妊娠中期の食事:妊娠糖尿病と妊娠高血圧症候群の予防

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妊娠中期とは、妊娠5~7ヶ月の間をいいます。妊娠中期は、つわりが治まる人が多く体調が安定しやすい時期です。そのため妊娠中期は安定期と呼ばれ、妊娠中においては行動の制限が少ない時期となります。

安定期に入ると、胎児は大きく成長していきます。そのため、食欲が増加しやすい時期です。その結果、太り過ぎてしまったり、妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群になったりする人は多いです。

そこでここでは、これらの病気について解説し、病気を防ぐために有効な食事のポイントを述べていきます。

妊娠糖尿病

妊娠糖尿病とは、妊娠中に初めて診断される軽度の糖の代謝異常のことをいいます。つまり、妊娠しているときに血糖値が上昇しやすくなることによる異常を指します。これには、妊娠中の明らかな糖尿病や、妊娠前からの糖尿病は含みません。

妊娠糖尿病では、妊婦・胎児が合併症にかかるリスクが高いため、多くの病院の妊婦定期健診においては、尿検査や糖の代謝の検査が行われています。

妊娠中は、胎盤からプロゲステロンという女性ホルモンが大量に分泌されています。プロゲステロンは妊娠を維持するために働きますが、一方でインスリンというホルモンの働きを抑制する働きを持っています。

インスリンは血糖値を下げる唯一のホルモンであり、食事によって摂取した糖を細胞に届ける働きがあります。インスリンの働きが悪くなると、血液中の糖が細胞に行かなくなります。そのため、血液中に糖が多く含まれるようになります。これが「血糖値が高い」状態です。

妊娠の維持に必要なホルモンがインスリンの働きを悪くさせるので、妊娠中は糖の代謝がうまくいきにくい状況、すなわち妊娠糖尿病になりやすい状況といえます。

また、急に血糖値が上がることが続くと、インスリンの働きが追いつかなくなります。そのため、妊娠糖尿病の予防のためには、血糖値が急に上がらない食生活を心がけることが重要です。

妊娠糖尿病を防ぐための食事は、伝統的な和食が理想です。小麦粉は吸収されすい形に精製されているため、すぐに消化されて血糖値が急上昇します。それに対して白飯は、小麦粉に比べ吸収が穏やかなため、血糖値の上がり方が緩やかです。

ただ、白飯も精製されている食材のため、白飯だけ食べたり空腹時に最初に食べたりすると、吸収されやすくなります。白飯を食べるときは、白飯の前に野菜や汁物を食べることで吸収が穏やかになります。

また、妊娠糖尿病予防には、白飯を玄米や雑穀米などに置き換えることも有効です。未精製の穀物は消化されにくいため、血糖値の上がり方が緩やかになります。一般的に、精製されている穀物は白くなっていることが多いです。そのため、白い穀物を避けて選ぶことが大切です。

未精製穀物はクセが強く食べづらいことが多いです。そのため、精製穀物に混ぜるなど、毎日無理なく続けられる食べ方を選びましょう。

また、甘いお菓子は精製された糖の塊です。血糖値を急上昇させ、妊娠糖尿病のリスクを上げます。そのため、甘いお菓子はストレスにならない程度に控えるのが賢明です。

妊娠高血圧症候群

かつて、妊娠高血圧症候群は妊娠中毒症と呼ばれていました。妊娠20週以降から分娩後12週までに高血圧が見られ、タンパク尿を伴う場合に妊娠高血圧症候群と診断されます。多くの合併症を引き起こすことがあるため、悪化すると入院することがあります。

この病気に関して、はっきりとした原因はまだ特定されていません。ただ、高年齢での妊娠や肥満、初産婦などに多いことがわかっています。

妊娠中は、胎児に血液を送り込むために血圧が高くなります。ただ、その基準以上に血圧が高いということは、血管が細くなっていることが考えられます。これでは子宮や胎盤の血液も通りにくいので、胎児が酸素・栄養不足になりやすい状況といえます。

実際、妊娠高血圧症候群の母体からは、低出生体重児や脳に障害をもった子供が生まれやすいことがわかっています。最悪の場合、子宮の中で胎児が死んでしまうこともあります。

原因がわかっていないため、妊娠高血圧症候群を確実に予防することはできません。ただ、血圧の上がりにくい生活を心がけることが、妊娠高血圧症候群の予防や悪化の防止につながります。

過度のストレスや塩分(ナトリウム)の多い食事は血圧を上げます。そのため、日々の食生活で加工食品や塩辛いものを避け、野菜や海藻などを積極的に食べることが大切です。

カリウムには、ナトリウムが腎臓で再吸収されるのを阻害し、尿への排泄を促す働きがあります。そのため、塩分過多になりやすい日常の食生活において、積極的に摂るべき成分です。

カリウムは、野菜や果物に多く含まれます。また、これらはナトリウムの吸収に関わる食物繊維も豊富なため、高血圧を防ぐために積極的に食べるべき食材です。カリウムは水に溶けやすいため、食材は生で食べるか、汁ごと食べるのが好ましいです。

どちらの病気を防ぐにも、野菜を多く食べることが有効です。非妊娠時の野菜の摂取目標値は一日350gです。そのため、妊娠時には350g以上を食べることが推奨されます。適切な食生活を心がけ、健康的な妊娠生活を送りましょう。