妊娠による乳房の変化:妊娠中や産後のバストケア

9fc065709b6e0ce01b603a4267b8ac05_s

一般的に、妊娠・出産には美容的な損失を伴うといわれています。妊娠するとおなかが大きくなるだけではなく、母体自身の体重が増えたり、抜け毛やシミが増えたりします。

妊娠による乳房の変化も、妊娠による美容的損失の原因の一つです。妊娠・授乳中にはバストサイズが上がるため、乳房に妊娠線ができやすくなります。また、授乳期を終えると、乳房はサイズが戻って妊娠前よりたるみます。

妊娠によるバストアップと授乳期終了によるバストダウンは、生理的なものなので防ぐことができません。ただ、妊娠中と産後に正しいバストケアを行うことによって、産後の乳房を妊娠前とほぼ同じ状態に戻すことが可能です。

そこで、ここでは妊娠・出産によるバスト変化のメカニズムと、それによって起こる美容損失を防ぐコツについて述べていきます。

妊娠中における乳房の変化

妊娠中には、産後の授乳のために乳房が大きくなります。個人差がありますが、妊娠後期までには乳房のサイズが1~2カップ上がるといわれています。

妊娠中には、「エストロゲン」と「プロゲステロン」という女性ホルモンが大量に分泌されます。これらは、妊娠を正常に進めたり産後に備えた身体づくりをしたりする働きがあります。

乳房には、乳腺が脂肪に包まれた状態で存在しています。乳腺には、母乳を作る「乳腺葉」と母乳を運ぶ「乳管」があります。

エストロゲンは、乳管を発達させて母乳の通り道を広くします。また、プロゲステロンには、乳腺葉を発達させる働きがあります。このように、女性ホルモンが乳房内の組織を大きくするため、妊娠中は乳房が大きくなります。

また、プロゲステロンには、分娩・育児のために脂肪を蓄えさせる働きもあります。妊娠中はこの働きによって、全身に脂肪がついて体重が増えます。このとき、胸にも脂肪がつくため、その分だけ乳房が大きくなります。

このように、妊娠中は2つの要因によって乳房が大きくなるのです。こうしたバストサイズの変化は、妊娠中期頃(妊娠5~7ヶ月)から起こります。そのため、この頃から乳房に妊娠線が出やすくなります。

前述のように、妊娠中には乳房が大きくなります。乳房を包んでいる皮膚も、それに応じて大きく広がる必要があります。このとき、皮膚に弾力性があると、乳房の膨らみに応じて伸びていくことができます。ただ、皮膚が固くなっていると、うまく伸びずに切れてしまうことがあります。この切れ目が妊娠線です。

皮膚は、乾燥していると固くなって弾力性がなくなります。そのため、妊娠線の予防には皮膚を保湿することが大切です。

また、サイズの小さい下着をつけると血流が妨げられて皮膚の代謝が悪くなります。皮膚の代謝が悪化すると皮膚の弾力性が低下するため、適したサイズの下着を着用することが大切です。ただ、妊娠中はサイズが変わりやすいです。そのため、少しゆとりのあるものを選ぶことが大切です。

産後のバストケア

妊娠によって大きくなった乳房は、授乳期に少しずつ小さくなります。授乳期が終わる産後6ヶ月頃には、役目を終えた乳腺が小さくなるため乳房が小さくなります。

妊娠~授乳期は、乳腺の発達によって乳房が張っています。授乳期には、乳腺による張りが失われて妊娠中についた脂肪が残ります。そのため、脂肪の重さを支えきれずに乳房が垂れやすくなります。

非妊娠期の乳房は、「大胸筋」という胸部の筋肉と乳房内の「クーパー靭帯」という靭帯によって支えられています。

大胸筋は、乳房の土台になっている筋肉です。乳房自体には筋肉が存在していません。クーパー靭帯が、大胸筋とつながって鉄骨の役割を果たすことで乳房の形が保たれているのです。クーパー靭帯は、一度伸びると元に戻りません。そのため、産後に乳房が垂れると元に戻すことが困難なのです。

クーパー靭帯の伸びによる乳房の下垂を防ぐためには、下着によって乳房を支えることが大切です。授乳期を終える頃にはすでに下垂が始まっています。そのため、授乳期中に下着による乳房サポートを始めることが大切です。

ただ、産後1ヶ月はさまざまな身体的トラブルが起きやすい時期です。そのため、下着による乳房サポートは、産後の1ヶ月検診を終えてから行うのが無難です。また、きつく締め過ぎると血液の循環が妨げられるため、乳房をやさしく支える下着を選ぶことが大切です。

また、胸部の筋肉が弱くなると、胸部がたるむために乳房が下がります。そのため、胸部の筋肉を鍛えることは、乳房下垂の防止につながります。

乳房の土台である大胸筋を鍛えるには、合掌のポーズが適しています。背筋を伸ばし、目の前で両手を合わせて両手を押し合います。このとき、腕ではなく胸部に力が入っていることを確認します。

また、肩甲骨を動かすことで、胸筋の一つである小胸筋が鍛えられます。肩を上下に動かすことで肩甲骨が動き、小胸筋が鍛えられます。この動きは日常に取り入れやすいため、家事や育児の合間に行うことができます。

ただ前述のように、クーパー靭帯の伸びによる乳房の下垂は、胸筋を鍛えても戻りません。そのため、産後のバストケアは、乳房を下着などで支えた上で胸筋を鍛えるエクササイズを行うことが大切です。