高齢出産のリスク:微弱陣痛と妊娠高血圧症候群

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かつては多くの女性が25歳前に結婚していた時代がありました。ただ現在では、女性の平均初婚年齢が29歳まで上がっています。それに伴い、初産の平均年齢も30歳を超えるようになりました。

妊娠・出産や子育てにはお金がかかります。一般的に、年をとるごとに経済的に安定しやすいといわれています。経済的に安定する30代以降での出産は、子供にお金をかけやすい環境といえます。

このように、30代以降の出産には経済的なメリットがあります。ただ、35歳以降の出産である「高齢出産」では、さまざまなリスクが高まることがわかっています。そこで、ここでは高齢出産のリスクと、リスクをなるべく避けるための生活習慣について述べていきます。

高齢出産のリスク:微弱陣痛

妊娠・出産には体力を必要とします。特に、分娩における体力の消耗はフルマラソンなみといわれています。一般的に、体力は20代をピークに低下していきます。特に身体を動かさない仕事に就いている人では、より体力が衰えがちです。ただ、体力が低下した状態で分娩を行うと、微弱陣痛が起きやすくなります。

通常、いったん陣痛が始まると回数を増すごとに痛みが強くなり、陣痛の間隔が短くなっていきます。微弱陣痛とは、痛みが強くならなかったり間隔が短くならなかったりする陣痛のことをいいます。陣痛は子宮口が広がる際の痛みなので、微弱陣痛が起こると子宮口が開かずに分娩が長引きやすくなります。

分娩が長引くと胎児が死亡する危険性があるため、陣痛促進剤の使用や緊急帝王切開など、医療的処置が行われます。また、分娩が長時間に及ぶと、母体の出血量が増加することによって母体が死亡に至ることもあります。

高齢出産のリスク:妊娠高血圧症候群

妊娠高血圧症候群とは、妊娠中に高血圧やタンパク尿が見られる病気です。妊娠高血圧症候群の原因はまだ特定されていません。ただ、高齢出産で起こりやすいことがわかっています。

一般的に、年を取ると血管が老化して固くなります。また、妊娠中の身体は血液量が多くなります。広がりにくい血管に大量の血液が流れることになるので、血管への圧力(血圧)が上がります。そのため、高齢出産では妊娠高血圧症候群になりやすいのです。

高血圧になると、子宮や胎盤へ十分な血液が送られにくくなります。胎児は母体の血液から酸素や栄養をもらっています。そのため妊娠高血圧症候群になると、胎児の酸素や栄養が不足しやすくなり、発育不全が起こったりおなかの中で死んでしまったりすることがあります。

また、妊娠高血圧症候群になると常位胎盤早期剥離(じょういたいばんそうきはくり)が起こりやすくなります。常位胎盤早期剥離とは、分娩前に胎盤がはがれてしまうことをいいます。

胎盤は、胎児にとっての酸素供給源です。そのため、分娩前に胎盤が剥がれると胎児への酸素供給が絶たれてしまい、命を落としてしまうことがあります。また、胎盤が剥がれた部分からの出血が止まらなくなることがあり、母体にも命の危険があります。

高齢出産のリスクを減らすための生活習慣

微弱陣痛や妊娠高血圧症候群の予防のためには、生活習慣の見直しが大切です。肥満は微弱陣痛や妊娠高血圧症候群が起こりやすいことがわかっています。そのため、妊娠前および妊娠中の体重管理が重要といえます。

微弱陣痛は、体力の低下が大きな要因です。そのため、定期的に運動して体力をつけておくことが大切です。定期的な運動は、体力の増加ともに体重管理にも有効なため、積極的に行うことが好ましいです。

また、疲労や睡眠不足も微弱陣痛を起こします。妊娠後期になると、大きなおなかが原因で眠れなくなることが多いです。そのため、昼寝をとったり疲れたら横になったりするなど、疲れない工夫をすることが大切です。

妊娠高血圧症候群の予防には、食生活の見直しが有効です。例えば、塩分(ナトリウム)の多い食事は血圧が上がりやすくなります。ただ、日本人の一般的な食事は塩分が多い傾向にあります。そのため、薄味を意識した調理をしたり、加工食品を避けたりすることが大切です。

また、外食は塩分や脂肪分が多いにもかかわらず、野菜が少ない傾向にあります。野菜の摂取は高血圧予防に有効なため、積極的に食べることが好ましいです。そのため、外食や中食(コンビニやスーパーの惣菜など)はなるべく控え、野菜多めの献立で自炊することが大切です。