背骨に問題があると腰やひざに痛み(疼痛)を生じる

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動物には人間に起こっている様な腰痛やひざ痛などは存在するのでしょうか。動物は言葉を発しないため、これらに対する答えは、はっきりとはわかりません。ただ、人間のような腰やひざの変形はないといわれています。

では進化の過程において人間と動物の身体にはどのような違いが生じたでしょうか。それは、四足歩行から二足歩行への変化です。

なぜ二足歩行になったのかということには諸説あり、ここで議論できるような内容ではありません。そのため省略しますが、人間の他の動物との一番の違いは二足歩行をするようになったことです。では、この二足歩行というものは腰やひざの痛み、変形とどのような関係があるのでしょうか?

人間は進化によって腰痛が起こるようになった

痛みや変形に関して、四足歩行と二足歩行の一番の違いは重力の影響です。二足歩行と比較して四足歩行では、体重を両手・両足の四本で支えています。より大きな接触面積で体重を支えています。さらに四足歩行では重心の位置も低くなるため、各関節にかかる重力の影響は小さくなります。

一方、二足歩行になると、体重を支える面積が小さくなるので、二足歩行はより高度なバランス能力が必要となります。

つまり、人間は「手の自由の獲得」の代償として、身体に対する重力の影響を受けやすくなったのです。またバランス保持の必要性が高まり、腰やひざなどの各々関節に負担がかかりやすくなってしまいました。

以上のように、進化の過程において重力環境下での身体の役割が変わってしまったために、腰やひざなどに疼痛が発生しやすくなってしまったのです。

重力に適応するための身体器官系

そのような変化のなかで、人間は全員が腰やひざに痛みを有するようになったのかというと、そうではありません。人間の身体というものは、生きていくために「その環境に合った身体」というものを作っていきます。

それでは、重力の影響を強く受けるようになった中で、どの器官が発達し、また適応するようになってきたのでしょうか。これは四足動物と人間との身体の構造の違いを比較するとわかりやすいかと思います。

一番の違いは背骨にあります。四足動物を始めとする人間以外の脊椎動物の背骨は、C字型になっていることが多いです。つまり、背骨の湾曲がありません。それと比較して、二足歩行を獲得した人間の背骨は頸椎(首)での前弯、胸椎(胸)での後弯、腰椎(腰)での前弯と3つの湾曲を作っています。

二足歩行になったことにより、上半身が腰やひざに負担をかける荷重部位となってしまいました。この上半身の荷重分の衝撃吸収を行う必要がでてきたため、背骨を湾曲させたのです。

その上半身の部位の衝撃吸収機能を担っているのが、脊柱のS字湾曲という部位になります。衝撃吸収能力に関しては、専門的な話をすると「衝撃吸収能=(湾曲数)2+1」という数式が成り立ち、脊柱の湾曲数に依存するようになっています。

より簡単にいうと、「脊柱の湾曲の数が多いほど、衝撃吸収能力が強くなる」と考えてください。このように脊柱の湾曲数を増やすことにより、上半身の重みを効率よく支えているのです。

また、他には胸郭(胸骨、肋骨、背骨)や骨盤の関節も重力の影響を受けやすくなくなり、四足動物と比較して、バランスを保つのに大きな役割を果たすようになりました。

以上のように背骨、胸郭、骨盤の構造の変化により二足歩行でも重力に適応できるような身体になっていったのです。

余談ですが、四足動物にも二足動物と比較すると少ないですが、重力の影響はあります。そのような中で、衝撃を吸収するような器官があります。それは筋膜と呼ばれるものです。

筋膜とは、筋肉をおおっている膜のことで、ボディースーツのように全身繋がっており、身体にかかる衝撃を吸収する役割があります。この筋膜の衝撃吸収能は四足動物だけでなく、二足動物にも共通しており、生物共通の衝撃吸収器官となっています。

よって、人間の重力環境下における身体器官は背骨、胸郭、骨盤帯、筋膜の働きが重要になります。これらに問題が生じると、重力環境下で何かしらの問題が生じ、腰やひざの痛みに繋がってしまうのです。