悪い油(脂質)によって引き起こされる病気:糖尿病

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油は人間の体にとって必要不可欠なものです。油を材料にして、人は体の細胞やホルモンを作ります。また、体が動くためにはエネルギーが必要ですが、油はエネルギーの原料にもなります。

そのように、体にとって油は欠かせないものですが、摂る油の種類によっては病気の原因となってしまう場合もあります。

油が原因で引き起こされる病気の1つに「糖尿病」があります。糖尿病は、糖質の過剰摂取が問題といわれていますが、他に「質の悪い油の影響で患ってしまう可能性がある」ことが指摘されています。そこで今回は、油と糖尿病の関係性について解説します。

糖尿病とは

糖尿病は、主に三大栄養素のタンパク質、糖質、脂質の体内における代謝障害によって引き起こされる病気です。代謝とは、食べたものから筋肉などを作ったり、逆に脂肪などを分解することで、体を動かすエネルギーを産生したりする過程をいいます。

代謝が障害されることで、尿中に糖分が入り込み、尿糖として検出されるために糖尿病という名前がついています。

糖尿病の主な原因は、膵臓から分泌される「インスリン」と呼ばれるホルモンの障害によって起こる糖質の代謝異常です。それが引き金となって、タンパク質や脂質などの問題を誘発します。

具体的には、血液中の糖が過剰になります。通常、糖質は血液によって全身の細胞に運ばれた後、細胞のエネルギー源として使われるために、細胞の中に取り込まれます。

そのため、血糖値が異常に上昇することはありません。しかし、糖尿病の場合、血液中の糖質を細胞内に取り込む力が弱くなっているため、血糖値が上昇します。

インスリンは、このような血糖の細胞内への取り込みを促進する役割があります。その結果、血糖値を下げます。そのため、インスリンを作る膵臓が障害されるか、細胞でのインスリンの効きが悪くなっている場合、血糖値は高いまま維持されてしまいます。

これが糖尿病の病態です。つまり、糖尿病には、「膵臓が障害されて、インスリンの分泌自体が少ない場合」と「インスリンの分泌は十分だが、インスリンの効きが悪いケース」の2つがあります。

糖尿病と油の関係

質の悪い油の中に「トランス脂肪酸」と呼ばれるものがあります。これは、構造が不自然な形をしたもので、油に似てはいますが全く油の働きをしないものです。

そして、トランス脂肪酸は体にとっては利用できない油になるため、体内で有効活用されず、溜まるという性質があります。トランス脂肪酸が過剰に蓄積してしまうと、肥満になります。

肥満は糖尿病の大きなリスクとして知られています。肥満になると、インスリンの分泌は障害されませんが、体の糖を処理する能力が低下します。

肥満になって体が糖の利用を上手く行えないようになると、結果的に血液中に残る糖の量は多くなります。またトランス脂肪酸は、肥満を誘発することで血糖値を上げるだけではありません。トランス脂肪酸自体がインスリンの効きを悪くすることもわかっています。

つまり、トランス脂肪酸は肥満を誘発することと、トランス脂肪酸自体がインスリンの作用を悪くすることで、糖尿病の原因になるといえます。
冒頭でも述べたように、脂質はホルモンや細胞の材料となります。インスリンはホルモンの一種であり、細胞に働きかけることで、その効果を発揮します。

もしインスリンや、インスリンが作用する細胞の原料として、トランス脂肪酸が利用されたとします。そうなると、インスリン自体の効きは悪くなるし、インスリンが作用する細胞の働きも低下してしまうため、結果として血糖値が上昇すると考えられます。

つまり、質の悪い油であるトランス脂肪酸は、二重の意味で糖尿病に悪影響を与えているといえます。

今回述べたように、糖尿病が糖質の過剰摂取によって引き起こされることは間違いありません。ただ、それに加えて、質の悪い油も糖尿病の原因になるという事実を知っておくことが大切です。