かくれ冷え症:冷えと手足のほてりとの関係性

e049d9167e788968ac96685ef7d555de_s

暖かい季節でも、手足の冷えや寒さなどを感じる人がいます。このような人は「冷え性」と呼ばれ、西洋医学において病気ではないとされています。

ただ、「冷えは万病の元」といわれているように、身体が冷えているとさまざまな不調が起こりやすくなります。

最近では、身体は冷えているのに自覚症状がないというような「かくれ冷え症」の人が増えています。かくれ冷え症では、「むしろ手足がほてるくらいだから冷え症ではない」という人が多いです。

手足のほてりと冷え症は、一見反対の現象に見えて無関係のように思えます。ただ、これらは同じ原因で起こるため、手足がほてるということは身体が冷えている可能性が高いのです。そこで、ここでは冷え症と手足のほてりとの関係性について述べていきます。

手足のほてりと冷え症の関係性

成人の平熱は36~37℃であり、これを大きく逸脱することはありません。これは、人間の身体が正常に働くためには、一定の温度が必要であるためです。

例えば、人間の身体を構成するタンパク質の一部は、45℃を超えると凝固し始めます。また、体温が21℃以下になると心臓が正常に機能しなくなります。このように、平熱から大きく離れた体温になると、生命の危機が訪れます。

ただ、人間はこのような気温下で生活しても、簡単には命を落としません。これは、人間には体温を調節して37℃前後に保つ仕組みが備わっているためです。自律神経系は、このような体温調節機能の一部を担っています。

自律神経系とは、身体の機能を保つために無意識下で働く神経系のことをいいます。自律神経には、交感神経系副交感神経系の2つがあります。これらは、互いに正反対の働きをします。

交感神経系が働くと、血管が収縮して脈拍数が上がり、手足などの筋肉に血液が集中します。こうすることによって、身体のパフォーマンスを向上させて、獲物を捉えたり生命の危機を回避したりしやすくしているのです。

血液は、酸素や栄養素とともに熱を運ぶ役割があります。そのため、交感神経が優位になると、熱を持った血液が集まることによって手足が温まります。また、酸素や栄養素が供給されることによって、細胞の熱産生量が多くなって手足が温かくなります。

このように骨格筋への血液供給が高まると、代わりに消化器官への血液供給量が低下します。前述のように、交感神経が優位になるということは命の危険などのような緊急性が高い状態ということです。そのため、消化を後回しにしてこれらを行おうとするため、消化器官への血液供給が少なくなるのです。

ただ、消化器官への血液供給量が減ると、酸素や栄養素が不足することによって細胞の代謝能力が低下します。すると、消化器官などによる熱産生量が低下し、腹部が冷えやすくなります。

さらに、交感神経の優位が長く続くと、血管が細くなった状態が続くため、体内を巡る血液の量が低下して血行が悪化します。すると、手足への酸素や栄養素、熱の供給が少なくなって冷えやすくなります。

手足が冷えると、身体は手足を温めるためにさらに血液を送ろうとします。すると、腹部への血液供給がさらに少なくなり、手足のほてりと腹部の冷えが悪化します。

このように、交感神経の優位が長く続いたり身体が冷えすぎていたりすると、「手足のほてり」と「腹部の冷え」という一見正反対の現象が起こるのです。

冷えによる手足のほてり対策

冷えによる手足のほてりは、自律神経系のバランスが悪くなっていたり、身体が冷えすぎたりすることによって起こります。そのため、身体を温めて自律神経のバランスを良くすることが手足のほてり対策に有効です。

現代人は、交感神経系が優位になりやすい環境にあります。そのため、意識して副交感神経系を優位にして交感神経系の働きを抑える必要があります。

副交感神経系は、身体がリラックスしているときに優位になる神経系です。そのため、身体を意識してリラックスさせると、副交感神経系が優位になって血流が改善しやすくなります。

38℃程度の温めのお湯に20分程度浸かると、身体を温めるとともに副交感神経系が働きやすくなります。そのため、手足のほてり防止には、毎日湯船に浸かることをおすすめします。

また、手足のほてり対策には食生活の改善が欠かせません。自律神経系が働くためには自律神経系のスイッチを押す物質が分泌される必要があります。このような物質の材料は、食事から摂取する栄養素です。そのため、栄養が偏った食事を続けると、自律神経系のバランスが乱れて冷えや手足のほてりなどを生じやすくなります。

食事を外食やコンビニなどで済ませていると、栄養が糖質と脂質に偏るため前述の物質分泌が妨げられます。そのため、なるべく自炊を心がけて、外食を利用するときは野菜を多く含む和食などを選ぶように工夫しましょう。

手足がほてっているからといって、冷やすと身体はより手足を温めようとして逆効果になることがあります。手足のほてりとともに腹部の冷えや35℃台の平熱などが見られる場合は、身体を温める工夫を行いましょう。

ちなみに、就寝前に手足がほてるのは生理的な現象であるため、心配する必要はありません。このようなときは、手足を適度に冷やすと眠りにつきやすくなります。

前述のように、冷えはさまざまな病気の原因となります。そのため、「手足のほてり」という身体からのSOSをキャッチして、これまでに述べたような対策を行うことでさまざまな不調を防止しましょう。