療薬と違って「痩せる」という副作用が知られています。これは、場合によっては栄養失調に繋がります。

糖が出ていくことに伴う脱水にも注意が必要です。糖尿病などの生活習慣病は年齢を重ねるほど問題になりやすく、こうした高齢者は脱水症状を起こしやすいという特徴があります。また、SGLT2阻害薬には頻尿や口渇などの副作用も知られています。

また、他の糖尿病治療薬と併用することによる低血糖が重篤な副作用の一つとして確認されています。SGLT2阻害薬を単独で使用する場合は低血糖が起こりにくいと考えられていますが、併用薬によっては問題になることがあります。

これらの副作用はあるものの、適切に活用すれば血糖値を低下させることで合併症を予防できる医薬品がSGLT2阻害薬です。

ただ、糖尿病の場合は食事内容や運動習慣などを改善させた方が望ましいです。薬を服用することよりも、生活習慣を改めて血糖値を下げることを考えなければいけません。