マタニティブルーや産後うつを生じる原因と対策

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マタニティブルーとは、産後2~3日目がピークの軽いうつ状態の事を言います。産後女性の二人に一人が経験していると言われるもので、10日~2週間もすれば良くなることがほとんどです。ただ、放っておくと産後うつに移行してしまうことがあります。

それでは、なぜマタニティーブルーが起こるのでしょうか。また、産後うつにならないため、どのような対策が必要なのでしょうか。これらの原因や対策について解説していきます。

マタニティーブルーの原因

妊娠すると、女性の身体には大量の女性ホルモン(エストロゲンやプロゲステロン)がたっぷり分泌されます。女性ホルモンは卵巣から分泌されますが、妊娠中期に胎盤が完成すると、胎盤からも女性ホルモンが分泌されます。 その結果、体内は女性ホルモンで満ち溢れた状態になります。

ところが、これらの女性ホルモンは、分娩直後にはほとんどゼロになってしまいます。これは、出産時に胎盤が体外に出ることや、母乳と深くかかわっている乳汁分泌ホルモン(プロラクチン)が女性ホルモンの分泌を抑えているからです。

実は、これが脳にも影響を与えます。 女性ホルモンの一つである「エストロゲン」は脳内の神経伝達物質「セロトニン」の分泌を増やしたり、取り込み口となる受容体 (セロトニンが作用するためのスイッチ)を増やしたりすることがわかっています。

「セロトニン」とは、生体リズムに作用し、睡眠や体温、感情的な情報をコントロールして精神を安定させる作用のある物質です。別名で「幸せホルモン」とも呼ばれています。セロトニンが不足すると、不安になったり、眠れなくなったりします。いわゆる「うつ」の状態になりやすくなります。

出産によってエストロゲンの分泌量が減ることによりセロトニンも不足し、一時的な情緒不安定状態になりやすくなっています。これに育児のストレスや疲れが加わることによって、さらに情緒不安定に拍車がかかります。これが産後にマタニティブルーが起こる原因です。

このとき、「一人で抱え込まない」「人を頼る」などの対応が一般的となっています。そこで、ここでは抱え込まないことを前提に、自分一人で行える対策を述べていきます。

セロトニンを増やす

前述のとおり、エストロゲンの分泌が減ることによってセロトニンが減ってしまうのがマタニティブルーの主な原因です。セロトニンを増やす方法は、大きく分けて4つあります。

① 日光を浴びる

セロトニンは太陽光を知覚することで活性化します。産後直後の育児は生活リズムをとりづらく、外出も難しいですが、起きたらまずカーテンを開けてしっかり日光を浴びましょう。

② リズム運動をする

セロトニンは運動機能と密接に関係しており、反復運動をスムーズに行うために必要な物質です。そのため、セロトニンを増やすには反復性のある運動が効果的です。

理想は「①日光を浴びる」と併せて、朝にリズムよく散歩するのが良いのですが、産後は難しいと思います。そこで、毎日の食事をいつもよりしっかりと噛むようにしてみましょう。これも反復運動の一つで、手軽に生活に取り入れられることができます。

③ グルーミング

グルーミングとは、動物たちが毛づくろいをしあう行為ですが、人間に当てはめると、スキンシップ、マッサージ、おしゃべりやハグに当たります。特にこの中だと、スキンシップ・ハグは赤ちゃんと簡単に行うことができます。やさしくギュッとしてみましょう。

④ セロトニンの材料を摂る

どんなに増やそうとしても、材料が不足していてはどんなに頑張っても作れません。セロトニンを作るためには、必須アミノ酸の一種「トリプトファン」が重要になってきます。「トリプトファン」を多く含んでいる食材は、牛乳、アボカド、ナッツ、バナナ、大豆などです。

また、トリプトファンからセロトニンを合成するためには「ビタミンB6」も必要です。これを多く含む食材は、青魚、豚モモ、にんにく、しょうが、バナナなどです。

ただし、高タンパク質の食事は脳にトリプトファンを送ることを邪魔してしまうので、お肉ばかり食べるなどの偏った食事をしている人はこれを機に見直しましょう。

これらの「セロトニンを増やす行動」は継続することによって効果を発揮します。できれば出産前から習慣にして、マタニティブルーを予防しましょう。

大豆イソフラボンを摂る

産後の身体には女性ホルモンがかなり少ない状態なので、外から似たものを補充してあげることも、マタニティブルーの対策になります。

大豆イソフラボンはエストロゲンと化学構造が似ており、体内で微力ながらエストロゲンと同じような働きをしてくれます。

大豆イソフラボンをエストロゲンの代わりに効率よく活用できる腸内細菌を持つ人は、日本人の二人に一人と言われています。ただ、そのような腸内細菌を持っていない人でも、微力ではありますが有効に働きます。そこで、日々の食事に二回ほど大豆食を取り入れてみてください。

また、大豆製品を積極的に食べたり、腸内環境を整えたりすることによって、効率よく大豆イソフラボンを活用できるようになります。

おすすめは、朝食に豆乳バナナを取り入れることです。ミキサーで撹拌してスムージーのようにしていただいても構いませんし、別々に摂って頂いても問題ありません。

これにより、大豆イソフラボンだけでなく、セロトニンの項目で挙げた「トリプトファン」また「ビタミンB6」を有効に摂取することができ、その他アミノ酸、ビタミン、ミネラルもバランス良く摂取することができます。

アロマで対策

「エッセンシャルオイル」と呼ばれる、動植物から抽出した成分が凝縮されているアロマオイルには、香りでリラックスするだけではなく、香り成分を鼻から取り入れることにより、身体にさまざまな作用を起こします。

ホルモンバランスを整えるオイルは、イランイラン、マジョラム、ラベンダー、ローズマリー、カモマイル(カモミール)などです。40℃前後のお湯を張ったコップや小さな桶に数滴垂らして、芳香浴をするのが手軽で行いやすいと思います。

ただし、イランイラン、ラベンダーには血圧を緩やかに下げる作用、ローズマリーには血圧を緩やかに上げる作用があります。そのため、高血圧や低血圧の方は注意して使用してください。また、皮膚に直接塗ったり 、直接嗅いだりしてはいけません。良い香りと思うオイルでゆったり芳香浴をしましょう。

市販の「アロマオイル」という表記のものは、石油などから成分を抽出し、香りを似せているものがあります。そこで、「エッセンシャルオイル」という表記のものを使用しましょう。