口臭は脳が作り出した偽物である:脳とニオイの関係

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口臭は、多くの人が悩んでいるものです。しかし、その大半は、本人の思い込みだと言われています。本当は周りの人にわかるような強い口臭でもないのに、過剰に気にしている人がたくさんいます。

そのような場合、ほとんどは気にするほどの口臭ではありません。しかし、そのように過剰に意識することで、日常生活にさまざまな悪影響を及ぼしています。

では、なぜ人はこのように、周りには影響しないような口臭を過剰に気にするようになるのでしょうか。それには、人間の脳が持つ特性が関係しています。そこで今回は、ニオイと脳の関係性について解説します。

記憶とニオイの関係

あなたは、あるニオイを嗅いで「懐かしい」「〇〇の匂いがする」と感じたことはないでしょうか。ほとんどの人が、ニオイは何かしらの記憶と結びついています。

そして、脳は高度な役割を担っている一方で、いいかげんな性格も持っています。例えば、ある食べ物を頭の中で想像するだけで、今ここにはないはずの、その食品の「ニオイ」までそこに存在するように錯覚してしまいます。

このことでよく挙げられる例が「梅干し」です。梅干しを想像するだけで、口の中が酸っぱい感じがしたり、実際に唾液が出てきたりします。

このように、記憶とニオイは密接に関係しています。ニオイは記憶に残りやすく、また、思い出しやすい感覚といえます。そのため、一度、自分の口臭が臭いものとして記憶に残ると、過剰に意識するようになってしまいます。

誰でも口臭はありますし、一日の中でも変わります。口臭を気にする人は、ちょっとした変化にも敏感に気づき、「やはり自分には口臭があるのだ」と感じます。

これは、通常の人では気にしないようなちょっとした変化で起こります。例えば、起床時や食前などは、誰でも口臭が強くなりますが、普通は気にならない程度です。しかし、口臭を意識している人は、このようなわずかな違いにも敏感に気づきます。

このように、脳が持っている「」ニオイと記憶を結びやすいという特性が、口臭に対する思いこみの原因の一つと言えます。

嗅覚には慣れがある

このように、ニオイは記憶と密接に関係しています。そのため、実際にはないようなニオイを「ある」と感じたり、他の人にはわからないようなニオイを敏感に感じたりすることがあります。その一方で、実際には「ある」ニオイを、「ない」ように感じてしまうこともあります。

典型的な例が、その人の家のニオイです。あなたも、誰かの家にお邪魔したときに、その家のニオイを感じたことがあるのではないでしょうか。家は、元々の素材のニオイや住んでいる人の習慣によってニオイが異なります。

そのため、「この人の家のニオイ」というものがたくさんあります。しかし、実際に住んでいる人がそのことを自覚しているかというと、そうではありません。

自分の家のニオイというものは、よほど気をつけていないとわからないものです。たとえ他の人から指摘されて意識して嗅いでみても、そう簡単に気づくものではありません。これは嗅覚の特性によるものです。

嗅覚には、視覚などの他の感覚に比べて「慣れやすい」という性質があります。これは、「嗅覚の疲労」とも言われます。

特に人間の嗅覚は、他の動物と比べて疲労が起こりやすいと言われています。そのため、同じニオイを嗅ぎ続けていると、そのニオイに鈍感になってしまいます。これが、口臭に気づきにくい人がいる理由です。

今回述べたように、ニオイと脳には、さまざまな特性があります。その特徴ゆえに、口臭を過剰に意識したり、逆に気づかなかったりするということが起こります。

このような体の特徴を理解しておくことで、ニオイで起こる問題を回避しやすくなります。人間の嗅覚や脳は高度な働きをしますが、いいかげんなものです。まずはこの特性を知った上で、あなた自身のニオイと付き合うことが大切です。