女性に多い冷え症:冷えとうつ症状の関係性

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一般的に、男性よりも女性の方が冷えやすい傾向にあります。実際に、「冷え性」である、という自覚を持つ女性は多いです。冷え性とは、外部の気温にかかわらず慢性的に手足などに冷えを感じている人のことをいいます。西洋医学の分野では、冷え性は病気扱いではありません。

ただ、昔から「冷えは万病の元」といわれているように、冷えはさまざまな症状の原因となります。身体が冷えると風邪を引きやすくなることは、多くの人が実感している事実です。

さらに、冷えはうつ病とも関係しているといわれています。実際に、うつ病を患っている人の多くが低体温であることがわかっています。そこで、ここでは冷えと気力低下による「うつ状態との関係性」について述べていきます。

うつ症状が起こるメカニズム

うつ病とは、何らかの原因で脳内の神経伝達物質が減ることなどによって、さまざまな精神症状が出る病気のことをいいます。うつ病が起こるメカニズムは正確には解明されていません。ただ、ストレスはうつ病が発症する原因の一つであることがわかっています。

ストレスを感じると、身体は緊張状態となって心拍数が上がり、呼吸数が増えます。また、脳内には「ノルアドレナリン」という神経伝達物質が分泌されて、集中力や判断力が向上します。

このとき、ストレスが長く続くと、ノルアドレナリンが足りなくなって分泌量が低下していきます。そして、ノルアドレナリンが枯渇して分泌されなくなると、意欲や判断力が低下する「うつ症状」が現れます。

また、ストレスが長く続くと「セロトニン」という神経伝達物質も分泌されにくくなります。脳内にセロトニンが不足すると、落ち込みやすくなるなどのうつ症状が現れます。

このように、脳内の神経伝達物質が減少するとうつ症状が現れやすくなります。そして、身体の冷えは、このような脳内の神経伝達物質を減少させやすくして、うつ症状を起こしやすくします。

うつ症状の原因:冷えによる血行不良

身体が冷えていると、熱を体外に逃さないために血管が収縮します。この状態が長く続くと、血管を通れる血液の量が少なくなるため血行が悪くなります。

前述のように、うつ病の原因の一つは脳内の神経伝達物質が減少することです。脳内で神経伝達物質が分泌されるためには、これらの材料が脳内に運ばれる必要があります。

このとき、血行が悪いと、脳内に神経伝達物質の材料がうまく運ばれません。そのため、脳内での神経伝達物質の分泌が滞り、うつ症状が現れやすくなります。また、脳内の前頭葉の血行不良もうつ病の原因の一つとされています。このように、冷えによる血行不良はさまざまな理由でうつ病の原因となるといえます。

うつ症状の原因:体温低下による酵素の働き低下

人間の身体は、さまざまな酵素の働きによって健康が保たれています。酵素とは、食べ物の消化や代謝のために働いている物質のことです。

これらの酵素が働くためには、一定の温度が必要です。最適な温度は酵素によって違いますが、おおよそ36.5℃~37℃といわれています。

身体が冷えて体温が低下すると、酵素の働きが弱まって消化や代謝の能力が下がります。すると、摂取した食物から栄養素を吸収できなかったり、栄養素を活用できなかったりします。

前述のように、脳内で神経伝達物質が分泌されるためには材料が必要です。また、分泌を助ける栄養素も不可欠です。そのため、体温の低下によって酵素の働きが弱くなると、栄養を利用できないことによって神経伝達物質の分泌がうまくいかなくなるのです。

うつ症状を防ぐための冷え対策

これまでに述べたとおり、冷えはうつ症状の原因となります。そのため、冷えを防ぐことがうつ対策の一つになるといえます。

体内の熱のほとんどは、筋肉によって生み出されています。一般的に、男性に比べて女性のほうが筋肉量は少ないです。特に、室内で過ごすことが増えている現代では、筋肉が不足している女性が増加傾向にあります。そのため、冷え対策には定期的に運動することが何より大切です。

さらに、歩行などのリズム運動は、セロトニンの分泌を促します。また、このような運動をすることによってストレスから身体が開放されやすくなります。前述のように、ストレスはうつ病の原因であるとともに、冷えの原因ともなります。

また、冷え対策には食事をしっかり摂ることも大切です。通常、食後には体温が上がります。ただ、食事を野菜だけにしたり糖質を完全に抜いたりすると、食後に体温が上がりにくくなります。

このような偏った食事を摂ると、神経伝達物質の材料となる栄養素が不足しやすくなります。そのため、うつ症状を防ぐためにはバランスのいい食事をしっかり摂ることが大切です。

日本人の平均体温は、36.89℃といわれています。ただ、現代人の女性では、体温が35℃台という人が珍しくありません。

自分の体温を自覚することは、冷え対策になるだけではなく、自らの月経周期を知ることにもつながります。月経周期がわかると、冷えやすい時期やうつ症状が現れやすい時期が推測しやすくなります。

そのため、うつ対策としてだけではなく体調管理のために、毎日の体温を記録してこれまでに述べたような工夫を行うことが大切です。