腹筋運動は腰痛の原因になる

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腰痛は、日本人が経験する痛みの中で最も多いといわれています。日本人の約80%が腰痛を経験するとされています。腰痛に対する専門家の意見は、現在でもさまざまです。

「腰痛には腹筋運動がよい」「腰を反る運動がよい」など、結局どのような運動がよいのかわからない人がほとんどではないでしょうか。その中でも、腰痛があるとき「避けた方がよい運動」について説明します。

腹筋運動は腰椎への負担を増やす

多くの人が行う腹筋運動は、仰向けに寝た状態で、頭を持ち上げて体を起こす運動だと思います。この腹筋は大きく3つにわけられ、それぞれ違う働きをします。その中でも、この運動は6つに割れている筋肉である「腹直筋(ふくちょくきん)」を鍛えます。

さらに、捻じりながら体を起こす運動も行われます。これは腹直筋より表面にある、「腹斜筋(ふくしゃきん)」を鍛えます。

体幹の「インナーマッスル」である「腹横筋(ふくおうきん)」も腹筋の一つです。腹筋はこの3つ(腹直筋、腹斜筋、腹横筋)にわけられます。

以前、腰痛の人は「とりあえず腹筋と背筋を鍛えれば良い」という考えでした。しかし、先程述べた腹直筋を鍛える運動は、腰の「椎間板」という組織の負担が大きくなるため、避けた方が良いという意見が多いです。

腹横筋の筋トレは腰を固める

また、最近は「腹直筋ではなく腹横筋を鍛えると良い」とよくいわれています。確かに、腹横筋は構造上、腰の安定性を高める機能があります。しかし、安定性を高めるというと同時に、固定してしまう可能性もあるのです。

腰を固定しまうと、背骨の動きが悪くなります。背骨の動きが悪くなると、さまざまな弊害がでます。

例えば、背骨が固くなり、背骨のS字湾曲が小さくなります。S字湾曲は体にかかる衝撃を吸収する機能を担っています。この湾曲が小さくなると、その衝撃吸収能力が落ちてしまいます。

人の体は、衝撃を吸収できる力以上の筋力は、発揮しないような作りになっています。例えば、「100」の筋力を持っていたとしても、背骨での衝撃吸収する力が「60」しかなかったら、「60」の筋力しか発揮できないのです。つまり、腹横筋により腰を固めると「筋力低下」を生じるということです。

また、中枢部(脊髄)にある背骨の動きが小さくなると、「股関節」や「ひざ」末端にかかる負担が大きくなります。

例えば、バンザイのときの動作を考えます。バンザイ動作は肩を上げる動きが主になります。背中が固く曲がっていると、腕が上がりにくいのはイメージしやすいと思います。つまり、背中が固いと、バンザイをするためには、通常以上に肩を動かす必要が出ます。このように、背中が固くなると、末端の関節に負担がかかるのです。

以上のように、腹直筋を鍛えると椎間板にかかる負担が増えます。腹横筋を鍛える運動は背骨の固さをまねき、筋力をつけているつもりが、逆に筋力低下を引き起こしてしまう可能性があります。

腹筋が大事だということは間違いありません。しかし、それは「意識して腹筋を固くする」ことではなく、「必要なときに自然に筋肉が働く状態」をつくることが大事です。そのために、まず背骨の柔軟性を優先する必要があります。背骨を柔らかくすることにより、今持っている力を最大限発揮できる状態をつくることが大切になります。