鎮痛薬の副作用と胃腸障害(胃潰瘍、十二指腸潰瘍)

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風邪を引いたときに起こる喉の痛みや生理痛など、あらゆる場面で痛みが問題になります。このときの痛みを和らげるために鎮痛薬(解熱鎮痛剤)が使用されます。鎮痛薬は、強烈な痛みを一時的に抑える場合は問題になりにくいです。

ただ、週に何度も服用するなど、鎮痛薬の連用は避けなければいけません。鎮痛薬には胃腸障害があるからです。つまり、胃を荒らすことによって胃潰瘍や十二指腸潰瘍を引き起こすのです。

鎮痛薬の副作用

胃は胃酸が分泌されます。胃酸の正体は塩酸であり、強力な酸です。塩酸は金属を溶かすくらい強い作用を有していますが、同じように胃酸は私たちの細胞を溶かしてしまいます。つまり、胃酸が分泌されると「胃そのもの」を溶解させてしまうのです。

ただ、胃酸によって胃がダメージを受けていては大変です。そこで、胃酸からの攻撃から身を守るため、胃には粘液などのバリアー機能が備わっています。粘液や胃粘膜血流などにより、胃は保護されているのです。

しかし、鎮痛薬は粘液などを保護するバリアー機能を取っ払ってしまう働きがあります。これによって胃酸からの攻撃を直接受けてしまい、胃の細胞が溶けてしまうことで胃潰瘍などを生じるようになります。

私が大学生のとき、研究室で動物実験を行っていたときがあります。このときはラットに鎮痛薬を投与し、どれだけ胃潰瘍が起こっているのかを調べる実験でした。ラットに鎮痛薬を投与し、2時間後に解剖して胃を摘出すると、胃から多量の出血があり、明らかな胃潰瘍を生じていたことをいまでも覚えています。わずか数時間で胃が荒れてしまうほど、鎮痛薬の副作用は強いのです。

なお、空腹時に鎮痛薬を服用すると、副作用はさらに深刻です。胃の中が空っぽであると、薬の成分が胃粘膜に直接作用してしまいます。その結果、胃腸障害が強く表れてしまいます。

食後など、食事と一緒に鎮痛薬を服用する場合は、まだ副作用が軽減されます。ただ、痛みは突然起こるため、実際には空腹時に飲んで重い副作用に悩まされるケースも多いです。

また、人によっては家に鎮痛薬が余っていて、胃痛や腹痛が起きたので鎮痛薬を自己判断で服用することがあります。

前述の通り、鎮痛薬は胃潰瘍や十二指腸潰瘍を引き起こすため、胃痛・腹痛を和らげるどころか、胃潰瘍を増大させることで痛みを悪化させてしまいます。副作用の強い鎮痛薬を服用すると、あとで痛い目にあいます。

鎮痛薬の長期使用は害しかない

痛みを生じる原因はさまざまですが、鎮痛薬によってその原因を取り除くことはできません。鎮痛薬はあくまでも「痛みを感じにくくさせる」という作用によって痛みを抑えているに過ぎません。そのため、鎮痛薬の効果が切れれば、再び痛みを感じるようになります。

処方せんの中には鎮痛薬を1日3回服用するように指示しているものがあります。これはとても危険であり、胃から出血するリスクが高まります。

そこで鎮痛薬を服用するときは、胃が荒れないように胃薬と一緒に飲むのが普通です。薬の副作用を薬によって抑えようとするのです。ただ、前述の通り、薬の種類が増えるとそれだけ副作用リスクが高まります。胃薬にも当然ながら副作用があるため、服用する薬がむやみに増えるのは好ましくありません。

さらにいえば、鎮痛薬を長期にわたって使用する場合はさらに注意が必要です。鎮痛薬を服用すると、腎臓の血流量が減少して尿量が少なくなったり、水分が体内に貯留したりするリスクが高まります。これによって顔や手足がむくみ、薬の作用が長期にわたると腎障害が引き起こされます。

急に起こる傷や腫れなどの痛みに対して鎮痛薬を使うならまだしも、長期の痛みにこれらの鎮痛薬を使う意味はありません。

急性症状に対して薬を活用するのであれば、副作用の問題があってもそこまで気にする必要はありません。薬を使用することによる利益が大きいことがあるからです。

ただ、漫然と薬を投与すると好ましくないことを生じる確率が高くなります。これは、薬による副作用が表れやすくなるからです。鎮痛薬であっても、長期に渡って服用することはデメリットが大きいため、定期的に飲むのは控えた方が賢明です。