妊娠中の喫煙(タバコ)の有害性

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タバコは身体に悪いことが広く知られています。小学校などで、VTRを用いたタバコの害に関する教育などが行われているので、喫煙の有害性を知らない人はいないでしょう。

喫煙率は年々減少傾向にあります。しかし、厚生労働省の調査では出産適齢期の女性の10%強が喫煙者というデータが出ています。

妊娠したら禁煙が常識だとわかっていても、具体的に何が悪いのかわからなければ、禁煙へのモチベーションが上がりにくいと思います。そこで、ここではタバコによるおなかの赤ちゃん(胎児)への影響を述べていきます。

妊娠中の喫煙の胎児への悪影響

タバコには200種類以上の有害物質が含まれています。「ニトロソアミン」「カドミウム」「タール」といった発がん物質や、血流を悪化させる「ニコチン」、酸素不足を招く「一酸化炭素」などがその代表です。

タバコによる有害物質の影響で血流不良や酸素不足が続くと、子宮の収縮が起こりやすくなり、胎盤機能が低下します。その結果、流産や早産、前置胎盤、常位胎盤早期剥離などが起こりやすくなります。

前置胎盤とは、胎盤が子宮の出口にかかっていたり、覆っていたりする状態をいいます。胎児にとっての出口(子宮口)を胎盤が塞いでいる状態なので、基本的には帝王切開での分娩になります。妊娠中に大出血を起こす恐れもあります。

常位胎盤早期剥離とは、胎児が生まれる前に子宮から胎盤が剥がれてしまうことです。胎児は胎盤から栄養や酸素をもらっています。胎盤が子宮から剥がれてしまうと、胎児の血流は急激に減少し、危険な状態になります。処置が遅れると死産するだけでなく、母体も死亡する恐れがあります。

また、喫煙による母体の血流不良や酸素不足は、胎児の栄養や酸素の不足を招きます。そのため、生まれてくる子供が低体重児になったり、知能の発達や成長が遅れたりします。また、身体の器官がうまく形成されないなどの発育障害が起こる可能性が高くなります。

妊娠中の喫煙と先天性異常

母体の喫煙によって口唇口蓋裂(こうしんこうがいれつ)という先天性異常が増える、という多数の研究報告があります。口唇口蓋裂とは、口唇や口蓋(口の中の天井部分)、はぐきに割れ目が残ってしまった状態のことをいいます。

遺伝的・環境的な原因によって、妊娠4~12週頃に発育異常を起こしてしまうことで発症します。妊娠4週~12週というのは、多くの人が妊娠に気づかない時期です。そのため、妊娠の可能性があれば、妊娠発覚前から禁煙することが大切です。

また、多くはまだ解明されていませんが、その他いくつかの先天性異常と喫煙の関連も指摘されています。

妊娠中の喫煙が及ぼす出生後の子供への悪影響

妊娠中に喫煙した場合、小児期の知能指数が下がることが確認されています。また、注意欠陥・多動性障害(ADHD)の発症率が上がることも報告されています。

また、喫煙する妊婦から生まれた女児は、卵胞(卵子のもととなるもの)の数が少ないため、将来不妊になる可能性が高いといわれています。

妊娠中の喫煙と乳幼児突然死症候群(SIDS)

乳幼児突然死症候群とは、健康な赤ちゃんが前触れなく亡くなってしまうことをいいます。SIDSの原因は特定されていませんが、両親が喫煙する場合では、喫煙しない場合に比べて4.7倍発症しやすいことが確認されています。

妊娠中や赤ちゃんのそばでの喫煙は、胎児、赤ちゃんの肺機能や神経系の形成に悪影響を与えます。神経の形成に異常があると、「呼吸をしなければいけない」などの情報がうまく伝わらない状況を引き起こしやすくなります。その結果、身体に必要な十分な酸素量を得られず、死亡してしまうことがあります。

このように、おなかにいる間だけはなく、妊娠中の喫煙は出生後の発育にも悪影響があります。

おなかの赤ちゃんは自分で自分を守ることができません。母親が十分に配慮しなければ、生涯にわたっての障害を持って生まれてくることになりかねません。

特に副流煙(周りが吸うタバコの煙)は、喫煙者が吸う「主流煙」の50~100倍の有害物質を含みます。自らの禁煙だけではなく、身近な人にも喫煙を控えてもらいましょう。外出時などは、副流煙をなるべく吸わないように気をつけましょう。