禁酒と喫煙が腸内環境に与える影響:アルコール、タバコ

kinsyu

アルコールやタバコが体の健康にとって害を与えることは、一般的に知られています。そしてこうした嗜好品は、腸内環境にも多くの影響を与えます。

当然ながら、お酒を飲みすぎたりタバコを吸い過ぎたりすることは、健康にも腸内環境にも悪影響を与えます。これは、ほとんどの人が想像している通りです。ただ、過度な禁酒や禁煙も、体の健康や腸内環境にとって良くないことが明らかになっています。

そうした過度な我慢は、精神的なストレスを溜めることになります。そして、我慢によって生じた過剰なストレスは、アルコールやタバコよりも健康や腸内環境に悪影響を及ぼすことになります。

こうしたことから、過度な禁酒や禁煙は腸内環境を乱すといえます。このような事実を理解しておかないと、「健康を考えて禁酒、喫煙したのに、逆に病気になってしまった」ということになりかねません。

そこで今回は、「禁酒と喫煙が腸内環境に与える影響」について解説します。

アルコールが腸内環境へ与える影響

アルコールが健康にとって良くないことは、多くの人が認識しています。実際に飲酒は、体へさまざまな悪影響を与えます。そして、アルコールは腸内細菌にも作用することがわかっています。

腸内環境は、体のさまざまな健康に関係しています。例えば、体内に侵入した病原菌などを除去する「免疫機能」や、体に蓄積された有害物質を便と一緒に体外へ出す「排泄機能」、食べた食品から栄養素を体内へ取り入れるような「栄養吸収機能」などが挙げられます。

そうした腸内環境を作っているのが、腸内に生息する腸内細菌です。具体的には、「善玉菌」と「悪玉菌」「日和見細菌(ひよりみさいきん)」と呼ばれる3つの腸内細菌が、バランス良く生息することで腸内環境は良好になります。

過度な飲酒は、こうした腸内環境を乱すことにつながります。アルコールは腸に届くと、腸の壁を傷つけて腸の働きを悪くしてしまいます。その結果、腸内に便が溜まってしまうこと(便秘)になり、腸内環境が悪くなります。

また、アルコール自体が腸内の悪玉菌を増やす原因になることもわかっています。

ただ、適度なアルコールは、逆に腸の運動を活発にして腸内環境を整えるように働きます。つまり、アルコールは飲み方さえ注意すれば、腸内環境を良好にする武器になります。

具体的には、ビールであれば瓶2本、日本酒は2合までは、体に対して悪影響を与えないことがわかっています。

しかし、アルコールが体へ与える影響は、人によって大きく異なります。例えば、ビール一杯で顔が真っ赤になって酔っ払う人もいれば、ビールを10杯飲んでも全く平気な人もいます。

こうした違いは、それぞれの両親から受け継いだ、アルコールを分解する働きがある「アルコール分解酵素」の量から生じます。アルコール分解酵素の量が多い人は、いくらアルコールを飲んでも酔いませんが、アルコール分解酵素が少ない人は、ちょっとの飲酒でも酔っ払います。

さらに、アルコール分解酵素が多い人は、ある程度の飲酒量であれば、体がアルコールから悪影響を受けることはありません。それに対して、アルコール分解酵素が少ない人は、わずかな飲酒量でも、アルコールによって健康を害されます。

つまり、アルコールが健康や腸内環境に対して与える影響は、「人それぞれ異なる」といえます。

そのため、基本的には「過度な飲酒は腸内環境を乱し、適度なアルコールは腸内環境を整える」となります。ただ、アルコールが腸内環境へ与える影響も、人によって大きく違うということを理解しておくことが大切です。

タバコと腸内環境の関係性

飲酒と並んで、喫煙は体の健康にとって悪影響を与えるものとして知られています。そして、タバコは腸内環境を乱すことにもつながります。

タバコを吸うと、体内では「活性酸素」と呼ばれる物質が大量に発生します。活性酸素とは、全細胞の働きを悪くする物質であり、さまざまな病気の原因として考えられているものです。簡単にいうと、活性酸素は「細胞の老化を促す物質」といえます。

喫煙によって大量に発生した活性酸素は、他の細胞と同じように腸も老化させることになります。そして、活性酸素によって腸の働きが悪くなると、排便が起こりにくくなるため、腸内に便が溜まって腸内環境が悪くなります。

また、活性酸素によって腸内環境が乱れると、腸内に悪玉菌が多く生息するようになります。こうして増殖した悪玉菌は、活性酸素を生み出す働きを持っています。

つまり、活性酸素による腸内環境の悪化は、悪玉菌の増殖を招き、さらに体内の活性酸素を増やすことにつながります。

こうしたことから、タバコによって体内で活性酸素が多く作られると、「タバコを吸う → 活性酸素が大量に発生 → 腸内環境の悪化 → 悪玉菌が増殖 → 活性酸素が大量に発生 → 腸内環境の悪化……」というように、悪循環に陥ってしまうことがわかります。

このように、タバコは腸内環境を乱す大きな原因の1つになります。

ただ、ある研究によって、タバコは1日に10本以内であれば、それ以上吸う場合と比較すると、体に与える悪影響が大きく減ることが明らかになっています。そのため、どうしても禁煙できない人は、1日に吸うタバコの本数を10本以内に抑えておくことで、タバコの害を最小限にすることができることを知っておいてください。

無理な禁酒と禁煙が腸内環境を乱す理由

過度な飲酒や喫煙は、腸内環境を乱す大きな要因になります。そのため、基本的にはアルコールやタバコは控えた方が腸内環境は整いやすいといえます。しかし実際には、無理な禁酒や喫煙は腸内環境にとっても良くないことがわかっています。

そのことには、過剰な我慢による精神的ストレスが影響しています。

アルコールや喫煙は嗜好品であり、その人の心身をリラックスさせる作用を持っています。例えば、ちょっと仕事で嫌なことがあった夜などに、少しお酒を飲みたくなるのは、アルコールによって仕事のストレスを和らげることができるためです。

そのため、もともとアルコールやタバコが好きな人が、完全に禁酒と禁煙を行ってしまうと、ストレス解消を行うことができなくなります。また、好きなものを我慢すると、それ自体が原因でストレスが発生することになります。

そして過剰なストレスは、体の緊張を高めて、腸の運動をコントロールしている「自律神経」の活動を乱すことになります。自律神経とは、無意識で心臓や血管、内臓の活動を調整している神経であり、腸も自律神経によってコントロールされています。

そのため、ストレスによって自律神経のバランスが崩れてしまうと、腸の活動は悪くなってしまい、最終的には腸内環境を悪化させることになります。

さらに過剰なストレスは、腸内環境を悪化させる大きな要因である、活性酸素を大量に発生させることにもつながります。既に述べたように、タバコは体内に活性酸素を多く生み出すことで腸内環境を悪くします。

つまり、無理な禁煙によってストレスが溜まってしまうと、せっかく禁煙によって発生する活性酸素を減らしても、ストレスによって活性酸素が作られるため、結局体内では大量の活性酸素が生み出されることになります。

このように、過度な飲酒や喫煙は腸内環境を乱すことになりますが、同様に無理な禁酒や禁煙も腸内環境を悪化させるということを知っておいてください。

今回述べたように、アルコールやタバコは、大量に摂取すると腸内環境を乱し、体に対してさまざまな悪影響を与えることになります。ただ、そうした嗜好品を無理に止めてしまうことは、精神的なストレスを溜めることにつながります。

そして、無理な禁酒や喫煙によって作られた過度なストレスは、逆に腸内環境を悪化させる原因になります。

アルコールを飲んだりタバコを吸ったりしている人は、こうした事実を理解しておくことが大切です。そして、アルコールであればビール瓶2本、もしくは日本酒2合、タバコであれば1日10本以内で抑えておくことで、腸内環境を乱さずに嗜好品として楽しむことができます。

適度な飲酒と喫煙を心がけ、ぜひ腸内環境を崩さずにアルコールとタバコを楽しむようにしてください。