痛みがあるとき、動作の練習をしてはいけない理由

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正座に限らず、痛みで動作ができないとき、その練習を行う人は多いです。その代表が「肩が挙がらない」「正座が出来ない、しゃがみ込めない」の二つになります。スポーツで見られるように、ある動作を繰り返すと、目的の動作が上手くなることは間違いありません。しかし、その前提は「痛みが無いこと」です。

痛みを我慢して動作の練習を行うと、逆に目的とする動作ができなくなることがほとんどです。今回は、痛みを我慢して動作の練習を行うことの弊害について述べます。

できない動作の繰り返し練習は効率的でない

正座ができないということは、ひざの曲がりが悪いことを指します。医療従事者も含め、多くの人は「ひざの曲がりが悪い=ひざの関節が固まって動きにくくなっている」と考えます。

そして「固くなったものは、動かしたほうが良い」と考えるため、できない動作を練習します。しかし、ここで考えなくてはならないことがあります。それは「なぜひざが固くなったのか」ということです。

ひざが固くなった原因を考えずに、起こっている現象(曲がらない)に対して、対処的な対応(ひざを曲げる練習をする)を行うと、体にはさまざまな弊害がでます。

これは、スポーツの動作練習でも同様です。動作ができないから、その練習をするではなく「何が原因でできないのか」を考えなくてはなりません。それは筋力かもしれませんし、柔軟性かもしれません。

いずれにしろ、できない動作を何も考えずに繰り返し練習することは、動作の上達はもちろんのこと、体にとっても非効率的であると考えます。

ひざが固くなる原因

ひざが固くなる原因は、大きく分けて「不動」「関節の噛み合わせ」「炎症」の3つが考えられます。まず「不動」に関して説明します。これは想像に難しくないと思います。人の体は、使わない機能は徐々に低下していきます。これは、体がこの機能は必要ないと判断するためです。

関節に関しても同様で、長い間、深く曲げるという動きを行わないと、体は深く曲げる必要がないと判断し、正座ができなくなります。このようなケースでは、曲げる練習を行い、その必要性を体に教える必要があります。

次に「関節の噛み合わせ」に関して説明します。関節は噛み合わせ(関節適合性)が合っていることにより、その機能を発揮します。つまり、関節は適合性が悪化することを嫌います。

関節の噛み合わせが悪くなりそうになると、「痛み」という不快刺激を使って、適合性が悪化しないようにします。これは体からの危険信号と捉えることができます。つまり、曲がらない角度は、関節の噛み合わせが合わない角度ということです。

最後は「炎症」についてです。関節内で炎症が起こると、関節の中に水が溜まります。この水は関節液といいますが、関節液は関節を動かすと、その動きに合わせて移動します。例えば曲げるときは、ひざの裏側に移動します。

関節の中は容量が決まっています。通常以上に関節液が多い状態で、さらにひざの裏側に集まるような状態になると、ひざの裏側に水の入った袋を挟んだような状態になります。つまり、物理的に曲がらないということです。

さらに、後ろ側にある「関節を包む膜」を過度に伸ばすため、痛みにつながります。これも、これ以上負担をかけないように、身体から発せられる危険信号になります。

以上のように、「関節の噛み合わせ」や「炎症」が原因の場合「固くなった → 曲がらない」ではなく「曲げると身体が壊れる → 壊れないように痛みを使って、曲げないようにする」ということになります。

つまり、無理に曲げる練習を行うと、正常な動きができるようになるどころか、関節が壊れてしまう可能性が高いということです。これを避けるため、場合によっては無理に動かさないことも重要になります。