食物繊維の種類と腸内細菌へ与える影響

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腸内環境が体の健康に大きく影響することは、一般的に知られています。実際に腸内の悪化は、便秘や下痢だけでなく、アレルギー、肌荒れなど、さまざまな問題を引き起こす原因になります。

そして、腸内環境を整える栄養素として、「食物繊維」が挙げられます。食物繊維とは、野菜などに多く含まれている、人間の体では消化できない栄養素です。

食物繊維が腸内環境を整えることは、多くの人に認識されていることです。ただ、食物繊維が「具体的にどのように腸内環境に影響を与えているのか?」ということを理解している人は少ないです。

実際には、食物繊維は腸内の便量を増やして、腸内に蓄積している老廃物を排泄することで腸内環境を整えます。また、その他にも食物繊維には、血糖値や肥満、大腸がんなど、さまざまな病気を防ぐことで知られています。

ただ、そうした食物繊維の多様な役割を理解するためには、食物繊維の種類について知っておくことが欠かせません。

そこで今回は、「食物繊維の種類と腸内細菌へ与える影響」について解説します。

食物繊維とは

食物繊維という言葉を聞いたことがない人はいないはずです。食物繊維は、栄養素の一種であり、炭水化物とたんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルの五大栄養素とは違う、第六の栄養素といわれています。

そして食物繊維が注目され始めたのは、世界における長寿地域の食生活において調べたことがきっかけでした。

世界の中には、他の国や地域と比較して国民の平均寿命が非常に長いところがあります。そうした長寿地域の人々の食生活を調査してみると、他の国と比較して繊維質が多く含まれている食事をたくさん摂っていることが明らかになりました。

例えば、長寿地域の人たちは、豆類や野菜、果物、ナッツ類など、食物繊維を豊富に含む食品を常食し、逆に肉類などの動物性たんぱく質が少ない食事をしていました。

こうした研究結果から、「体の健康に食物繊維が大きく影響している」と考えられて、栄養素の中でも食物繊維が注目され始めました。

そもそも食物繊維とは、「糖」の仲間になります。ただ、一般的な糖質は消化・吸収されてエネルギー源となるのに対して、食物繊維は体内で分解されません。そのため、いくら食べてもエネルギーを生み出すことがない栄養素です。

ただ、そうした食物繊維が体にとってさまざまな影響を与えることがわかっています。

食物繊維の種類と腸内細菌へ与える影響

食物繊維は、世界の長寿地域の食生活を調べたことがきっかけで注目され始めました。

そして今では、ほとんどの人に、食物繊維は体の健康にとって欠かせない栄養素であることが認識されています。

ただ、一言で食物繊維といっても、実際には「不溶性食物繊維」や「水溶性食物繊維」などのように、いくつかの種類に分類されます。そして、その違いによって、体に与える影響はそれぞれ異なります。そこで、以下に食物繊維の2種類である「不溶性食物繊維」と「水溶性食物繊維」について記します。

不溶性食物繊維

不溶性食物繊維とは、簡単にいうと「水に溶けない食物繊維」のことを指します。

水に溶けない性質があることから、食べて腸内に入ると腸内で蓄積されます。腸内に溜まった不溶性食物繊維は便となるため、便量を増す役割があります。

その結果、排便される便量が増え、体内の老廃物質が多く排泄されることになります。

例えば、穀類や野菜、豆類といった植物性食品全般には、こうした不溶性食物繊維が多く含まれています。

水溶性食物繊維

水溶性食物繊維は、不溶性食物繊維とは違い、水に溶ける性質を持っている食物繊維のことをいいます。

そうした特徴から、腸内にはいった栄養素の吸収をゆるやかにする役割があります。

例えば、お菓子などの糖質が多く含む食品を摂取すると、糖質は血液中に吸収されて、血液内の糖分量(血糖値)は急激に上がります。その際に、水溶性食物繊維を一緒に摂っていると、腸内から糖分が取り込まれるスピードが遅くなるため、血糖値の上昇を抑えることができます。

水溶性食物繊維には、その他にも、コレステロールなど、体にとって好ましくない物質の吸収を抑える役割があります。

こうした水溶性食物繊維は、果物や海藻類、こんにゃくなどに多く含まれています。

このように、一言で食物繊維といっても、その種類によって体へ与える影響は大きく異なることを知っておいてください。

食物繊維不足が体へ与える影響

食物繊維は、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維に分類されて、それぞれが体にとって重要な役割を果たしています。こうした働きを持っているため、食物繊維が不足してしまうと、体にとってさまざまな悪影響が及ぼされます。

例えば、不溶性食物繊維が不足すると、その役割から便秘の症状が引き起こされやすくなることは想像できるかと思います。また、水溶性食物繊維の摂取量が足りないと、血糖値やコレステロール値が高くなることも予測できるはずです。

ただ、食物繊維の摂取不足によって起こる問題は、これだけではありません。

その他にも、普段の食事で食物繊維の摂取量が不足すると、さまざまな病気につながることが明らかになっています。

例えば、不溶性食物繊維の不足は便秘を引き起こします。そして便秘は、ただ便が出ないという問題に止まりません。腸内への便の蓄積は、腸内環境を悪化させ、発達障害や肝臓障害、高血圧、がん、自己免疫疾患など、さまざまな病気の原因になります。

また、便秘になって腸の運動が悪くなると、全身の代謝が低下してしまいます。その結果、肥満や生活習慣病を発症しやすくなります。

つまり、食物繊維の摂取不足は、がんといった命に関わるような大きな病気から、肥満という美容問題まで、さまざまなことに影響しているといえます。

こうした食物繊維不足による不調を防ぐためにも、普段から意識して食物繊維が豊富な食品を摂ることが重要になります。

ちなみに、日本人における食物繊維の1日摂取目安量は、20グラムとされています。ただ実際には、日本におけるほとんどの人が1日に食物繊維を15グラムも摂っておらず、食物繊維が不足していることが指摘されています。

そのため、ほとんどの人は、食物繊維を意識して摂取するようにすることが大切だといえます。

今回述べたように、食物繊維は世界の長寿地域に住む人々が多く摂取していることが明らかになってから、その役割が注目され始めました。そして実際に、食物繊維が体にとってさまざまな影響を与えていることがわかっています。

ただほとんどの人は、「食物繊維は体に良い」という程度の知識しか持っていません。しかし、食物繊維には「不溶性食物繊維」と「水溶性食物繊維」という2つの種類があり、それぞれで体に与える影響は大きく異なります。

こうした食物繊維の種類と、それぞれの役割を知ることで、より効果的に食物繊維を摂取できるようになります。

ぜひあなたの体の状態から、足りない食物繊維を予測して、あなたの体に合った食物繊維を摂るようにしてください。そうすることで、あなたの腸内環境は整い、さまざまな症状の改善や予防につながります。