新薬は安全とはいえず、むしろ副作用を予測しづらい

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新薬について、とても効果が優れていて安全であると思ってはいないでしょうか。ただ、本当のところをいうと、これは勘違いです。

新薬といっても、必ずしも効果が良いとは限りません。素晴らしい作用を有する新薬は存在しますが、それはごく一部です。それどころか、新薬は副作用を予想しにくいため、思わぬ副反応が表れる可能性があります。

新薬の本質

新しく新薬が発売された時、その薬がどのような副作用を引き起こすのかを事前に予測するのはとても難しいです。発生する副作用を治験(臨床試験)によって発売前にある程度把握しているとはいっても、それにはやはり限界があります。

治験などによって薬の効果を確かめる場合、患者さんの数は数百人程度です。したがって、治験ではめったに表れない重篤な副作用が隠れてしまう可能性が生じます。

そして治験を終え、新薬が実際に市場に出ると、一気に何万人もの患者さんに投与されることになります。つまり、市場で多くの方に使用されることによって、治験では予測できなかった副作用が表れてしまうケースが頻繁に起こることになります。

また、治験では専門の医師が管理している中、「治験薬の服用回数や期間、回数を正確に守る」「飲酒・喫煙を制限する」「他の医療機関を受診する場合は、事前に担当医と相談する」など、厳密にコントロールされた状態で薬が使用されます。

しかし、市場に出るということは、さまざまな背景を持った患者さんに対して薬が使用されるということでもあります。

患者さんによっては複数の医療機関を受診して、さまざまな種類の薬を服用していることもあるため、薬同士の相互作用(飲み合わせ)が起こるかもしれません。自己判断による薬の増量や減量、断薬などを行うことで薬の副作用が表れてしまうかもしれません。

そして、先に述べた通り、治験では見つからなかった副作用が発見されるかもしれません。

このように、新薬というのは、それまで使用されたことがなかったために有害事象が起こりやすくなるという特徴を必然的に持っています。

新薬で生じた薬害

これは薬害事件を見ても分かると思います。サリドマイド事件では、発売された後にようやく催奇形性の問題が浮上しました。サリドマイドという薬を服用することで、奇形をもった新生児が生まれてきたのです。

ソリブジン事件では、発売後に「抗がん剤フルオロウラシルとの併用で重篤な副作用が起こる」というトラブルを引き起こしました。イレッサ訴訟の場合でも、新薬発売後に、それまであまり重要視されていなかった間質性肺炎という副作用に注意が向くようになりました。

どれだけ治験を行ったとしても、新薬である以上は副作用を予測することは困難です。そのため、思いもよらなかった副作用がどうしても表れてしまうことは避けられません。

このような問題を減らすため、特に新薬は慎重に使用するために国によって制限がかけられています。例えば、「薬の値段が決められてから1年未満の薬」は2週間分(14日以内)までしか処方できないようになっています。

そのため、発売されたばかりの新薬を処方された場合、2週間ごとに医療機関を受診して薬をもらいに行かなければいけません。

薬の値段が決められた後に1年を過ぎれば、その翌月から「長期処方解禁」と呼ばれ、1ヶ月分や3ヶ月分など、2週間を超えて薬を処方することが可能になります。

また、処方制限以外にも、薬には副作用を避けるためのさまざまな対策が取られています。抗がん剤や関節リウマチの治療薬など、薬の扱いに注意が必要となる薬の場合は「適正使用」として薬の使用を制限することがあります。

また、専門の医師しか薬を処方することができないなど、危険性の比較的高い薬を適切に使える医師だけに制限する対策もあります。

ただ、「新薬は2週間分までしか処方できない」、あるいは「限られた医師だけが薬を使用できる」などの制限があると、患者サイドとしてはその分だけ不便さが増すことになります。

特に医療機関のない地方に住んでいる人は、その度に大病院まで足を運ばなければならないため、時間やお金を大きくロスしてしまいます。つまり、都会から離れれば離れるほど、薬が手に入りづらくなる状況が生まれやすくなるということです。

そうはいっても、これは副作用を回避するために不可欠な措置だといえます。なぜこのような対処が行われているかというと、新薬の副作用は予想できず、大きなリスクを伴っているからです。