口臭が人間だけに起こる理由:喉構造の進化と鼻呼吸の重要性

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口臭は、紀元前から人類を悩ませているものだと言われています。その一方で、口臭について具体的な研究が行われるようになったのは、1980年代とかなり最近になってからです。

研究が行われる以前から、口臭については問題となっていました。しかし、取り上げられていたのは、病気の症状としての口臭のみであり、口臭そのものについてはあまり気にされていなかったようです。

また、口臭は「口の臭い(ニオイ)」と書きますが、日本口臭学会の定義では、「呼気」の悪臭とされています。そして、口から息を吐く動物は人間のみです。そのため、口臭とは人間のみに起こるものだということができます。

もちろん、犬などの動物でも、げっぷなどを行うと、口から悪臭がすることはあります。しかし、これは口臭ではありません。そこで、今回は人間のみに口臭が起こる理由について解説します。

人間における喉の特徴

口臭を発する口は、食道から腸までつながる消化器官の入り口になります。そのため口は、本来は消化器官であることがわかります。

しかし、人間は進化の過程によって、消化器官である口を呼吸器官として利用するようになりました。そのため、口臭という人間にしか起こらない症状に悩まされることになったと考えることができます。

生物が生命を維持するためには、呼吸を行うことで、体内に酸素を取り入れることが不可欠です。

そのために、生物には呼吸器官があります。昆虫は「気門」と呼ばれる器官を通して呼吸しますし、鳥類は鼻から肺につながる「気道」によって呼吸を行います。そして、哺乳類は、鼻から空気を吸い込み、肺に入り、肺から出される呼気は鼻から出されます。

そのため、人間においても、呼吸は鼻で行うことが本来の形であると言えます。しかし、人間は口でも呼吸を行うことができます。

ほとんどの生物は、食べ物が通る道と、空気が通過する場所は完全に分かれています。一方で人間は、食べ物を食べる口と、本来の呼吸器官である気道、そして肺がつながっているため、口でも呼吸を行うことができます。

そのことで、口臭に悩まされるようになりました。

口臭が生まれるメカニズム

口臭は、本来は消化器官である口が、呼吸器官とつながってしまったため起こるようになりました。そして、口から出る「ガス成分」によって口臭は作られます。

口から発生するガス成分には、「口腔内ガス」「呼気ガス」「鼻臭ガス」の3つがあります。これらが複合して、口から発生するガスが作られます。以下に、それぞれの項目について簡単に述べます。

・口腔内ガス

口腔内ガスは、口腔内から発生するガスであり、主に唾液が原因とされています。

・呼気ガス

呼気ガスは、肺から発生するガスを言います。血液中に含まれる代謝産物が肺でガス交換され、呼吸に混ざります。

・鼻臭ガス

鼻の奥や喉のガスが、唾液や鼻水などを介して発生するガスです。これは、主に鼻から出るものですが、一部は口からの呼気に混ざり、口臭を作る要因となります。

そして口臭は、この3つのガス成分にニオイの元が入り込むことで起こります。

主にニオイの元になるのは、食事によって作られる成分だと言われています。特に、食べ物に含まれるタンパク質が分解されることで産生される「アンモニア」や「インドール」といったものが、口臭成分として知られています。

これらは、口腔内や腸内で食べ物が代謝されるときに発生します。そして、口腔内ガスや呼気ガスとなって口から出ることで、口臭となります。

今回述べたように、口臭は呼気の悪臭であるため、口で呼吸をする人間にしか起こりません。そして、口臭の多くは、食事が原因で起こります。このことから、鼻で呼吸することの重要性や、口臭に対する食生活の大切さが理解できるのではないでしょうか。