一般用医薬品のリスクとインターネット販売

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薬は、医療用医薬品一般用医薬品(OTC薬)の2つに大別されます。前者は医療機関を受診して診察を受けなければ購入することができない類の薬です。医師の管理下で適切に使用しなければ、副作用という大きなリスクが待ち構えています。そのため、ネット上で購入することは当然ながらできません。

それに対して、後者の一般用医薬品はドラッグストアなどで誰でも購入できる薬です。一般用医薬品は大衆薬やOTC医薬品と呼ばれることもあります。

ネットで購入できる医薬品とは、この一般用医薬品のことを指します。医療用医薬品として使われてきた薬であっても、長い使用経験があり、比較的安全であると判断された場合は一般用医薬品として使用できるようになる場合もあります。

ただ、「一般用医薬品は比較的安全」とは言っても、単なる解熱鎮痛剤(痛み止めの薬)でも気を付けるべき点が多数存在します。一般用医薬品であっても副作用というものは多く起きるのです。

一般用医薬品(OTC薬)の副作用

厚生労働省によると、一般用医薬品による重篤な副作用は毎年約250例が報告されています。副作用頻度が高い薬としては風邪薬が最も多く、その次に解熱鎮痛剤、漢方製剤という順になっています。2007年から2011年の5年間では、一般用医薬品による死亡例は24件も報告されています。

一般用医薬品による副作用は、患者自らが訴えなければなりません。発表された件数は医療機関の受診などによって報告された数であることを考えると、実際にはもっと多くの副作用事例があると推測できます。

医療用医薬品の場合、定期的な診察を受けなければなりません。したがって、副作用が起きたときは素早い対応をとることができます。

それに対して一般用医薬品による副作用は、医療機関を受診しない限り発見されることはありません。つまり、一般用医薬品による副作用の特徴というのは、フォローを行いにくい点にあります。

もちろん、これらの副作用を発症しても初期に適切な対応を行えば、副作用の重症化を防ぐことは可能です。しかし、一般用医薬品は作用が比較的マイルドであり、副作用に対する患者側の意識も低いため、対応も遅れがちになります。

このように、医療用医薬品に比べると比較的安全に使用できると考えられている一般用医薬品ですが、薬である以上、医療用医薬品と同様に副作用が起こることを認識しておくことが重要です。

ネット販売と対面販売

薬によるネット販売が可能になると、副作用被害の人数が増加するであろうと一般的にいわれています。特に高齢者の場合、服用している薬の種類が元々多いため、一般用医薬品を使用すると相互作用が起こるリスクは増大します。

対面で薬の説明を受けるのであれば、どの薬が適切なのか、飲み合わせは問題ないか、それとも一般用医薬品ではなくて医療機関を受診し、医療用医薬品を処方してもらうべきなのかという区別が可能です。しかし、ネット上でボタンをクリックするだけでは区別することができません。

では、ネット販売は「負」の側面ばかりなのでしょうか。もちろん、そうではありません。住んでいる地域によっては、医薬品入手へのアクセスが難しい場合があります。

しかし、ネットであれば誰でも容易に薬を入手することができます。また、妊娠検査薬や薄毛対策の薬など、対面販売では購入しにくい薬であっても、ネットであれば誰の目も気にせずに購入することができます。

問題は、多くの人が対面販売によるメリットを感じていない点にあります。

本来であれば、すべての一般用医薬品を対象に、薬剤師が薬の説明を対面によって行い、適正な使用を促すことで副作用を回避しながら病気を治療していくのが理想です。

一般用医薬品の中でも特に危険性の高い薬(第一類医薬品)の場合、「薬剤師による文書を用いた詳細な説明」を行うことが義務付けられています。

しかし、厚生労働省による2013年の時点での覆面調査の結果、文章での説明を行っている店舗は約6割程度に留まっていたという報告があります。よりリスクの低い医薬品(第二類医薬品)の場合、半分以上の店舗で適切に情報提供がされなかったことも分かっています。

薬局薬剤師の役割と副作用回避

このように、現状ではリスクの高い医薬品であっても、対面での説明を十分に行うことはできていません。このような現実を考えると、値段が安くて利便性も高いネット販売に支持が集まるのも仕方のないことだといえるでしょう。

対面販売でのメリットを感じてもらえていないということは、薬剤師が反省すべき点でもあります。

そうは言っても、何も説明も受けずにボタンをクリックするだけで薬を購入すると、副作用リスクが高まる可能性があるは先に述べてきた通りです。

たとえネット販売であっても、もし電話やテレビ電話などで一人ずつ対応することができれば安全性を確保することはできます。しかし、それは現実的には難しい面があります。

一般用医薬品はこうした問題を抱えていますが、そのような意味では、一般用医薬品の販売よりも主に医療用医薬品の取り扱いに主眼を置く調剤薬局では、情報によるメリットが大きいのではないでしょうか。

調剤薬局では処方せん内容を医師に問い合わせる疑義照会や飲み合わせのチェックなど、患者さんに副作用が表れたり飲み間違いによる健康被害が起こったりしないようなさまざまな業務が行われています。

アレルギーの有無を確認したり、普段から飲んでいるサプリメントまで確かめたりすることも含め、処方せんと照らし合わせて問題がないことを確認した上で薬を手渡すのです。

薬を一回分ずつに分ける「一包化」を行うこともあれば、天秤などで量を測ってゼロから粉薬や水薬を作ることもあります。

薬剤師の仕事が知られる機会は多くはありませんが、このようにいくつかの段階を経て「何も問題が起こらないようにする」ことが調剤薬局で働く薬剤師の役割です。