ステロイドによる冷えを防ぎ、体を温める温熱療法を実践する

ステロイドを長期間飲んでいると、手足が冷えてくるようになります。私も経験しましたが、手足に多くのかゆみのないしもやけ(以下、皮下結節といいます)を作ってしまったり、関節が痛くなったりするなど、体が冷えるととてもつらかったものです。

体温が下がると免疫力や基礎代謝体内酵素活性が低下するので、さまざまな病気にかかりやすくなります。例えば「風邪をひきやすくなる」「アレルギー症状が出やすくなる」「がんにかかりやすくなる」などです。

体調を維持するためには、体温を上げることが欠かせません。ただでさえ持病があるのですから、これ以上病気は増やしたくないものです。

それでは効果的に体を温めるためには一体どうすれば良いのでしょうか。ここでは道具や入浴法を活用し、体を温める方法を紹介します。

道具や入浴法を活用し、体を温める

まずステロイドによる冷えを解消し、体を温めるためには、道具を活用したり入浴法を試したりするようにしましょう。ステロイドを飲み続けていることによって副腎が働かなくなっているため、体温を上げるために必要な副腎皮質ホルモンが体の中で作り出せなくなっていて、道具を活用するのが効果的だからです。

以下に紹介する方法を行うことで体温を上げ、冷えによる皮下結節や関節痛を和らげることができます。

湯たんぽを使う

昔ながらの湯たんぽは熱量が大きいので、体を温めるのに大変適しています。自己免疫疾患によって冷えが強くなる方は、冬だけでなく、春、夏、秋にも使うと良いでしょう。「湯たんぽを夏場も使うのか」と驚かれるかもしれませんが、オフィスで働く方は、夏場は冷房にさらされる機会が多くなります。そこで、冷房対策として、夏こそ湯たんぽを使ってください。

副腎皮質ホルモンには痛みや苦しみを和らげる作用や体温を上げる作用があるのですが、ステロイドを飲み続けていると副腎が働かなくなってしまいます。そのため、副腎皮質ホルモンを自分の体で作ることができなくなってしまいます。

薬で飲んだ分量の副腎皮質ホルモンしか体の中にないため、体は冷房の刺激があっても体温を上げることができず、夏の冷房の時期は体が冷えて大変苦しい思いをします。

私自身も自己免疫疾患によって長期間ステロイドを服用していましたが、夏の冷房の時期になると心底疲れてしまい、いつも体調を崩していました。そのような私を救ってくれたのは湯たんぽだったのです。夏場に湯たんぽを使うことによって、使わなかった場合よりもずっと体のだるさが和らぎました。

なお、布団の中で使う場合は「寝るときには湯たんぽを外に出す」「湯たんぽを入れる袋を二重にする」「タオルを巻く」「靴下をはいて寝る」といったことを行って低温やけどを防ぐ工夫をしてください。

湯たんぽはさまざまな材質でできたものがありますので、お好みに応じて使い分けると良いでしょう。

ハクキンカイロを使う

ハクキンカイロも体を温めるのに有効です。大きな湯たんぽは外出先だと使いにくいので、繰り返し使えて小さくても熱量の大きいハクキンカイロが便利です。

ハクキンカイロとは金属製のケースにベンジンを入れ、火をつけて暖かくするというものです。雪山登山に行く人々に愛用されるほど、大変暖かいです。ハクキンカイロは、使い捨てカイロの13倍もの熱量があります。

使い捨てカイロでも体を温めることはできますが、ごみが増えてしまいます。ハクキンカイロはごみが出ることはないので、環境にも優しく大変お勧めです。

ズボンをはいているようでしたら、まず前の二つのポケットにハクキンカイロを左右一つずつ入れます。20分ぐらいたちましたら後ろのポケット二つにハクキンカイロを入れ替えます。これを繰り返すことで腰回りを温めることができます。

なお、一度に4個使えば入れ替える必要はなく、外出先で合ってもずっと体を温めてくれます。ただ管理は楽になるのですが、低温やけどにご注意ください。

ハクキンカイロには専用の袋が付いていますが、さらにハンカチで包むなどすると低温やけどになる可能性が低くなります。

女性ですとスカートにポケットがなく、腰周りを十分に温められない場合もあるかと思います。そのようなときは、スカートの内側にハクキンカイロ用のベルトを使い腰周りを温めると良いでしょう。

ハクキンカイロ用ベルトは一つしかハクキンカイロを入れられないので、仙骨とおへその下あたりを交互に温めるようにするか、カイロとベルトを二つずつ使うと体がポカポカとしてきます。

入浴剤入りのお風呂に入る

ステロイドによる冷えを解消する方法として、お風呂も効果的です。体が冷えたときにお風呂に入ると、大変温まります。ゆったりと半身浴をすると気分もリラックスし、憂うつな気分が晴れていくこともあるでしょう。

このとき入浴剤を入れて入浴すれば、さらに体を温めることができます。

私は自己免疫疾患によって15歳から23歳まで入院することが多かったのですが、入院している方々の入浴している時間を見ていると、自己名義疾患を患っている方々は、ほかの疾患の方に比べて比較的入浴時間が短いように感じました。

入浴時間の短い方々に「ゆっくりお風呂に入ることができますか?」と伺ったところ、「疲れるから長く湯船に入っていられない」「息苦しいから、ついついカラスの行水になってしまう」という答えが多かったのです。

自己免疫疾患の方々が長湯できないのは、体の中に炎症があるからです。

体に炎症があると血流が悪くなり、呼吸だけでは体全体に必要な酸素を十分取り込むことが難しくなります。そのため運動や入浴で血行が良くなると、体に必要な酸素が十分に取り込めないので、息苦しくなってしまうのです。

当時、私自身も湯船の中に長くつかっているととても苦しく、長時間半身浴をするなんてとてもできませんでした。

ただ体の冷えはつらく、どうにかして半身浴を長時間できるようになりたいと私は思っていたので、さまざまな入浴剤を試しました。しかし市販品では自分に合ったものがなかなか見つかりません。どうしたらいいのかとても悩みました。

試行錯誤を行い、最終的に行き着いたのが、「ヒマラヤの奥地で取れたバスソルト」のほかに、「カレンデュラ(キンセンカ)のハーブ酒」、「ハイペリカム(オトギリソウ)のハーブ酒」、「ケブラコのハーブ酒」が入ったお風呂です。これら三つのハーブを20滴ずつ入れ、そこにバスソルトは20グラムほど加えたお風呂は体を温めてくれます。また、カレンデュラやハイペリカムには心を癒やす作用があり、ケブラコには酸素を体に届けてくれるような作用があります。

バスソルトとハーブのお酒を入れて入浴するようになってから、あんなに息苦しかったのがうそのように長時間半身浴をすることができるようになりました。長時間入浴すると汗をかくこともできるようになって、次第に体温調節が上手にできるようになり、体調も楽になっていったのです。

長時間半身浴をする際は、退屈しないように法を持ち込んで読書をしたり、タブレット端末を持ち込んで動画を見たりして時間を過ごしても良いでしょう。

または照明をつけずに、ろうそくの火だけで入浴時間を楽しんでも問題ありません。ろうそくの光は心を落ち着けるので、精神を安定させる意味でもすぐれています。

アロマセラピーが好きな人は、浴槽のお湯にオイルを垂らしてみるのも一つの方法です。自分の体調に合う香りであれば、リラックス効果もあります。リラックスすれば筋肉の緊張が弛(ゆる)むので、ますます体が温まることでしょう。

岩盤浴に行く

岩盤浴とは、温めた石が部屋の中に置いてあり、そのうえに寝そべって汗をかくというものです。サウナとちょっと似ています。

岩盤浴とサウナの違いは、部屋の中に暖めたい石があるかないかと、温度や湿度です。ドライサウナが室温90℃から100℃、湿度10パーセント前後なのに対し、岩盤浴では室温45℃、湿度70%から80%前後の施設が多いです。湿度もほどほどにあるので、ドライサウナが苦手な方でも楽しむことができます。

岩盤浴に使われる天然鉱石からは遠赤外線、マイナスイオンが放出されており、それらを浴びることで体の中にたまっている老廃物を出すことができるといわれています。

私が初めて岩盤浴に入ったのは28歳の頃でしたが、最初のうちは浴場が規定した時間である20分間入っていることができず、半分の10分間で出てきてしまっていました。その理由は、体の中に炎症があって、十分に酸素を取り込めない状態だったからです。

ただ、短い時間しか入れなかったにもかかわらず、体はすごく温まっているのが分かりました。当時ステロイドのほかに冷房の冷えにも悩まされていたので、体が温かくなり、生き返った気分になったものです。

岩盤浴が気に入ったので、数回試してみました。ただ、いつも10分間しか中にいられません。

私は岩盤浴に長時間入れるようになりたかったので、先ほどもご紹介したカレンデュラのハーブ酒、ハイペリカムのハーブ酒、ケブラコのハーブ酒をそれぞれ水筒の水に数滴入れ、それを飲みながら岩盤浴をしてみました。すると徐々に長い時間入ることができるようになり、最終的には規定の20分間浴場にいられるようになりました。

バスソルトは「食用としてはならない」ことが説明書きに書かれていたので、入れませんでした。

しっかりと汗をかき体の中の老廃物を出すこともできたので、体調も良くなっていきました。
デトックスをしたいと思っている方は、岩盤浴がお勧めです。

銭湯に行く

さらには銭湯も効果的です。

銭湯には大きな浴槽があり、家庭のお風呂よりも手足を伸ばして入ることができます。時には自宅のお風呂を背にして、大浴場を楽しむのも一つの方法です。

お湯は、お風呂の浴槽にただ入っている状態より、循環しているほうがより温かくなります。銭湯の浴槽は家庭用の浴槽よりもたくさんお湯が入っているので、圧力もほどよくかかり、血液の循環も良くなっていくのです。

また、銭湯には電気風呂、気泡風呂、薬湯風呂などがあるので、家庭では楽しめないような種類のお風呂にも入ることができます。スーパー銭湯に行けば、お風呂以外の施設も付いているので、ちょっとしたレジャーにもなり、気分転換に最適です。

私は体調が悪かったとき、近所の看護師さんに銭湯に行くよう勧められたことがあります。なぜ銭湯に行くのかというと、「値段が安い」「自宅のお風呂より大きな湯船を利用したほうが体は温まる」「近所にあるので、何度も通える」という理由からでした。

私が住んでいる地域では、黒湯(くろゆ)と呼ばれる温泉が湧きます。これは東京都と神奈川県の間を流れる多摩川沿いの地域で沸いている温泉です。近所にはこの黒湯引いて営業している銭湯が何軒かあるので、遠くの温泉地に行かなくても、手軽に温泉に入ることができるのです。

ちなみに、銭湯は地域ごとに価格が設定されています。同じ金額なら、普通のお湯の銭湯より黒湯に入れるほうが良いだろうと考え、私は黒湯のある銭湯によく通ったものです。

わざわざ遠くまで行く必要もなく、安上がりで、体調も良くなったので、良いことづくしだったのを覚えています。

ホットカーペットや電気毛布は使わない

ただ道具を活用して体を温めるとき、何でも活用して良いわけではありません。使ってはいけない道具も存在します。それはホットカーペットや電気毛布です。

それでは、なぜこれらを活用して体を温めてはいけないのでしょうか。

粘膜を乾燥させてしまう

冬になると湿度が下がる理由を、あなたはご存じでしょうか。

空気中の湿度は、温度が高くなればなるほどたくさんの水分を取り込んでおくことができます。逆に温度が低くなればなるほど、空気中に水分を蓄えておくことができなくなるのです。

ホットカーペットや電気毛布を使うと、今度は高くなっても空気中の水分は増えないので、結果的に湿度が下がってしまいます。そして熱で体の水分が奪われ、肌の粘膜を乾燥させてしまいます。

ステロイドを飲んでいると、ただでさえ感染症にかかりやすいです。ここで粘膜が乾燥してしまうと、より感染症にかかりやすくなってしまいます。

自己免疫疾患の方にとって感染症は大敵です。病気を再発させる原因になってしまいます。

そのため、ホットカーペットや電気毛布を使うことはできるだけ避けたほうがよろしいでしょう。もし使う場合にも、必要最小限にとどめておいたほうが良いです。

電磁波の影響が大きい

またホットカーペットや電気毛布を使ったあと、体がだるくなることがあります。だるさの原因は、電磁波が影響している可能性があるといわれています。

ホットカーペットや電気毛布では、電磁波が発生しています。電磁波そのものは強くないのですが、長時間使い続けるため、体への影響が大きくなってしまうのです。電磁波を長時間浴びることは、避けたほうが良いです。

まとめ

ステロイドを長期間飲み続けていると、体温を上げてくれるはずの副腎皮質ホルモンを体の中で作ることができません。そこで、自己免疫疾患の症状を安定させておくには、熱を体の外側から補って、体への負担を減らす必要があるのです。

温熱療法を行っていると血行が良くなり、体調も良くなってきます。

体温が低いことによって起こるさまざまな疾患も予防できるので、これ以上持病を増やさないためにも体を温めることが大切です。