暖かい服装で冷えから体を守り、体の不調やだるさを防ぐ

現代では、エアコンの普及により部屋の温度を1年中快適に設定できるようになりました。その一方、夏の冷房しすぎや冬の寒さにより、1年中体を冷やす機会も増えました。

外気が寒いと、汗が蒸発するときに体の熱も一緒に奪われてしまいます。体の熱が奪われると一気に体は冷え、体がだるくなったり、風邪をひきやすくなったりして、体調を崩す原因となります。

私は自己免疫疾患を患っているので、ステロイドを飲んでいました。ステロイドは長期間飲み続けていると、副作用で体温を作るホルモンが体内で上手に作れなくなります。そのため、私はほかの人よりも冷えを強く感じていました。何をするにもだるく、指先は動かしにくくて仕方がなかったものです。

さて、体の熱が奪われないようにするにはどうすれば良いのでしょうか。ここでは、衣類によって体を保温する方法を紹介します。

服の着方を工夫し、体を保温しよう

体温を保つためには、服の着方を工夫することが第一歩です。どのような服の着方をすれば良いかを解説します。

調節しやすい重ね着をすることが基本

重ね着をすることは、直接体に熱を与えるのとは違います。厚手のものを1枚着るほうが温かいように思いますが、それは違います。重ね着することによって体の周囲に何重にも温かい空気の層を作り出すため、外気の冷たさを体に伝えにくくなります。また、自分の体温による暖まった空気で体を保温することができます。

薄手のものを何枚か重ねた服装は、季節、気温、室温に合わせて脱ぎ着をして体感温度を調節することができます。つまり、寒くなったらさらに重ねて着る、暑くなったら脱ぐことが簡単にでき、体温調節をすることが楽にできます。

上半身より下半身を温かくする

上半身をいくら温かい服装にしても、下半身が寒い服装だと冷えは改善できません。下半身のほうが寒いと、寒さによる刺激で脳が足の筋肉を収縮し続けるように命令を出してしまい、その結果血管が圧迫されて血行が悪くなってしまいます。

また、足に行った血液が冷やされてしまうため、冷たい血液が巡ることで全身が冷え切ってしまいます。足元をしっかりと温かくすることは、筋肉の収縮を緩めて血行を良くして血液を保温し、全身の冷えを防ぐためには必要なことです。

下半身を温めるのは血流を活発にするだけでなく、内臓を冷えから守ることは臓器の機能を円滑にし、自律神経のバランスや免疫機能を正常に保ちます。

さらに、内臓を温めることは冷えによるストレスを減らすので、精神的に落ち着きをもたらすこともできます。下半身を温めることは季節を問わず、全ての方に心がけていただきたいポイントです。

首と関節を保護する

下半身の筋肉のほかに、首や関節を外気にさらさないことも大切です。首や手首、足首、肘、膝には体の表面近くに太い血管が通っています。そのため、寒い場所にいると血液が冷やされてしまいやすいのです。また、冷えた血液が全身を巡ることで、全身を冷やしてしまいます。首や手首、足首、肘、膝を覆って保温することは、血液の温度低下を防ぎ、全身の冷えを防御します。

首、手首、足首、肘、膝を保温するためには、どうすれば良いのでしょうか。例として、次のような方法があります。

首には、スカーフを巻きましょう。ストールやマフラーは、外出時にプラスすると良いです。巻き方や素材の選び方を工夫して、季節に合わせたおしゃれを楽しんでください。

手首、足首、肘、膝

そして、手首、足首、肘、膝にはそれぞれの関節専用のサポーターを利用します。サポーターは締めつけすぎると圧迫によって血行不良を起こしたり、かえって痛みを生じたりすることもありますから、関節を「柔らかく」「優しく」おおってくれるものを選びましょう。

冷え取りの常識「靴下の重ね履き」

足先は心臓から最も遠いこともあり、体の中でも冷えやすい場所です。実際に、足先の冷えがひどく靴下が手放せないと訴える方は多いです。

靴下のデザインや履き方の工夫で足先の冷えのつらさを軽減することができるため、自分の状態に合った靴下をはくことをお勧めします。

お勧めは5本指ソックスと重ね履きです。5本指ソックスは、以前は「年齢の高いおじさまがはくもの」というイメージがありましたが、最近ではすっかり女性の間でも冷えを取るグッズとして知られています。

普通にスーパーなどで売られている靴下では、足先を一度に包み締めつけてしまいます。その結果、血流が悪くなって、冷えにつながります。

一方で五本指ソックスでは、足の指をしっかりと大きく動かすことができます。足の指が動かしやすくなることは、足の血行を良くしてことで血液が固まることを防ぎますし、靴下が指1本1本を包むため、足の指の間から出る汗の吸い取りも良くなります。

5本指ソックスは、肌に直接当たる1枚目の靴下としてはきます。その上から何枚か重ね履きをするのが理想的です。

私の場合、5本指ソックスを2枚重ねてはいています。5本指ソックスをはくことで足の指が自由に動かせるようになり、足先の血流を良くすることができました。私は体が冷えると「かゆみのないしもやけ」のようなものが手足の指先にたくさんできていたのですが、5本指ソックスを重ねてはくようになってからはできなくなりました。

知り合いの例ですと、一度に4枚、5枚の靴下を重ねているそうです。最近では、冷えとり用に重ねばきするための靴下も売られていますので、購入してみるのも良いでしょう。靴のサイズを普段よりも大きめのものをはくようにすれば、靴下を重ねて履いていても特に気になりません。

レッグウォーマーを利用して足を守る

もし靴下の重ね履きに抵抗があったり、すぐに大きめの靴を買うことが難しかったりするなら、レッグウォーマーを着用することでしのぐことが可能です。レッグウォーマーによって、すねから足首を保温することで、足に行った血液を冷やすことがなくなります。これにより、全身の冷えを防ぐことができます。

ただし、靴下を重ねて履く場合と違い、足裏から出る汗を吸い取ることはできません。そこで、足に直接当たる靴下は天然素材のものをはきましょう。

腰回りを温めるのに腹巻きは最高のアイテム

おなかと腰周りを温めると、特に婦人科系や消化器系の不調、手足の冷えなどが改善します。自分は冷えていないと思っている方でも、実は冷えている「かくれ冷え症」の場合あるため、ぜひ腰回りを温めていただきたいです。

腰回りを温めるなら、腹巻きが一番効果的です。老若男女問わず、腹巻きを使うことをお勧めします。

腹巻きは1日中使用します。厚さ1センチ前後の薄手のものならどんな服装でも安心して着用できます。また、薄手のもののほうが締めつけ感も少ないです。

腹巻きのデザインによっては、カイロを入れるためのポケットが付いている製品もあります。冬場や冷え症状が強い方はカイロと一緒に利用されてみても良いでしょう。

アウトドア用品は、街中でも使える

アウトドア用品のお店には、厚手でも履きやすくて温かく、体を動かしやすいデザインの服が多く販売されています。雪山登山用のものは保温力が抜群です。街中で登山用品を利用するのは変な気分がする方もいらっしゃると思います。

ただ、冷えの症状が強い場合、普通の服を着ていても冷えてしまうため、登山用のものも上手に利用して体を保温することが大切です。

夏こそ防寒具を携帯しよう

現代では、エアコンによる夏の冷えが多くの女性たちの体調に悪影響を及ぼしています。冷えが強い方には、寒い場所にずっといることによる影響よりも、急激な温度変化のほうが自律神経のバランスを崩します。

薄着だと、エアコンから噴き出す冷たい風で体を冷やしてしまい、風邪をひきやすくなったり、体がだるくなる原因となったりしてしまいます。冷たい風が体に当たり続けることは、体にとって大変な悪影響があるのです。

夏は肌を露出するスタイルをやめ、防寒具をいつでも携帯し、冷房の効いた場所では首、肩、足などを覆って保温するようにしましょう。カーディガンやショールはエアコンの冷気から防護するだけでなく、屋外で直射日光に当たらないように皮膚を覆うこともできます。

冷房がかなり効いているオフィスにいる場合や、飛行機や新幹線に長時間乗る場合には、レッグウォーマーも使って、さらに体が冷えないようにしましょう。

パンツ1枚、スパッツ2枚で下半身の暖かさを高める

下半身の保温には、レッグウォーマーのほかにパンツ1枚、太ももまでのスパッツ、足首までのスパッツ(合計スパッツ2枚)をはくことも効果的です。下半身には全身の筋肉のうち70%が集中しているので、下半身に重ね着をしておくことで、体温を保つことができるのです。このとき、ゆったりサイズのものを選ぶと血行不良を防ぐことができます。

ビキニ、ストッキング、ガードルは体をきつく締めつけて血流を悪くしてしまい、結果として体を冷やしてしまうので、使用しないほうが良いでしょう。

露出の多い服装をする場合の対処法

保温する大切さが分かっても、ときには肌を露出する服装を楽しみたいという女性は多いでしょう。しかし、冷えを我慢してでもノースリーブやミニスカートを着てしまうことは良くありません。

太ももや腕は、大きな筋肉と多くの血管が走っています。太ももや腕が寒さにさらされると、筋肉や血管が寒さの刺激で縮こまり、血行が悪くなって体が冷えてしまうのです。

冷えの長期化はアレルギーやがんを引き起こす原因となってしまうこともありますので、できるかぎり皮膚を露出するスタイルは避けたいものです。

しかし、お勤め先の制服のデザインや時と場面に応じた服装をするうえで、どうしても腕や足を出すようなスタイルにする必要に迫られる場合もあります。その場合は、ストールやカーディガン、レッグウォーマーを合わせて使いましょう。露出している部分を覆うことで、防寒効果が期待できます。

寝るときの服装

どれだけ昼間の服装に気を付けていても、体の冷えが原因で夜によく眠れない場合があります。寒さにさらされると、寒さによる刺激で筋肉が収縮し続けてしまいます。血管が圧迫されて血行不良となり、温かい血液が全身に届かないうちに冷えてしまいます。その結果、全身が冷えてしまうのです。

血行不良を防ぎ、血液が温かいままを保つには、寝る際の服装に少し工夫が必要です。お勧めは、日中と同じように首にネックウオーマーを巻き、足は靴下をはき、おなかには腹巻きをして、体が冷えないように保温することです。

服装を工夫することで体が温かくなれば、冷えで眠れなくなる状態を解消することができます。

私は10代の頃、自己免疫疾患を患って入院していたことがあります。夜の病院で体が冷えてしまい、私は眠れない状態が続き、つらくて仕方がありませんでした。しかし、周囲を見渡してみるとほかの患者さんたちは夜にしっかり眠っています。

私は夜に体を冷やさない秘訣を知りたくて、当時、同じ部屋で一緒に生活していた患者さんたちに冷え対策を伺いました。すると、「夜寝るときに、必ず靴下をはいたまま寝ている」とのことでした。そこで、ほかの患者さんのまねをして靴下をはいて寝たところ、非常に体が温かくなって翌朝まで眠れるようになりました。その後、無事に退院することができました。

自宅に戻った私は、自宅でも夜に靴下をはいて寝るようにしました。自宅は、病院よりも空調が効いておらず寒かったです。そこで、湯たんぽも同時に利用したところ大変温かくなって、夜に寒さで目覚めることはなくなりました。

体に良い影響を与えたいなら、天然素材の服を着るべき

ここまで、衣類の着方をどのように工夫すれば良いか解説してきました。そして次に、服の素材に目を向けるようにしましょう。

同じ服でも化学繊維のものよりは天然素材の服を着たほうが体に良いといわれています。その理由はいったい何なのか、を見ていきましょう。

化学繊維の服は石油からできている

化学繊維は石油でできています。化学繊維でできた服を着ていることは、体に常に石油を身につけていることに等しいです。口から入る化学物質の90%は肝臓で解毒されますが、皮膚から吸収された化学物質はそのほとんどが皮膚を通して体内に取り込まれてしまいます。

石油に含まれる成分は、人に対して有毒なものが多いです。例えば石油の成分であるベンゼン、トルエン、キシレンといったBTX化合物(無色透明で、甘いにおいのする液体)は猛毒です。これらには中枢神経(脳や脊髄の動き)を抑制する作用があり、シンナーを吸ったときのような状態になります。

皮膚から取り込まれた猛毒は、皮膚のかゆみや湿疹ができる原因となってしまいます。体に悪い猛毒を体内に取り込まないためにも、服の素材は天然素材のものを選ぶことが大切です。

天然素材の服を着て、静電気による害を防ぐ

静電気は摩擦によって発生します。子どもの頃に下敷きを頭にこすりつけ、髪の毛を逆立てて遊んだ記憶は多くの方にあることでしょう。この静電気は体の中でも発生しています。

例えば、「呼吸するときに気管と空気がこすれ合う」「血液が血管をめぐって、血管と血液がこすれ合う」といった状態で発生します。体内で発生した電気のことを「体内静電気」といいます。

化学繊維の服どうしがこすれ合うと、衣類を通して体内静電気が多く発生してしまいます。体内に静電気が増えすぎてしまうと静電気は体内の脂肪やグリセリンにたまります。そして、化繊の服を脱ぐときに静電気が放電することにより、ビリッとするときの刺激で細胞を傷付けてしまいます。

このことは最終的には脱毛やアトピー、ひいては膵臓(すいぞう)を傷付けて糖尿病の原因となってしまいます。

衣類の摩擦による静電気を防ぐには、素材の組み合わせを工夫しなければなりません。

上の図のうち、近いものどうしを着ると、静電気が発生しにくいことが知られています。例えば、「羊毛のセーターの下に木綿や麻のシャツを着る」「ポリエステルの裏地付きスカートの下には、アクリルのレギンスをはく」といった具合にすると、静電気が発生しにくくなります。

洋服を選ぶ際は製品表示をきちんと確認し、化学繊維が入っていないのを選びましょう。天然素材の服を着ることは、体に有害な静電気が起こることを防ぎます。

気化熱を最小限に抑え、体温が奪われることが防げる

そのほか、夏でも必ず天然素材の下着を着用することが大切です。汗をかくと、乾くときに体の熱を奪っていきます。これを「気化熱」といいます。

適度に体の熱が奪われるのであれば問題ないのです。しかし、冷房の効いた場所にいる時間が多い場合、気化熱によって体は冷えきってしまいます。そして体がだるくなったり、関節が痛くなったりするなどして、体調を崩してしまいます。

気化熱による体温低下を防ぐには、きちんと汗を吸って放出するシルクや、木綿といった素材の肌着を着けていることが大切です。適度に水分を吸って乾くのも早い素材を身につけていることで、気化熱が発生することを最小限に抑えられ、体の冷えを和らげることができます。

まとめ

ある調査では、夏の女性の服装は、男性と比べて半分の重量しかないという結果が出ています。また、女性は男性に比べて体温を作り出す筋肉の量が少ないわりに、冷えの原因となる脂肪が多いです。

脂肪は体を保温する性質がありますが、一方で一度冷えると暖まりにくい性質も持っています。もともと体を温かくしようと集まってきた脂肪組織が外気によって冷やされることで、せっかく筋肉で作られた熱を冷やしてしまいます。

女性は体のつくりのうえでも冷えやすく、男性の服装よりも薄いものを着ているため、冷えを感じて当たり前です。

体を冷やしてしまうと、免疫力が下がって風邪をひきやすくなったり、だるくて動くことがつらくなったりします。そのため、せめて重ね着をして、体を温かく保つようにしてください。ベストやカーディガン、薄手のショートコートやウインドブレーカーなど、軽くて薄い重ね着アイテムを利用することで、冷えを上手に防ぐことができます。