妊娠中のストレスによる胎児への影響:血流の悪化

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慢性的なストレスが身体にさまざまな不調を起こすことは有名です。慢性的なストレスがあると、胃腸の調子が悪くなったり眠れなくなったりすることがあります。ストレスが長引いて悪化すると、うつになることもあります。

現在、ストレスが原因の病気にかかる人が増えています。現代の日本人の多くが、過度な慢性的ストレスに晒されているといわれています。

このようなストレスの原因の多くは、完全に排除することができません。ただ、妊娠中の過度なストレスは胎児に悪影響を及ぼすことがあります。そこで、ここでは妊娠中におけるストレスの胎児への影響について解説していきます。

ストレスと自律神経

人は無意識のうちに心臓を動かして呼吸をしています。これは「自律神経」の働きによるものです。自律神経とは、人の生命活動に必要である基本的な器官の活動を無意識に調整しています。こうした自律神経は「交感神経」と「副交感神経」に分けられます。

交感神経とは、身体が活動しているときに活発になる神経です。それに対して、副交感神経は安静時に活発になります。人は、この2つの神経が互いにバランスをとりあうことによって生命活動を行っています。

ストレスを感じると、身体はストレスを回避するための行動を起こします。ストレスから身を守るために、交感神経を活発にして戦ったり逃げたりする準備を行うのです。

交感神経が活発になると、血液は脳や心臓、骨格筋(手足などを動かす筋肉)へと優先的に送られます。そのため、消化器官や子宮などの血流が減少します。生命の危機などのストレスを回避するために、身体は消化などを後回しにして直ちに動ける状態を作るのです。

ストレスが長期化すると、上記の状態が長く続きます。言い換えると、子宮へ血液が送られにくい状態が長く続いてしまうのです。

胎児は母体の血液から栄養や酸素をもらっています。そのため、子宮への血流が減少した状態が続くと胎児が栄養・酸素不足に陥ります。

以上のことから、母体の強いストレスや慢性的なストレスは、低出生体重児(2500g未満で生まれてきた新生児)や早産、流産などを起こす危険性があるといえます。

実際に、離婚などの環境変化や地震などの災害時には、流産や低出生体重児が増えることがわかっています。

ストレスへの対処方法

前述のように、妊娠中のストレスは胎児に悪影響があります。そのため、ストレスのない生活を心がけることが大切です。

ただ実際には、妊娠すると身体や環境に大きな変化が起こるため、ストレスのない生活を行うことは困難です。そのため、胎児へのストレスの影響を限りなく減らすことが大切といえます。

胎児へのストレスの影響は、交感神経が活発になることによって起こります。そのため、妊娠中はなるべく交感神経の働きを抑えることが大切です。交感神経は、副交感神経が活発になることで働きを抑えることができます。

前述のように、交感神経が活発になると緊張して呼吸や心拍が早くなり、血流のバランスが悪くなります。それに対して、副交感神経が活発になったときは、それらの反対の状態になります。

これらの働きは、互いに作用します。つまり、副交感神経が活発になると身体がリラックスして呼吸や心拍が落ち着き、身体がリラックスすると副交感神経が活発になるということです。

そのため、意識して副交感神経を活発にする行動をとることで、ストレスによる子宮への血流の減少を防ぐことができます。副交感神経を意識して活発にするためには、副交感神経が活発になったときの身体の状態を作ることが有効です。

副交感神経を優位にする活動

自律神経が支配する活動のほとんどは、意識して行うことができません。ただ、呼吸は意識して行うことができます。呼吸を落ち着かせることで、副交感神経を意識的に活発にすることが可能です。

まず背筋を軽く伸ばして、数を数えながら鼻からゆっくりと息を吸います。そして、吸ったときの倍の時間をかけてゆっくり口から息を吐き出します。このときの姿勢は、立っていても寝ていてもかまいません。こうした一連の呼吸の流れを数回繰り返すことで呼吸が落ち着き、副交感神経が優位になりやすくなります。

また、一日に一回以上、ゆっくり入浴したり読書をしたりなどのリラックスする時間をとることが大切です。特に就寝前に行うことで、スムーズに眠りに入ることができます。入浴剤やハンドクリームを好きな香りにすることもおすすめです。ラベンダーの香りには、副交感神経を刺激する作用があります。

一方で注意すべき香りがあり、レモングラスやローズマリーなどの香りは子宮の収縮を促すことがあります。そのため妊娠中は、ラベンダー以外のハーブ系の香りはなるべく避けることが無難です。