妊娠周期と医薬品による胎児への奇形の関係性

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薬を服用するとき、特に敏感になりやすい方として妊娠を望む方や妊婦さんがいます。理由は単純であり、「薬を服用することで胎児に影響が表れないのか」という点を心配するのです

薬の種類によっては、奇形をもたらしたり羊水に悪影響を及ぼしたりします。そのため、適切な知識をもった上で医薬品を服用しなければいけません。

妊娠周期と胎児への奇形の影響

妊娠月数が経過することにより、薬による胎児への影響は変わっていきます。妊娠の段階は、「細胞分裂を行う初期の段階」「臓器が作られる段階」「成長して生まれる準備をする段階」の3つに分かれます。それぞれの段階において、薬物が及ぼす影響度は違ってきます。

「細胞分裂を行う初期の段階」では、医薬品による奇形が生じることはありません。受精後2週間までに薬の影響を受けると、受精卵が死亡したりうまく着床しなかったりするからです。

何らかの原因で受精卵が傷ついた場合、それ以上の発育がないのです。つまり、「流産する」か「問題なく着床して成長していく」かのどちらかしかありません。これを、「全か無かの法則」といいます。

もちろん例外はあります。風疹生ワクチンや金製剤(関節リウマチの治療薬)は受精卵への残留性が強いです。薬の影響が持続してしまうため、全か無かの法則が当てはまらなくなります。こうした例外はあるものの、基本的には奇形などの障害を心配しなくても問題ありません。

一方、受精後3~8週目の「臓器が作られる段階」になると、胎児は薬による影響を受けやすくなります。肺や心臓はこの時期に形成されるため、わずかな作用が後で大きな影を落とすようになるのです。

これは医薬品に限りません。ウイルスによる感染症や放射線による影響であっても、同様に奇形を生じる可能性が高まります。重篤な奇形というのは、いずれもこの時期が大きく関わっています。

受精後9週目以降の「成長して生まれる準備をする段階」になると、薬による影響は徐々に薄れていきます。この時期は重大な奇形というよりも、成長するために大切な羊水の環境などが関与します。つまり、胎児の発育に影響を与えます。

妊娠と医薬品の問題

妊娠月数でいえば、受精後2週間(細胞分裂を行う初期の段階)は妊娠1ヶ月、受精後3~8週間(臓器が作られる段階)は妊娠2~3ヶ月、受精後9週以降(成長して生まれる準備をする段階)は妊娠4ヶ月以降に当たります。

前述の通り、最初は奇形の問題を心配しなくて問題ないものの、それ以降は薬の作用に対して慎重にならなければいけません。

例えば、解熱鎮痛剤を「成長して生まれる準備をする段階」で使用すると、悪影響を与えることが知られています。羊水の環境が悪化するため、この時期の使用は控えなければいけません。頭痛など、痛みがあるからといってむやみに薬を使用してはいけないのです。

普段は薬を飲まない人であっても、「痛みがある」という理由で薬に頼ることがあります。こうしたありふれた薬であっても胎児に影響を与えることから、妊婦の方が自己判断で薬を使用するのは危険であることが分かります。

ただ、すべての薬が奇形を生じさせるわけではありません。これまでの使用経験から、安全に活用できる医薬品も数多く存在します。例えば、かつては関節リウマチを発症した方は妊娠を諦めなければいけないケースがほとんどでした。抗リウマチ薬の多くは胎児に奇形をもたらすからです。

しかし、現在では医薬品の開発が進み、たとえ関節リウマチ患者であっても妊娠が可能になっています。病気の症状が安定していることが必須条件ではあるものの、場合によっては問題なく妊娠できるようになっているのです。

胎児への影響は薬ごとに異なります。これらをすべて把握するのは現実的に難しいため、心配な場合は薬剤師に相談するなど、専門家をうまく活用するようにしましょう。