薬の価値と薬剤師による対面販売のメリット

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薬の多くは低分子化合物です。構造が単純であるため、安い原料から大量に合成することが可能です。それにもかかわらず、薬というのはその一つ一つの価格は高めに設定されています。

さらに、薬は大量に流通しています。ということは、薬は製薬企業に莫大な利益をもたらしているということです。では、製薬企業は不当な利益を上げているのでしょうか。これについて、確認していきます。

薬はなぜ値段が高いのか

新薬開発の際、製薬企業は薬による被害が表れないように、臨床試験を繰り返し行っています。そのためには莫大な費用が必要となります。

また、薬が完成して市場に出ればそれで終わりというわけにはいきません。発売後も副作用に関する情報を集め、患者さんごとに薬を使用した時の事例を調査する場合もあります。

新しい副作用情報が発見されれば、全国の医療機関に周知されるように働きかけます。発売後10年以上経過した後に重大な副作用が発見されることもあるため、油断は許されません。

これらの段階を経て、ようやく薬の安全な使い方が分かってくるようになります。副作用を回避し、薬の効果を最大限に引き出して病気を治療するための「情報」にこそ、薬に付けられている最も大きな価値があるのです。そしてこれが、薬の値段が高くなる原因です。

「情報の価値」については薬局も同様です。薬局を、ただ単に薬をもらう場所と捉えている人は多いのですが、薬局というのは、薬と共に「薬を安全に使用するための情報」を受け取る場所でもあります。

そのため、薬局の裏では飲み合わせのチェックや過去の病歴の把握、医師への問い合わせによる疑義照会などが行われているのです。こうして、ようやく薬が患者さんに手渡されます。

現在、薬は薬局で渡されることが多いため、大多数の人は薬剤師から指導を受けることになります。

ただ、この時、多くの人は「他の医療機関でもらった薬と今回の薬との飲み合わせは問題ないか」「最近ふらつきが多くて転倒しそうになることがあるが、これは薬の副作用ではないか」「子供が薬を飲んでくれず、何か対策を教えてほしい」など、自ら情報を取りにいく姿勢を見せることはありません。薬剤師から、ただ服薬指導を受けるだけです。

本来は「薬の効果や副作用に疑問を生じたとき」「体調に少しでも変化が表れたとき」「新しく健康食品やサプリメントを購入しようとするとき」など、専門家を活用しながら疑問を解決し、健康に過ごすための知識を身につけなければいけません。

対面販売のメリット

薬剤師を有効に活用してセルフメディケーションを実施するには、対面でアドバイスを受けるのが最も適しているといえるでしょう。セフルメディケーションとは、自分の健康を守るために自ら実施することを指します。

例えば、妊娠予定の方であれば「胎児や母乳に影響が出ない薬にしてほしい」、また、長年にわたって精神安定剤を服用していた方であれば「断薬を目指しながらうつ病の薬を減らしていきたい」など、普段思っている疑問を薬剤師に聞けば、その場で解決できることも増えるでしょう。

このような患者さんの声を吸い上げ、医師と掛け合うことも薬剤師の仕事です。疑義照会を行うことで医師と話し合い、その場で薬を切り替えたり服用方法を変更したりすることもあるのです。

そのために薬剤師は手探りで患者さんの話に耳を傾け、微妙なニュアンスを汲み取りながら薬の効果を最大限に引き出す努力をしています。こうしたことが、薬剤師による対面販売のメリットであるといえます。