食中毒と腸内細菌の関係性:腸内環境が食中毒を予防する

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食中毒は、多くの人が経験したことがある病気です。生カキやレバーなどを食べることで、それらに常在している菌に感染したり、古くなったおにぎりなどに含まれる菌が体に害を与えたりすることで食中毒は発症します。

そうした食中毒を防ぐための方法には、大きく分けて「感染源や毒となるものを体内に入れない」「体内に有害物質が入っても除去する力をつける」の2つがあります。

前者は、生カキやレバーを熱することで殺菌したり、手洗いやうがいをしたりすることで、体内に食中毒の原因を入れないようにする方法です。そして後者は、免疫機能を高めておくことで、「有害物質が体内へ侵入しても無毒化する」というものです。

そして、食べた物に対する免疫機能の大部分を担っているのが腸になります。腸内に生息する腸内細菌には、腸に入った有害物質を除去する働きがあります。そのため、こうした腸内細菌が適切に働いていると、食中毒を予防することができます。

そこで今回は、「食中毒と腸内細菌の関係性」について解説します。

食中毒とは

食中毒とは、「体に有害な細菌類や微生物、化学物質などが体内へ入ることで、熱発や下痢などの中毒症状を起こす病気」のことをいいます。ただ、一言で食中毒といっても、発症の仕方によって大きく「毒素型」「感染型」「中間型」の3つに分類されます。

毒素型

食べ物に、直接的に体へ害を与える有害物質が含まれており、それが体に作用した結果として食中毒を発症するものを「毒素型」の食中毒といいます。

黄色ブドウ球菌」と呼ばれる細菌のように、皮膚常在菌と呼ばれる菌などが、接触などによって食品に移ると毒素を発生します。それを食べてしまうと、毒素型の食中毒を発症します。

また、発酵食品やソーセージなどに生息しやすい「ボツリヌス菌」による食中毒も、毒素型として有名です。

感染型

感染型の食中毒とは、食べ物に付いていた微生物が、体内へ侵入して増殖することで感染症を引き起こし、それによって発症するものを指します。

例えば、動物の内臓に多い「サルモネラ菌」やレバ刺しなどに常在する「カンピロバクター菌」による食中毒は、感染型に該当します。また、日本でも有名な「O157(腸管出血性大腸菌)」も、感染型の食中毒です。

中間型

中間型の食中毒とは、毒素型・感染型の両方の病態を引き起こすものです。

学校給食などで問題となることが多く、冷凍の状態から解凍するときに増殖する「ウェルシュ菌」などは、中間型の食中毒を引き起こす原因として有名です。

このように、食中毒にはさまざまな原因があることを知っておいてください。

食中毒を腸内細菌が防ぐ理由

先ほど述べたように、食中毒には大きく分けて「毒素型」「感染型」「中間型」の3つのタイプがあります。ただ、どのタイプであっても体内に入った有害物質が悪さをすることで発症します。

そのため、食中毒を防ぐ一番の方法は、有害物質を体内に入れないことです。よくいわれる「手洗い」や「うがい」などは、空気や皮膚から有害物質が侵入することを防いで食中毒を予防します。

また食中毒は、「体内へ侵入した有害物質に悪さをさせない」という方法でも予防することができます。

人の体には、生まれつき「免疫機能」と呼ばれるものが備わっています。これは、体に有害物質を侵入させないようにしたり、入ってきた毒物を解毒化したりする働きのことをいいます。

こうした免疫機能は、食中毒の原因となる有害物質に対しても働きます。そのため、免疫機能が高い人は、たとえ食中毒を引き起こす物質が体内へ侵入しても、悪さをする前に除去できるので食中毒になりません。

そして、こうした免疫機能の大半を担っているのが「腸内細菌」です。腸内細菌とは、腸の中に生息する細菌のことを指します。

この腸内細菌には、腸内に入った毒素を解毒化したり、体にとって不要な物質を体内へ侵入させないようにしたりする働きがあります。そのため、腸内細菌が正常に機能していると、たとえ有害物質が腸内に入っても、食中毒を引き起こすことなく排除してくれます。

このように食中毒を予防する方法には、「有害物質を体内へ入れない」「免疫機能を高めて有害物質が体内に侵入しても悪さをさせない」という2つの方法があります。

そして腸内細菌の働きを高めることは、体内に入った有害物質に悪さをさせないことにつながり、食中毒を予防することになります。

今回述べたように、一見すると食中毒は、原因となる食べ物を食べないようにするしか防ぐ方法はないように思えます。しかし実際には、腸内細菌の働きを高めることで、体内に食中毒を引き起こす原因となる物質が侵入しても、食中毒が起こらないようにすることができます。

このように、腸内細菌には食中毒を予防する作用があることを知っておいてください。