五十肩を無理に動かしてはいけない理由と対処法

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整形のクリニックに通う理由の一つに「五十肩」が挙げられます。五十肩は、多くの人が50歳代に経験するためにつけられた名前です。その年代で肩関節の痛みを訴えた場合は、ほとんどが五十肩といわれます。

実は五十肩は正確な病名ではなく、ほとんどは「肩関節周囲炎」という診断名がつきます。肩関節周囲炎は原因がはっきりしているものではなく、肩周囲の組織に炎症が疑われる場合につけられます。

そして、多くの人はこの五十肩に対して「固まらないように動かさないといけない」というイメージをもっています。医療従事者でさえ、そのような認識をしている人が多いです。しかし、五十肩は無理に動かすと、治るどころか痛みや動きを制限し、症状を悪化させます。今回はこの理由と対処法について述べます。

五十肩には治っていく過程がある

五十肩はある決まった経過で治癒します。この過程をいかにスムーズに進めるかが、治るポイントとなります。その過程には3つの時期があります。

まず一つ目は、痛みの強い時期です。これは専門用語で「炎症期」といいます。この時期は痛みが強く、「安静にしていても痛い」「夜痛みで目が覚める」「少し動かすと痛い」などの症状が特徴的です。実はこの時期が、五十肩が治るための一番重要なポイントになります。

炎症期は組織の炎症反応が活発な時期です。この時期のポイントは「炎症を早く終わらせること」にあります。そのためには「できる限りの安静」が必要です。

多くの人はこの時期の対処法を間違えています。この時期に無理に動かすと、炎症が長引きます。炎症が長引くと、この後に出てくる「拘縮期(こうしゅくき)」が長くなってしまいます。

二つ目の過程は、痛みが落ち着き、動きが制限される「拘縮期」です。拘縮とは、組織の動きが制限されることをいいます。

この時期は炎症反応の中でも、組織の修復が主に行われている時期です。拘縮期が「痛みは強くないが、腕が挙がらない時期」になります。この時期の印象が強いため、多くの人は肩が固まらないように、炎症期から痛みを我慢して動かします。

しかし、先程も述べたように、炎症が長引くほど拘縮期も長くなります。つまり、固まらないように痛みを我慢して動かすと、逆に固まっている期間が長くなることになります。

最後が、肩の動きが改善されてくる「寛解期(かんかいき)」になります。この時期は徐々に固くなった組織の伸張性が改善されていきます。このときが積極的に動かす時期になります。

五十肩の治療ポイント

以上のように、五十肩には治っていく過程があります。そして、各過程には適切な対処法があります。以下にポイントをまとめます。

・五十肩には治癒していく適切な経過がある

・痛みが強い時期は固まってもよいので、痛みの改善を図る

・痛みがなくなったら、痛みのない範囲で動かしていく

多くの方は痛みが強い時期から無理をして、肩を動かします。そのため、痛い時期が長く続く上に、動かない時期が伸びてしまいます。

痛みが強い時期は極力安静を保つことが大切です。ただ、あまりに痛みが強い時は「氷で冷やす」「消炎鎮痛剤を処方してもらう」などの対処も検討する必要があります。