高齢出産での流産リスクの上昇:妊娠高血圧症候群とその合併症

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現在では、女性の社会進出と晩婚化の影響で、高齢出産が増加傾向にあります。ここで高齢出産とは、35歳以上での出産のことをいいます。

高齢出産は、さまざまなリスクを伴うことがわかっています。高齢出産では、そうでない場合に比べて子供の先天性異常や低出生体重児などの発生率が上がり、流産に関わる病気も起こりやすくなります。そこで、ここでは流産を招く病気とその予防策について解説していきます。

流産リスクの上昇:妊娠高血圧症候群

妊娠高血圧症候群とは、妊娠中にタンパク尿と高血圧がみられる病気です。妊娠高血圧症候群が起こるメカニズムは解明されていません。ただ、高齢出産で起こりやすいことがわかっています。

高齢出産における妊娠高血圧症候群の原因の一つが「血管の老化」だといわれています。一般的に、年を取ると血管の老化により高血圧になるリスクが高くなります。

血管が老化すると、固くなって弾力性がなくなります。通常、血管は血液が通るときに一時的に膨らみます。ただ、老化によって血管が固くなると、血液が流れるときに膨らみにくくなります。

血管の弾力性がなくなっていても、流れようとする血液の量は変わりません。そのため、細く固くなった血管に血液の力がかかることにより、血圧が上がります。さらに、妊娠中は体内を流れる血液の量が増えます。そのため、非妊娠時より血管への圧力が上がりやすいです。

このように、妊娠中は高血圧になりやすい時期です。それに加えて血管が老化していると、より血圧が上がりやすくなります。そのため、高齢出産では妊娠高血圧症候群が起こりやすいのです。

また、血管が固いと血液が流れるときに抵抗を受けます。そのため血流の流れが悪くなり、胎盤などに血液が行き渡りにくくなります。

胎児は胎盤から酸素を受け取っています。そのため、妊娠高血圧症候群によって胎盤の血液が滞ると、胎児に十分な酸素が届かずに死んでしまうことがあります。また、妊娠高血圧症候群が悪化すると命に関わる合併症を引き起こすことがあります。以下に、流産を招く妊娠高血圧症候群の合併症について述べていきます。

妊娠高血圧症候群の合併症:子癇

子癇(しかん)とは、妊娠高血圧症候群の症状とともに意識の喪失や、けいれん、呼吸困難などの発作が起こる病気です。母体が呼吸困難になると胎児へ十分な酸素が送られなくなり、胎児が死に至ることがあります。実際に、子癇発作が起こったときの胎児の死亡率は25~40%といわれています。

子癇発作が起こる前には、目の前がチカチカしたり頭痛やめまい、耳鳴りが起こったりするなどの症状が出ることがあります。したがって、これらの症状があるときは、すぐに病院での治療を受けましょう。

妊娠高血圧症候群の合併症:常位胎盤早期剥離

常位胎盤早期剥離(じょういたいばんそうきはくり)とは、胎児が生まれる前に胎盤が剥がれてしまうことをいいます。

胎児は、胎盤を介して母体から栄養や酸素を受け取っています。そのため常位胎盤早期剥離になると、胎児に十分な酸素が供給されずに死に至ることがあります。

常位胎盤早期剥離が起こると、痛みを伴う継続したお腹の張りがあります。常に強い腹痛が起こるような重症の場合は、母子ともに命を落とす危険性のある緊急事態です。救急車を呼ぶなどして、直ちに病院に行ってください。

妊娠高血圧症候群の合併症:肺水腫

肺水腫(はいすいしゅ)とは、血液の液体成分が血管から滲みだして肺に液体が溜まることをいいます。肺に液体が溜まると、うまく呼吸ができなくなって体内の酸素が薄くなります。胎児は母体から酸素をもらっています。そのため、母体に酸素が足りなくなると、胎児も酸素が欠乏して胎児が死に至ることがあります。

このように、妊娠高血圧症候群が引き起こす合併症は、流産につながるものが多くあります。また、胎児だけではなく母体も命を落とす危険性があります。そのため、妊娠高血圧症候群にならないことが重要です。

妊娠高血圧症候群の予防には、生活習慣の見直しが有効です。減塩を心がけ、太り過ぎを防止するために高カロリー食は避けましょう。また、ウォーキングなどの運動も妊娠高血圧症候群の予防に大切です。

妊娠高血圧症候群と診断された場合、自分の体の変化に敏感になることが大切です。妊娠高血圧症候群の合併症の中には、自覚できる初期症状が起こるものがあります。そのようなサインを見逃さず、体調に異変があったら専門家と相談するよう心がけましょう。