妊娠線(線状皮膚萎縮症)のメカニズムと予防

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妊娠線とは、妊娠中に皮膚にできる割れ目のような線のことをいいます。ストレッチマークとも呼ばれており、正式名称では「線状皮膚萎縮症(せんじょうひふいしゅくしょう)」といいます。

スポーツを行う人や成長期に起こる「肉割れ」も、正式には線状皮膚萎縮症といいます。妊娠線と肉割れは同じ病気ですが、妊娠線は妊娠中にできたものを指します。

線状皮膚萎縮症は、治すことができません。皮膚科での手術などで目立たなくすることは可能ですが、皮膚の線が完全に消えることはありません。そこで、ここでは妊娠線ができるメカニズムについて解説し、予防のために気をつけるポイントを述べていきます。

妊娠線ができるメカニズム

皮膚は、外側から「表皮」「真皮」「皮下組織」の三層構造になっています。さらに、表皮は外側から「角質層」「顆粒層」「有棘層(ゆうきょくそう)」「基底層」の4つにわけられます。

基底層で作られた細胞は、新しく作られた細胞に外側へと押し出されていきます。この細胞は約28~42日で角質層まで押し出され、やがて垢(あか)として剥がれます。この過程を「ターンオーバー」といいます。

真皮は、「網状層(もうじょうそう)」と「乳頭層(にゅうとうそう)」に大別できます。網状層には、コラーゲンやエラスチンなどの繊維が網状に存在しています。繊維と繊維の間は、ヒアルロン酸などの「ムコ多糖類」で満たされています。これらの成分は、網状層にある「繊維芽細胞(せんいがさいぼう)」によって作られます。

皮下組織は、そのほとんどが皮下脂肪です。身体を守ったり、体温を維持したりする働きがあります。

表皮のターンオーバーに比べて、真皮にある繊維芽細胞の代謝は時間がかかります。また、真皮や皮下組織は、表皮に比べて厚みがあります。そのため真皮・皮下組織は、表皮よりも伸びにくいのが特徴です。

妊娠などによって皮膚が伸ばされると、表皮はそれに応じて伸びていきます。ただ、真皮・皮下組織の伸びが追いつかず、裂けてしまうことがあります。その裂け目が表皮の下に見えるため、皮膚に亀裂が入ったような症状が出ます。これが妊娠線(線状皮膚萎縮症)です。

妊娠線は真皮や皮下組織が引っ張られて起こるため、裂ける前に痒みを伴うことがあります。また、避けた部分の毛細血管が表皮を通して透けて見えるため、赤色や赤紫色の線ができます。時間が経つにつれて色が薄くなり、透明になったり白くなったりします。

妊娠線の予防

前述のように、妊娠線は皮膚が急激に伸ばされることによって起こります。当然、妊娠によるおなかの膨らみを防ぐことはできません。ただ、太り過ぎによって皮膚が伸ばされることは防ぐことができます。

太り過ぎないことは、妊娠中の健康維持のためにも大切です。ただ、妊娠中のダイエットは、胎児や母体に悪影響が出ることがあるため行うべきではありません。妊娠線の予防には、適切な体重管理を心がけることが大切です。

「もともと太っている人=皮下組織が厚い人」は妊娠線が出やすいので、より慎重に体重管理を行うことが重要です。

また、皮膚が乾燥すると真皮の柔軟性が低下し、妊娠線が出やすくなります。そのため、皮膚のケアをしたり、皮膚の健康を保つ食事に気を配ったりすることが妊娠線予防に有効です。

特にお風呂あがりは、皮膚についたお湯が皮膚の水分を奪いながら蒸発していきます。そのため、入浴後は通常より肌が乾燥しやすい状況です。入浴後すぐにクリームやオイルを塗布し、皮膚の水分が逃げないようにすることが大切です。

妊娠線は、胎児が大きくなる妊娠8ヶ月以降が一番できやすいといわれています。ただ、妊娠5ヶ月からできることもあるため、妊娠中期からスキンケアを行うことが大切です。また、おなか以外の部分にできることがあるので、全身の保湿をすることを心がけましょう。

健康な肌を作るのはバランスの良い食事です。肌はタンパク質でできています。そのため、良質のタンパク質を毎日摂取することが大切です。また、タンパク質とビタミンCを一緒に摂取することで、繊維芽細胞によるコラーゲンの生成が促進されます。

ビタミンC以外にも、多くのビタミンが肌の代謝に関与しています。そのため、野菜を含めた多くの食材を献立に取り入れることが大切です。