肩関節の痛みにインナーマッスルのトレーニングはいらない

7ee159bbb5517470f717b317e6520173_s

肩の痛みで病院を受診される人は多いです。「五十肩」「腱板断裂」など診断名はそれぞれですが、小学生から高齢者までさまざまな年代の方がいます。その中で、共通して聞かれる質問があります。それは「インナーマッスルを鍛えたほうが良いですか」ということです。

プロの野球選手をはじめ、多くのスポーツ選手がインナーマッスルの大切さを訴えています。それに伴い、メディアでもよく紹介されるため、一般人でも馴染みのある言葉になりました。

インナーマッスルとは、簡単にいうと「体の深いところにある小さな筋肉」のことです。この筋肉の役割は、体を動かすことより、関節を安定させることが主になります。インナーマッスルは肩だけでなく、股関節など他の部位にもありますが、役割は同じです。

今回は肩の痛みとインナーマッスルトレーニングについて解説します。

肩が痛いのは筋力不足が原因ではない

肩関節に痛みが出る原因は大きくわけて二つあります。

1つ目は「関節のかみ合わせの問題」です。関節はかみ合わせが合っていることにより、その機能を発揮します。そのため、かみ合わせが悪くなることを一番嫌がります。

かみ合わせが悪くなると痛みを発したり、周りの筋肉を緊張させたりします。この筋肉の緊張も痛みを誘発しますが、これはかみ合わせが悪くなった結果なので、原因は関節のかみ合わせということになります。

2つ目は「筋肉の問題」です。筋肉は過剰に使いすぎると、傷ついたり、断裂したりします。そして、損傷した筋肉は修復するため、炎症を起こします。この炎症の過程で痛みを生じます。

筋肉の損傷は、「過剰に使いすぎる」「筋肉のバランスが悪い」などの原因で起こります。筋肉の問題による痛みは治癒していく過程なので、それ以上の負担をかけなければ自然と落ち着きます。

痛みがあるから筋力が落ちる

人の体は、基本的には体が壊れないよう、無意識にさまざまな機能を調整します。

例えば、食後は血糖値が上昇します。しかし、高血糖の状態は体にとっては危険です。そこで、体は血糖値を下げるホルモンである「インスリン」を放出し、血糖値を下げます。この機能は意識することなく、自然に起こります。

関節に関しても同様で、かみ合わせが悪くなると関節は壊れます。これを避けるため、かみ合わせが悪くなりそうになると、痛みという不快な感覚を使います。それ以上負担をかけて、かみ合わせが悪くならないようにするのです。つまり、痛みには「体が壊れる前の危険信号」の役割があるということです。

そして、痛みがあると自然と体はその部位を使わないようになります。その結果、筋力低下が生じるのです。

つまり、「筋力低下 → 痛み」ではなく、「関節のかみ合わせの問題 → 痛み → 筋力低下」という流れになります。筋力低下が原因で痛みが出るのではなく、痛みが原因で筋力低下が起こるということです。

以上のように、肩関節の痛みはインナーマッスルの筋力低下によって起こるのではありません。関節のかみ合わせに問題が起こったため、痛みを発し、その結果としてインナーマッスルの筋力低下が起こるのです。

つまり、肩が痛い人にとってインナーマッスルトレーニングは必要ないということが分かります。加えていうと、痛みを我慢してインナーマッスルトレーニングを行うと、逆に痛みを悪化させる可能性が強くなります。

肩に痛みがあり、痛みを我慢してトレーニングを行なっている人は、そのトレーニングを中止するだけでも痛みが軽減するはずです。