月経前の眠気や疲労感:PMSと甘い食品(糖質)摂取の関係性

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一般的に、女性は甘党が多いです。カバンの中にチョコレートなどを常備している人も多く、女性にとって自分へのご褒美といえばスイーツが代表的です。

また、世の中には甘い食品があふれており、飲み物を含めると一日に甘いものを摂取しない人はほとんどいません。特に、月経前に甘いものの摂取量が増える女性は多いです。

このような甘さを感じさせているのは、ショ糖などの「糖質」です。糖質にはいくつか種類があり、ご飯やパンなどに含まれるでんぷんも糖質の一種です。糖質は、分解されるとブドウ糖や果糖などの「単糖類」になってエネルギー源となります。

このような糖質の過剰摂取は、眠気や疲労感を起こす原因となります。特に、月経前にはこのような症状が起こりやすく、糖質が多く含まれる甘い食品を摂取することで症状が悪化することがあります。

そこで、ここでは月経前に起こる眠気や疲労感と甘い食品(糖質)の摂取との関係性について述べていきます。

月経前の眠気や疲労感のメカニズム

月経前には、さまざまな不快な症状が起こりやすいです。このような月経前に起こる不快な症状を「月経前症候群(PMS)」といいます。

PMSを起こす原因の多くが、ホルモンバランスの変化によるものです。月経前に起こる眠気や疲労感なども、ホルモンバランスが変化することによって起こります。

月経前は、月経後に比べて「エストロゲン」という女性ホルモンの分泌量が低下しています。エストロゲンが低下すると、脳内の「セロトニン」という神経伝達物質も低下します。セロトニンは、睡眠を促すホルモンである「メラトニン」の材料です。

エストロゲン分泌量の低下によってセロトニンの量が少なくなると、メラトニンがうまく作られにくくなります。そのため、眠りの質が下がって昼間も眠気が取れなかったり疲れが取れにくくなったりします。

また、プロゲステロンには、妊娠に備えて体温を上げる働きがあります。プロゲステロンは、月経の約2週間前から分泌され始め、月経が来る頃に分泌量が少なくなります。

人間の体は、眠りに入るときに体の奥の体温(深部体温)が下がります。これによって、体の働きを最低限にして身体を休める準備を行います。ただ、月経前などにプロゲステロンの働きによって体温が上がっていると、就寝前の体温低下がうまくいかないことがあります。そのため、月経前には寝付きが悪くなったり眠りの質が低くなったりします。

このように、月経前は2つの女性ホルモンの影響で睡眠の質が下がりやすいです。これによって疲労がとれにくくなるため、月経前には眠気や疲労感が起こりやすいのです。

PMSと糖質摂取の関係性

プロゲステロンには、体温を上げるだけではなく食欲を増加させる働きもあります。また、月経前は特に甘いものが食べたくなりやすいです。

これは、ブドウ糖に一時的に脳内セロトニンを増やす働きがあるためだといわれています。前述のように、月経前は脳内セロトニンが減少しています。そのため、甘いものを摂取して脳内セロトニンを増やそうとしているのです。

セロトニンは、「トリプトファン」というアミノ酸から作られます。ただ、トリプトファンはナイアシンというビタミンの原料になったり、エネルギー源になったりもします。そのため、摂取したトリプトファンのすべてがセロトニンのために使われるわけではありません。

糖質が分解されたときに生成される「ブドウ糖」は、脳内のセロトニン合成を助ける働きがあります。そのため、摂取したトリプトファンが優先的に脳内セロトニンのために使用されるようになり、一時的に脳内のセロトニン量が増加します。

ただ、このセロトニン増加は一時的なものであるため、すぐに元に戻ります。また、トリプトファンの摂取量が増えているわけではないので、材料不足によってむしろセロトニン量が減ることもあります。

これによって脳内のセロトニン量が減ると、また甘いものが食べたくなります。そのため、甘いものが手放せなくなる悪循環が生まれます。

このような悪循環が起こると、甘いもので空腹を満たすため、身体に必要な栄養素を含む食品の摂取量が減ります。

ホルモンのバランスが保たれるためには、さまざまな微量栄養素が必要です。特に、月経前にはビタミンB6とマグネシウムの必要量が高まります。実際に、重症なPMSがある女性にはこれらの栄養が足りていないということがわかっています。

また、偏った食事によってトリプトファンの摂取量も低下しやすいです。そのため、甘いものを食べても脳内セロトニンが分泌されにくくなるため、甘いものの摂取量が更に増えたり、脳内セロトニンの減少によってメラトニンが不足して睡眠障害が起こりやすくなったりします。

さらに、甘い食品を摂取すると血糖値が急に上がるため、身体が血糖値を下げようとします。すると、血糖値が急降下したり、血糖値が通常よりも下がり過ぎたりします。

血糖値が下がり過ぎると、脳などの組織にエネルギー源であるブドウ糖が届けられないため、眠気や疲労感などが起こります。また、血糖値が下がると空腹感が起こる上に、疲労感によってさらに甘いものが食べたくなります。

このように、甘いものの摂取はPMSによる眠気や疲労感を悪化させるだけではなく、栄養素の不足によってPMS自体を悪化させてしまいやすいのです。

現代の食事では、甘いものだけではなく、白飯やパンなどの主食によって糖質が過剰摂取気味になっています。そのため、PMSによる疲労感や眠気が強い人は、これら糖質の摂取を控えめにして、間食をナッツなどに置き換えることがおすすめです。

このとき、完全に糖質摂取を制限すると、反動で過食してしまったり、エネルギー不足によって疲労感が起こったりすることがありますので注意が必要です。極端な食事制限は避けて、バランスの良い食事を心がけましょう。