糖質制限ダイエットは安全である

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糖質制限を行う際、安全性の面で4つの点が心配されています。以下に、心配されている点を記します。

① 糖質をとらないと脳のエネルギーが不足しないか
② 脂質が多くなると、肥満の促進や血中の脂質状況が悪化しないか
③ 糖質が少なくなると、糖新生が多くなり、筋肉が減らないか
④ ケトン体が高値となり、危険ではないか

今回はこれに対して、糖質制限の安全性を解説していきます。これを学べば、糖質制限ダイエットを行ってもリスクがないことを理解することができます。

脳はケトン体をエネルギー源として使用できる

「① 糖質をとらないと脳のエネルギーが不足しないか」に関しては、脳がブドウ糖しか使用できないという間違った思い込みから生じた心配です。

身体の中で、ブドウ糖しかエネルギー源にできないのは赤血球であり、脳はケトン体をエネルギー源として使えます。

また、食事の糖質を制限しても、肝臓でタンパク質や脂肪を原料にブドウ糖を合成できるため(糖新生)、最低限の血糖値は維持されます。そのため、糖質制限によって脳のエネルギー不足が生じることはありません。

肥満や血中の脂質状況を悪化させるのは、脂質ではなく糖質である

「② 脂質が多くなると、肥満の促進や血中の脂質状況が悪化しないか」について、脂質の状況を悪化させるのは糖質です。

これは生理学的にも説明できる事実ですが、研究によっても証明されています。2006年「ニューイングランド・ジャーナル」に報告された研究です。この研究は研究デザイン、調査人数、期間どれをとっても信頼性の高い研究です。

この研究によると「高脂質、高タンパク質の食事は動脈硬化のリスクを上昇させず、むしろ糖質摂取量が多いとそのリスクが上昇することが確認された」と報告しています。

そして、動脈硬化が生じるということは、血中の状態が良くないことを示しています。つまり、血中の状態を悪化させるのは「高脂質、高タンパク質の食事」ではなく、「高糖質の食事」であるということです。

タンパク質はエネルギー源としてほとんど使われない

次に、「③ 糖質が少なくなると、糖新生が多くなり、筋肉が減らないか」についてです。まず、タンパク質の代謝に関する前提として、どのような人でも筋肉のタンパク質の分解は日常的に起こっているという事実があります。

分解されたタンパク質うち、70%は分解された場所でそのままタンパク質に再合成されます。残りの30%が血中に放出されますが、そのうちのほとんどは新しいタンパク質の合成に使用され、余った分だけがエネルギー源や肝臓での糖の合成(糖新生)の原料として使われます。

以上のことにより、糖の合成に利用されるタンパク質は、食事の糖質量に左右されるのではなく、タンパク質量に左右されるのです。

また、人体においてエネルギー利用される優先順位は以下のようになります。

「アルコール → ブドウ糖やグリコーゲン → 脂肪酸やケトン体 → アミノ酸」

つまり、摂取カロリーの全体量が不足しない限り、まずエネルギー源には糖質や脂肪が使われます。極端なカロリー制限を行い、貯蓄されたブドウ糖と脂肪酸を使い果たしたあとに、ようやくタンパク質が使われるということになります。

糖尿病性ケトアシドーシスと生理的ケトン体増加は違う

最後に、「④ ケトン体が高値となり、危険ではないか」についてです。ケトン体が高値になることによる危険性の一つとして「糖尿病性ケトアシドーシス」が挙げられます。

これは、血中のケトン体が増加することにより、血液が酸性に傾いてしまうというものです。血液のpHは厳格にコントロールされており、これが崩れるということは生命を脅かす程の危険があります。

しかし、糖尿病性ケトアシドーシスに関して間違えているのが「ケトン体の増加が引き金になり、糖尿病性ケトアシドーシスが起こるのでは」という考え方です。

糖尿病性ケトアシドーシスの本当の原因は、ケトン体増加ではなく「インスリン作用の極端な不足」です。ケトン体の増加はインスリン作用不足の結果として生じているのです。つまり、インスリンの作用不足が生じない限りは、糖尿病性ケトアシドーシスが生じることはないということです。

インスリン不足により全身代謝が大きく崩れてしまうと、血液のpH調整もできず、結果としてアシドーシス(血液が酸性に傾いた状態)となってしまうのです。

一方、生理的なケトン体増加の場合はそのようなことは起こりません。インスリン作用が正常な場合は、ケトン体値が高値でも、全身代謝は障害されていないため血液のpH調整が自然と行われます。そのため、アシドーシスになることはないのです。

ダイエットを行うときは糖質制限が有効ですが、上記のような理由から糖質制限ダイエットは安全であるといえます。