痛みを我慢して運動すると筋力が落ちる

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多くの人がひざや肩が痛い原因を「筋力低下」と考えています。そして、痛みを改善するためには筋力をつけるような運動が必要と考えています。しかし、痛みを我慢してまで運動を行う必要があるのでしょうか。

実は痛みを我慢して運動した場合、逆に筋力の低下を進行させてしまいます。今回はその理由と原因について説明します。

痛みは体からの危険信号

体に痛みを感じたことがない人はいないと思います。しかし、その痛みの意味を考えたことがある人は少ないです。実は、痛みは体からの危険信号なのです。例えば、ひざを曲げる時に痛みがあるとします。このとき、多くの一般人や専門家は、ひざが固まらないように痛みを我慢してでも曲げる練習を行います。

しかし、この痛みが意味することは「痛みが出ている範囲以上曲げると、関節が壊れる」ということなのです。つまり、体は痛みという不快な感覚を使って、体が壊れないように守っているのです。

世の中には、病気によって全く痛みを感じない人がいます。このような人たちは、熱いものを触って火傷をしても気づきません。極端な話をすると、腕が切断されても気づかないということです。これがどういう結果になるかというと、死につながります。

通常だと、火傷をした後は処置を行い、感染を防ぎます。これは腕を切断した後も同様です。しかし、痛みを感じないために処置を行わなかった場合、細菌感染が起こり、死んでしまう可能性が高くなります。痛みは体にとって重要な働きをしているのです。

痛みを我慢した結果が変形性関節症

これは関節でも同じことです。関節に痛みが出るときは、「これ以上動かしたら関節が壊れる」というサインです。

よく知られている関節の病気に「変形性関節症」というものがあります。これは簡単にいうと、関節の変形により痛み(疼痛)が生じるものです。実は、これも痛みを我慢した結果生じたものなのです。変形性関節症は急に生じることはありません。時間をかけてゆっくりと形成されていきます。

ここで関節の変形が生じる意味を考えます。関節の変形とは、実は体の防衛反応です。

関節にとって一番大事なことは「関節の適合性」、つまり噛み合わせが上手くいっているかどうかです。つまり、関節は噛み合わせが悪くなることを嫌います。そして噛み合わせが悪くなると痛みを発します。

このとき、噛み合わせを少しでも調整しようとする防衛反応が変形です。変形することで動きは制限されますが、関節の噛み合わせは調整されます。関節の変形が完成してしまうと、動きは大きく制限されますが、痛みはなくなります。

つまり「関節の適合性が悪くなる → 痛みが出る → 適合性を合わせるために変形する → 適合性が改善する → 動きは制限されるが痛みはなくなる」という流れになります。変形性関節症を予防するために必要なことは、関節の噛み合わせを改善させることにあります。

痛みを我慢すると力が出なくなる

関節に力がかかると負担がかかります。そのため、体は痛みがある関節にあまり力をかけたくありません。そのような状態で「筋トレ」を行うとどうなるでしょうか。体は関節に負担をかけたくないため、我慢して運動すればするだけ、どんどん力が入らないようにしていきます。

つまり、痛みが出ている関節を無理に動かすと以下のことが生じます。

・「関節の適合性(噛み合わせ)」を合わせるために変形が進行する

・関節に負担をかけないように筋力が落ちていく

このような事実から、痛みを我慢して運動を行うと、逆に筋力が落ちてしまいます。そのため、痛みのある関節を無理に動かしてはいけません。無理して動こうとすると、逆に不都合な結果を招いてしまいます。