高齢による機能・能力低下を認識することが転倒予防になる

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寝たきりになる大きな原因として転倒があります。これら転倒の原因には、筋力低下が大きく関与しています。

ただ、それとは別に「認識のズレ」、つまり「自分の能力の過信」が転倒に関与しています。今回はそのことについて解説します。

年をとると、さまざまな機能が落ちる

加齢による身体機能への影響は多々あります。「筋肉」「骨」「関節」などの運動器系の変化はもちろんのこと「目」「耳」「鼻」など感覚器系の変化も生じます。

それだけではなく、脳神経系、呼吸循環器系、消化器系と身体のすべての器官の機能が落ちます。この中でも、特に転倒に関しては運動器系、感覚器系、脳神経系が関与していると考えられます。具体的にこれらの機能にどのような変化が現れるかというと、以下のようなものが挙げられます。

運動器系:
筋肉量の低下、体脂肪量の増量

感覚器系:
奥行の認識力の低下、近くを見る・薄暗い場所での視力の低下、高音聴力の低下

脳神経系:
反応能力の低下、記憶能力の低下

機能が落ちても気づかない

年齢によってさまざまな機能が落ちることに関しては、異論はないと思います。しかし、問題なのは「自分の機能が低下したことを認識している人が少ない」ということです。これはなぜでしょうか。

1つには、機能の落ち方に関係があります。普通に生活していると、ある日急激に多くの機能低下が落ちることはありません。毎日少しずつ落ちるため、機能が低下していることに気づかない場合が多いのです。つまり、変化が小さいためその変化に気づけないということです。

これは若い人でも同じです。普段生活している中でも、身体の機能というのは毎日変化しています。例えば飲み会の次の日では、ほとんどの人は身体が固くなっています。また、寝不足でも同様です。

この時、身体の固さに気づいている人はいると思いますが、同時に筋力が落ちていることに気づいている人は少ないと思います。実は、身体が固くなっているときは、筋力が低下していることがほとんどなのです。

普段、「今日は筋力が落ちている」と日々の変化を感じている人は少ないはずです。しかし、日によって実際の筋力を見てみると、わずかに力が入りにくいという状態になっていることがあります。

若い人は、このような状況のとき、普段と同じようにスポーツを行うと怪我します。これも「認識のズレ」から生じるものです。

高齢者ではこのような「認識のズレ」が、日々の変化だけなく、長期的な変化として生じます。「気持ちは若いが、身体がついていかない」という現象が実際に生じ、気づかないまま生活してしまうのです。結果として、自分では越えることができると思っていた段差につまずくことがあります。

このようなことを避けるために、普段から「今の自分の身体がどのような状態になっているのか」というものを把握しておく必要があります。方法は何でもよいのです。以下にその方法の例を挙げておきます。

・毎朝ストレッチして、自分の身体がどれくらい固いのか自覚する習慣をつける

・階段の昇り降りを意識して行い、どれくらいの高さまで問題なくできるのかを確認する

・片足立ちがどれくらいできるのかを確認する

このように、簡単なことで良いので、普段から自分の身体へ意識を向けることが転倒予防に繋がります。その中でも最も重要なのは、年を重ねると「自分の機能や能力は低下する」という事実を自覚することです。