つわり(妊娠悪阻)の原因と対策:ビタミンB6の役割

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妊娠初期の自覚症状でもっとも代表的なのがつわりです。一般的には、妊娠6週から16週までに吐き気や嘔吐の症状などがあらわれ、10週がつわりのピークといわれています。

つわりの症状は、個人差が大きいといわれています。妊娠4週から始まる人がいたり、出産直前までつわりで苦しむ人もいます。また、嘔吐が止まらない人もいれば、食の好みが変わるだけの人、全く自覚症状のない人もいます。

症状の重い人は水を飲むこともできず、脱水症状を起こす危険性があります。そのため、重度のつわりは治療が必要です。医療機関による治療が必要な重症のつわりは、一般のつわりと区別するため妊娠悪阻(にんしんおそ)と呼ばれます。

つわりの原因は諸説あります。胎盤が完成する妊娠16週くらいまでに症状が治まる人が多いことから、急激なホルモンバランスの変化が大きな原因のひとつではないかといわれています。ただ、決定的な原因の特定にはいたっていません。

つわりとビタミンB6

妊娠すると、尿から「キサンツレン酸」という物質が多く排出されます。特に、つわりの症状が重症な人は、キサンツレン酸をより多く排出していることがわかっています。

キサンツレン酸とは、「トリプトファン」というアミノ酸の代謝の際に作られる物質で、代謝に異常が生じたときに増加します。トリプトファンの代謝に必要な物質のひとつがビタミンB6です。そのため、ビタミンB6が不足しているとトリプトファンの代謝に異常が起こりやすくなります。

以上のことから、ビタミンB6の不足が妊娠悪阻の原因の一つといわれています。病院では、症状の緩和のためにビタミンB6が点滴などで使用されています。

ビタミンB6の不足はなぜ起こる?

ビタミンB6はさまざまな働きをしています。神経伝達物質の合成を助け、ホルモン作用の調節、免疫機能の正常化、赤血球の合成などにも関わっています。さらに、タンパク質の代謝において重要な働きをします。ビタミンB6は食物のタンパク質を分解してアミノ酸にし、体に必要なタンパク質に再合成します。

さらに、タンパク質をエネルギーとして消費するとき、タンパク質をアミノ酸からさらに分解してエネルギーにするためにも働きます。そのため、タンパク質を多く摂取すると、ビタミンB6が多く消費されることになります。

「タンパク質の増大 → ビタミンB6の消費増」

また、トリプトファンがニコチン酸(ナイアシン)に代謝される際にもビタミンB6を必要とします。ニコチン酸はビタミンB群のひとつであり、糖質や脂質の代謝をサポートする働きなどがあります。

「エストロゲン」という女性ホルモンは、トリプトファンがニコチン酸に代謝するのを促す働きがあります。そのため、エストロゲンが増える妊娠中は、ビタミンB6の消費量が増えます。そのため、結果としてビタミンB6は不足しやすくなります。

「エストロゲンの増大 → トリプトファンからニコチン酸へ代謝 → ビタミンB6の消費増」

ビタミンB6を多く含む食事

ビタミンB6は、いろいろな食材に広く含まれています。とくに多く含むのはレバー、まぐろ・カツオなどの赤身魚、サンマ・サバなどの青背魚などです。ただ、つわり中にこのような食品を摂るのは困難な人がほとんどでしょう。

植物性食品では、バナナやアボカド、サツマイモ、玄米などにビタミンB6が多く含まれています。一般的に、つわり中は白飯が食べられなくなる人が多いといわれています。食べられるのであれば、主食を玄米ごはんやサツマイモなどに置き換えてみるといいでしょう。

つわり中は食べられるものをできるだけ食べるのが基本です。食べられるものを食べながら、ビタミンB6が多く含まれるものを試してみましょう。

「水が飲めない」「1日に5回以上吐く」などの症状が出た場合、脱水症状や栄養障害の危険があります。必ず病院に行くようにしてください。

なお、自己判断でサプリメントでの大量摂取をするのは危険ですので絶対に行ってはなりません。食事からの摂取で過剰症の心配はありませんが、サプリメントでは過剰摂取で神経障害などの危険が報告されています。