ダイエットによる食事制限がもたらす不妊:タンパク質の不足

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現代の日本では、女性がダイエットをすることは一般的になっています。痩せていればいるほど美しいと思っている妊娠適齢期の女性は少なくないようです。

このとき行われるダイエットのほとんどが、食事制限によるダイエットです。その中でも、エネルギー源となる炭水化物や脂質を制限するダイエットを行う人は多いです。この方法は、摂取カロリーが大幅に減りやすいため体重に反映されやすいのが特徴です。

実際、外食や惣菜中心の食生活では炭水化物と脂質が過剰傾向にあります。ただ、どちらも人間が生きていく上で欠かせない栄養素です。そのため、これらを極端に制限すると身体に不調が起こりやすくなります。

また、ダイエットのときには牛肉や豚肉などの動物性タンパク質が避けられがちです。これは、動物性タンパク質を含む食品の多くが脂質を含むためです。ただ、動物性タンパク質を含む食品の制限は不妊の原因になることがあります。

そこで、ここでは動物性食品の制限と不妊の関係について解説していきます。

妊娠とタンパク質の関係

タンパク質は、水の次に多い人体の構成成分です。そのため、子宮などの生殖器を含め、身体をの健康を保つためにタンパク質の摂取は必要不可欠です。また、血液中に含まれるタンパク質にはホルモンを全身に運ぶ働きがあります。

妊娠するためには、月経周期が正常であることが大切です。月経周期とは、排卵や月経のサイクルのことをいいます。月経周期が乱れると、排卵が起こらなかったり子宮の妊娠準備が滞ったりします。

当然、排卵が起こらないと受精には至りません。また、子宮の妊娠準備が整わないと受精卵が子宮に着床できず、妊娠が成立しません。そのため、月経周期の乱れは不妊を招くといえます。

月経周期は、脳と生殖器から分泌されるさまざまなホルモンの影響によって起こります。

脳から分泌されたホルモンは血液によって運ばれて、生殖器を刺激します。同じように、生殖器から分泌されたホルモンも同様に血液によって運ばれ、脳がその刺激によって次の司令のホルモンを分泌します。

このように、月経周期を起こすホルモンは血液によって運ばれて互いに干渉しあいます。このとき、ホルモンは血液中のタンパク質と結合して運ばれます。そのため、血液中のタンパク質が不足すると生成されたホルモンがうまく運ばれません。

分泌されたホルモンがうまく運ばれないということは、妊娠準備の司令がうまく生殖器に届かないということです。

妊娠準備の司令が生殖器に届かなければ、生殖器の妊娠準備がうまく行われません。そのため、タンパク質の不足はホルモンの司令伝達を妨げて月経周期の乱れを起こすといえます。そして、前述のように月経周期の乱れは不妊の原因になります。

以上のことから、タンパク質の不足は不妊を招くといえます。

摂取するタンパク質の「質」

タンパク質は動物性食品だけではなく、植物性食品にも含まれています。ただ、植物性のタンパク質は吸収しづらいという欠点があります。

たとえば、同じ量のタンパク質を摂取した場合、豆腐は卵に比べて約67%ほどしか吸収・利用できないといわれています。そのため、卵一個分のタンパク質を豆腐で摂ろうとすると約150g食べる必要があります。卵1個は約50gなので、約3倍の量を食べる必要があるということです。

また、摂取するタンパク質の「質」についても考える必要があります。

タンパク質は、いくつかのアミノ酸がつながった形をしています。これが体内で一つ一つのアミノ酸に分解されて、身体の組織に利用されます。

食肉などに含まれるアミノ酸は20種類あります。そのうち11種類は人の体内で合成することができます。それ以外の9種類は「必須アミノ酸」と呼ばれ、人の体内では合成できません。そのため、人は食べ物から必須アミノ酸を調達する必要があります。

タンパク質の質を評価する指標の一つに「アミノ酸スコア」というものがあります。これは、食品に含まれる必須アミノ酸の量を評価するためのものです。アミノ酸スコアが100に近いほど、必須アミノ酸がバランスよく含まれているということになります。

卵や牛乳、食肉、魚などの動物性食品の多くはアミノ酸スコアが100です。つまり、これらはバランスよく必須アミノ酸を含んでいる良質なタンパク質だということです。

それに対して、豆腐のアミノ酸スコアは86です。前述のように、豆腐のタンパク質は動物性のものに比べて吸収しづらいです。そのため、動物性食品を制限して大豆製品などに置き換えると、タンパク質が不足しやすいのです。

以上のことから、妊娠しやすい身体を作るためには良質なタンパク質の摂取は欠かせないといえます。

動物性食品の脂質が気になるのであれば、脂身をカットしたり茹でたりすることで余分な脂質を制限することができます。動物性食品を制限するのではなく、調理で工夫して脂質を制限することが賢明です。