腸内細菌の年齢による変化:大人と赤ちゃんの腸の違い

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腸内環境は、体に対してさまざまな影響を与えます。腸内の状態が悪くなると、便秘や下痢だけでなく、肌荒れやアトピー、うつ病など、いろいろな病気を発症しやすくなります。そのため、健康を維持するためには腸内環境を整えておくことが欠かせません。

そして腸内環境は、腸内に生息する腸内細菌のバランスによって作られます。具体的には、善玉菌が多ければ腸内環境は良好となり、逆に悪玉菌が増えると腸内環境は悪化します。

このような腸内細菌のバランスは、ストレスや食事といった生活習慣によって大きく影響されます。ただ、そうした環境的な要因以外に、年齢によっても腸内環境は大きく変わります。加齢は悪玉菌を増やす大きな因子であり、歳をとると自然と腸内環境は崩れやすくなります。

そうした加齢による腸内細菌の変化を理解しておくことで、特に中高年以降は腸内環境を整える努力の必要性を認識することができます。

そこで今回は、「腸内細菌の年齢による変化」について解説します。

赤ちゃんの腸内は善玉菌ばかり

腸内細菌のバランスは、年齢によって大きく異なります。想像通りだと思いますが、赤ちゃんの腸内環境は、大人と比較するととても整っています。

赤ちゃんには、生まれるまでは無菌状態であるため腸内細菌が存在しません。また出産して3~4時間で、赤ちゃんの腸に徐々に腸内細菌が生息し始めることがわかっています。そして、赤ちゃんが母乳を飲み始めると、赤ちゃんの腸に存在する腸内細菌の数が一気に増えます。

具体的には、出産後24時間経つ頃、1グラム当たり1000億個以上の腸内細菌が赤ちゃんの腸内に生息しています。

またこうした腸内細菌は、さまざまなものに接触することで増えるため、同じ赤ちゃんであっても環境によって生息する細菌のバランスは大きく異なります。

実際に、赤ちゃんの腸内に生息する細菌の種類やバランスは、産院ごとに相違していることが明らかになっています。

出生直後の赤ちゃんの腸内には、「大腸菌」や「腸球菌」などの「好気性細菌」と呼ばれる細菌が多く存在します。好気性細菌は、酸素を栄養源として増殖します。そして、出生直後の腸内には酸素が多いため、大腸菌や腸球菌といった好気性細菌が優位に存在します。

ただ、時間が経過するにつれて腸内の酸素は徐々に減っていくため、好気性球菌は減少していきます。

そうなると、代わりに「ビフィズス菌」と呼ばれるものが出現してきます。ビフィズス菌は、増殖に酸素を必要としない「嫌気性細菌」です。そして、ビフィズス菌は善玉菌の一種であり、出生後3~4日後から徐々に増えます。

こうして、赤ちゃんの腸内では酸素が徐々に減るにつれて、ビフィズス菌が増殖するようになります。また、それだけでなく、母乳にビフィズス菌の餌となる物質が多く含まれていることも、赤ちゃんの腸内にビフィズス菌が多い理由です。

実際に、母乳を与えている子どもの腸内では、95パーセント以上をビフィズス菌が占めるようになることがわかっています。

このように、赤ちゃんの腸内は、基本的に善玉菌が優位な状態であることを知っておいてください。

加齢によって悪玉菌が増える

赤ちゃんの腸内には、ビフィズス菌を初めとした善玉菌が優位に生息しています。ただ、こうした明らかに善玉菌が優勢な腸内環境は、離乳と同時に終わります。

母乳を離れて離乳食を食べるようになると、徐々に日和見細菌(ひよりみさいきん)が増えて優勢になります。そして成人になると、赤ちゃんのときは95パーセントを占めていた善玉菌は、20パーセント程度になり、日和見細菌が70パーセント、悪玉菌が10パーセントという割合になります。

ただ基本的には、大人になっても悪玉菌より善玉菌が優位であることには変わりありません。

病気にならない限りは、善玉菌の数が悪玉菌の総数を超えることはありません。しかし、中高年以降になり老年期に入ると、徐々に悪玉菌が優勢になってきます。

若いときは、善玉菌が優位な環境であるため、少々の不摂生では腸内環境が乱れることはありません。もし、腸内細菌のバランスが崩れたとしても、すぐに調整されて、善玉菌が優勢な状態になります。

その一方で中高年以降では、自然と善玉菌の数が減ってしまっているため、ちょっとした食事の乱れで一気に腸内環境が悪化してしまいます。そして、その後もなかなか調整されず、ずっと悪玉菌が優位な状況が続いてしまうことになります。

こうしたことから、中高年以降では、特に腸内環境が崩れないように注意しなければいけません。

今回述べたように、腸内環境は、年齢を重ねるにつれて徐々に悪玉菌が優位になってきます。そのため、中高年以降には、わずかなことで腸内環境が悪化してしまいます。

そうしたことを避けるためにも、特に中高年以降には、腸内環境を整えられるような生活を意識することが大切です。