女性に多い冷え症:自律神経の乱れからくる冷え

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現在、女性の8割が「冷え症」もしくは「かくれ冷え症」だといわれています。これは、男性に比べて女性は脂肪が多く筋肉量が少ないためです。脂肪が多いと身体が温まりにくく、筋肉が少ないと熱の産生量が少なくなります。

ただ、冷え症はこれら以外の原因でも起こります。現代人に多い「自律神経の乱れ」は、冷え症の大きな原因の1つです。

そこで、ここでは冷え症と自律神経の乱れとの関係性について解説していきます。

自律神経の乱れとは

人間の体は、「生きよう」と意識しなくても生命活動を行っています。自律神経は、このような無意識化で行う生命活動をコントロールしています。

自律神経系には、「交感神経系」と「副交感神経系」の2種類があります。交感神経系は、主に活動時に優位になる神経系です。これに対して、副交感神経系は休息時に優位になります。

これら2つの神経系は身体のさまざまな組織を支配しており、それぞれ正反対の働きをします。例えば、交感神経系が優位になると脈拍は早くなり、副交感神経系が優位になると脈拍が遅くなります。

このように、これらの神経系はスイッチの「オン」と「オフ」のような関係性になっています。自律神経の乱れとは、このような「スイッチの切り替え」がうまくいかないことをいいます。

自律神経の乱れによる冷え症:交感神経の優位による冷え

身体にストレスがかかると、ストレスに対抗する身体を作るために交感神経系が優位になります。すると、脈拍が早くなり、血管が収縮して血液の勢いが高まります。さらに、運動能力を高めるために、骨格筋へ優先的に血液を送るようになります。

この状態が長く続くと、血管を通る血液の量が少なくなるため、全身の血行が悪くなります。すると、酸素や栄養素が細胞に届けられにくくなって熱の生成量が低下します。また、血液には熱を運ぶ働きもあるため、血行が悪くなると心臓から遠い組織である手足などが冷えやすくなります。

さらに、交感神経系の優位が長期化すると、血行不良が長く続くことによって消化器官の働きが低下します。すると、摂取した栄養素を吸収しにくくなるため、全身の細胞への栄養補給が滞って熱の産生量が低下します。

このように、ストレスなどによって交感神経系の優位が長く続くと、冷え症が起こりやすくなります。

自律神経の乱れによる冷え症:副交感神経系の優位による冷え

副交感神経系が優位になると、前述の交感神経系が優位のときとは反対の現象が身体に起こります。脈拍は落ち着き、血管が拡張して血液の勢いが弱まります。そして、血液が消化器官や女性器などに優先的に送られるようになります。

この状態が長く続くと、血液の勢いが弱いため血液が全身を巡るのに時間がかかります。すると、血液の熱が外に逃げやすいため、身体が冷えやすくなります。

また、骨格筋は体内の熱産生の約6割を占めています。そのため、骨格筋への血流が悪くなると、熱産生能力が低下して身体が温まりにくくなります。

さらに、副交感神経系が優位だと、体内に栄養素を蓄積する働きのあるホルモンの分泌が活発になります。つまり、摂取した栄養素が燃焼されずに蓄えられやすいということです。そのため、副交感神経系の優位が長く続くと、熱産生量が低くなるとともに太りやすくなります。

このように、自律神経系がどちらかに傾き続けると、身体が冷えやすくなります。そのため、冷え症を防ぐためにはこれらのバランスを正すことが大切です。

冷え症防止のための自律神経の乱れ対策

自律神経の乱れは、ストレスや生活リズムの乱れによって起こります。このうち、ストレスはすぐに排除できないことがほとんどです。そのため、意識して生活リズムを整えることが大切です。

日本人の平均睡眠時間は、他の先進国に比べて1時間以上少ないことがわかっています。これは、長時間におよぶ労働時間などが原因といわれています。

労働時間が長くなると、交感神経系の優位が長く続きます。この状態で帰宅後すぐに眠ろうとしても、なかなか副交感神経系が優位にならずに寝付きが悪くなりやすいです。

寝付きが悪くなると、起床時に交感神経系への切り替えが上手く行かず、昼間に副交感神経系が優位になって眠気が起こったり集中力が低下したりします。つまり、自律神経の乱れが生じるのです。

このように、自律神経の切り替えには良質な睡眠がカギとなります。そのため、自律神経を整えるためには就寝前後の生活習慣が大切です。

時間がないと、入浴をシャワーですませがちになります。ただ、シャワーによる入浴は交感神経系を刺激しやすいため、就寝前には不向きです。一方で、温めの湯船に浸かると副交感神経系が優位になり、良質な睡眠をとりやすくなります。

また、就寝前にパソコンや携帯電話を使用すると、交感神経系が優位になりやすくなります。そのため、少なくとも就寝の2時間前にはこれらの使用を控え、部屋を薄暗くして音楽鑑賞や読書などでリラックスしましょう。

なお、起床時にはコップ1杯の水を飲むことをおすすめします。これによって、胃が刺激されて交感神経系が優位になりやすくなり、目覚めが良くなります。また、日光が目に入ると交感神経系が優位になります。そのため、起床時はすぐにカーテンを開けるようにしましょう。

現代を生きる女性はストレスを抱えやすい環境にあるため、自律神経の乱れによる冷え症が起こりやすいです。そして、自律神経の乱れや冷え症は、さまざまな病気の引き金となります。そのため、冷え症を「よくあること」として放っておくと、大きな病気に発展してしまうことがあります。

これまでに述べたように、自律神経の乱れを防ぐには生活習慣を正すことが大切です。そのため、乱れた生活を見直すことで、さまざまな病気を防止できるはずです。