断食・絶食が腸内細菌に与える影響

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よく知られて実践されている健康法の1つに「断食・絶食」があります。断食とは、「ファスティング」とも呼ばれ、食事を食べない時間を作る方法のことをいいます。

具体的に断食には、「3日断食」や「1日断食」「半日断食」というように、食べ物を食べない期間によって分類されます。ただ、断食が体へ与えられる影響は基本的に同じであり、「胃腸を休める」「体内の毒素を排泄する(デトックス)」などによる健康効果がいわれています。

その一方で、断食は腸の働きを弱めてしまうことにもなります。腸の活動を休めたり、腸に蓄積された有害物質を排泄したりするとされる断食ですが、腸を萎縮させたり、運動を悪くしたりすることが明らかになっています。

こうした断食が腸に与える影響を理解しておくことで、誤った健康法を実践しなくて済むようになります。

そこで今回は、「断食・絶食が腸内細菌に与える影響」について解説します。

断食によって得られる効果

断食や絶食は、多くの人によって実践されている健康法の1つです。断食することで、「肌がきれいになった」「痩せた」「体調が良くなった」というように、さまざまな健康効果が認められた人が多くいます。

そこで以下に、断食によって得られるといわれている「排毒(デトックス)を促す」「胃腸を休める」「脂肪を燃やす」という代表的な3つの効果について解説します。

デトックス(排毒)

デトックスとは、体内に蓄積した有害物質を排泄することをいいます。

例えば、私たちの体内には、食事と一緒に摂取した食品添加物や農薬、息を吸うときに入り込んだ排気ガスなど、体にとって有害な物質が蓄積されています。

そうした、体にとって害を与える物質の蓄積が、さまざまな健康被害を招く原因の1つとされています。

断食を上手く行うと、排便が促されることになり、腸内に溜まった毒素を便として排泄することができます。その結果、体内の毒素量が少なくなり、そうした有害物質による健康被害を予防することができます。

胃腸の休息

胃腸は、食べ物を食べたり飲んだりすると、それらを消化・吸収するために働きます。

内臓は、「自律神経」と呼ばれる、無意識下でコントロールしてくれる神経によって運動が調整されています。そのため、普通に生活している中で、「内臓を働かせすぎた」と感じることはほとんどありません。

しかし実際には、内臓も筋肉でできているため、過剰な運動を行った後に筋肉痛が起こるように、内臓にも疲労が起こります。そして、内臓が疲れてしまうと、食べた物の消化と吸収が上手く行われないようになります。

また現代社会では、ほとんどの人が食べすぎている傾向にあります。そのため、断食によって食べ物を胃腸に入れないことで、胃腸を休憩させることができます。

このように定期的に胃腸を休ませることで、胃腸は疲労が回復して、また活発に活動することができるになります。その結果、しっかりと消化・吸収が行われるようになり、消化不良やエネルギー不足などが生じにくくなります。

脂肪燃焼

断食するということは、当然ながら摂取するカロリーを制限することになります。

体は、食べ物のカロリーから作られるエネルギーによって活動することができます。そのため、断食を行うと、こうした食品からのエネルギー確保が行えなくなります。そうした場合、体は蓄積されている脂肪を燃焼することでエネルギーを作り出すようになります。

その結果、体の脂肪がどんどん燃やされていくため、体重が減ります。

このように断食は、さまざまなメカニズムによって体の健康を維持することに役立つとされています。

断食が腸内環境に与える影響

断食には、主に「デトックス」「胃腸の休息」「脂肪燃焼」という体への作用があり、こうしたメカニズムによって、絶食は体にさまざまな効果をもたらされると考えられています。

その一方で、断食が腸内環境について与える影響を考えると、断食にはデメリットもあることがわかります。

具体的には、断食を行うと、腸が使われなくなってしまうため、どんどん腸の働きが弱くなってしまいます。食べ物を食べずにいると、そのことによって腸の表面にある「粘膜」と呼ばれる組織が萎縮してしまいます。つまり、足などの筋肉と一緒で、使わないことによって腸が衰えてしまいます

そして、腸の粘膜が萎縮すると、粘膜から腸内へ出される分泌液が減り、その結果として腸の動きが悪くなります。

また、こうした腸の運動性の低下は、腸内に便を溜めることにつながり、腸内で「悪玉菌」を多く発生させることになります。つまり、悪玉菌が増殖してしまうことで、腸内細菌のバランスが悪くなり、腸内環境が悪化してしまいます。

さらに、腸の粘膜が萎縮していると、腸内で増殖した悪玉菌が、薄くなった粘膜を通って血管内に入り込んでしまうことがあります。腸にある血管は全身へつながっているため、腸内から進入した悪玉菌は、全身に送られることになります。

こうした状態は、専門用語で「バクテリアルトランスロケーション」と呼ばれます。バクテリアルトランスロケーションになると、全身に感染症が起こってしまう可能性があるため、非常に危険だといえます。

このように、断食によって腸の活動が悪くなると、悪玉菌が増えて腸内環境が悪化するだけでなく、命の危険を脅かすような可能性があることも知っておいてください。

今回述べたように、断食には「デトックス」「胃腸の休息」「脂肪燃焼」というような健康効果が期待されています。そして実際に、多くの人が断食によって、さまざまな不調が改善した経験を持っています。

ただ、そうした健康に対して良い影響を与えるとされる断食ですが、その一方で腸を萎縮させたり、腸内環境を悪化させたりする可能性があることを知っておく必要があります。またそれだけではなく、バクテリアルトランスロケーションという、全身の感染症を招くような状態に至るケースもあります。

断食を行う際には、こうした断食のデメリットを知った上で実施することが大切です。