老化・加齢で薬の効果が強まり、副作用リスクが高まる理由

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薬が効果を表すためには、4つの過程を考える必要があります。このときの「4つの過程」とは、吸収、分布、代謝、排泄のことです。

まず、薬を服用したときに腸から「吸収」されなければいけません。また、薬が吸収された後、血液にのって「分布」する必要があります。胃薬は胃に達しなければいけませんし、心臓病の薬は心臓へ作用しなければいけません。

そして、薬は異物であるために排出されます。このときにの過程に関わっているのが肝臓での「代謝」と腎臓での「排泄」です。薬は2つの臓器によって体外に排出されると考えてください。

老化・加齢と薬の関係

そこで、薬の効き目があらわれるために必要な4つ概念(吸収、分布、代謝、排泄)を用いて、「老化と薬」について考えます。

加齢によって年を取ると、薬物動態のパラメーターが変化してしまいます。つまり、若い時と同じように薬を服用していると、気づかないうちに薬の作用が強く出て、副作用を引き起こすことがあります。すなわち、「吸収・分布・代謝・排泄」の値は、年齢を重ねると変化するということです。

それぞれの過程についてみていきましょう。まず、「吸収」に関しては、高齢者であってもあまり変化しないと言われています。

加齢によって腸の運動が弱くなるなどの影響はありますが、ほとんどの場合はそこまでの大きな変化はないと考えられています。

つまり、高齢者と若年者を比べると、「体内に入ってくる薬物量はあまり変わらない」と認識してかまわないということです。一方、加齢によって変化が起こるのは「分布・代謝・排泄」です。

まず、「分布」です。高齢者では、体内で脂肪が占める割合が増え、水の割合が減っていきます。すなわち、年を取ると脂肪量が増えるということです。

このような変化が起こると、薬が長く体内に留まることになり、薬の濃度が高くなります。その結果、薬の効果が強く出て副作用が表れやすくなります。

要は、いずれの場合でも「薬の作用が強くなり、副作用の可能性が高まる」ということです。このことから、高齢者では「薬の投与量」を調節しなければならないことが分かります。

薬の代謝・排泄過程での問題

一方、肝臓での「代謝」は、加齢によって機能の低下が知られています。肝臓そのものの重量が減り、肝臓を流れる血流量も減少します。その結果、薬の代謝が進まなくなり、それに伴って体内の薬物濃度が上昇してしまうのです。

腎臓での「排泄」も同様です。腎機能は加齢によって低下するため、排泄もスムースに行われなくなります。腎臓での排泄能力は、25歳を境にして年々低下していくと言われています。年を取る分だけ薬の排泄能力が弱まるということです。逆にいえば、薬の効果が強くなるということです。

高齢者が若い時と同じような薬の量を服用すると、薬の濃度が知らない間に中毒域に近づき、副作用を引き起こす可能性が高まります。そのため、加齢に応じた薬の調節を行うことは大切です。

通常、服用量の調節は医師・薬剤師が行ってくれます。そうは言っても、年齢を重ねることで「薬の効き目や副作用に問題はないか」と常に自分の体へ意識を向ける必要があるでしょう。

体の調子が悪いとき、もしかしたら体の変化によって生じた薬による副作用かもしれません。老化によって年を取ったとき、薬の作用が強まることを常に頭に入れておけば、自分の健康を守る手助けになるでしょう。