月経前のイライラ:PMSの精神症状と甘い食品・糖質摂取の関係性

d9200fa6251401decc2e9fb1059a61f8_s

月経前の女性がイライラしやすいことは、よく知られています。月経前は体内のホルモンバランスが変化するため、このような不快な症状が起こりやすいです。このような月経前に起こる症状を、「月経前症候群(PMS)」といいます。

また、月経前には甘いものが食べたくなりやすいです。普段甘いものを好まなくても、月経前だけは食べたくて仕方がなくなる人もいます。このような月経前の食欲増加や食事の嗜好変化もPMSの一つです。

ただ、月経前に甘いものを食べ過ぎると、PMSによるイライラなどが悪化しやすくなります。そこで、ここではイライラなどのPMSと甘い食品摂取の関係性について述べていきます。

月経前にイライラなどの精神症状が起こるメカニズム

前述のように、月経前はホルモンのバランスが変化します。特に、月経の約1週間前には「エストロゲン」という女性ホルモンの分泌量が低下します。

エストロゲンは、主に妊娠の準備のために働くホルモンで、さまざまな作用があります。そのうちの一つに、精神を安定させる物質である「セロトニン」の働きを助けるというものがあります。

セロトニンには、精神を安定させるだけではなく、「ノルアドレナリン」や「ドパミン」などが過剰に働かないように抑制する働きもあります。

ノルアドレナリンは、ストレス時などに分泌される神経伝達物質の一つで、過剰になると攻撃的になったりイライラしたりします。脳内のセロトニンが不足すると、ノルアドレナリンが過剰に働くことによってイライラなどの精神症状が起こりやすくなります。

また、セロトニンが不足すると、「メラトニン」という睡眠ホルモンの分泌がうまくいかなくなります。メラトニンが不足するとよく眠れなくなるため、疲れが溜まりやすくなります。

このような疲れを感じさせている物質は「乳酸」です。乳酸とは、身体がさまざまな活動をしたときに生成される老廃物のことです。乳酸には、セロトニンの働きを抑制する作用があります。これによって、さらにセロトニンが不足してイライラなどの症状が悪化しやすくなります。

月経前に甘いものが食べたくなるメカニズム

月経の約2週間前から、「プロゲステロン」という女性ホルモンの分泌量が増加します。プロゲステロンには、妊娠したときに備えて栄養を蓄えようとする働きがあります。そのため、この働きによって月経前に食欲が増加します。

また、前述のように、セロトニンはドパミンの過剰な働きを抑制します。ドパミンが過剰に働いていると、食欲を我慢しにくくなります。月経前は、エストロゲン低下によってセロトニンが不足しやすいため、ドパミンが過剰に働いて食欲を抑制しづらくなります。

このように、月経前は複合的な理由によって食欲が増加します。このとき、数ある食品の中でも特に甘いものが食べたくなるのは、ブドウ糖に「脳内セロトニンの量を一時的に増やす」という働きがあるためです。

一般的に、和菓子や洋菓子などに含まれている糖の多くが「ショ糖」です。ショ糖は、体内で分解されて果糖やブドウ糖など「単糖類」となり、エネルギー源になります。このような、最終的にエネルギー源となる糖を「糖質」といいます。米やパン、イモ類などに含まれる「でんぷん」も糖質の一種で、分解されて単糖類になります。

このような糖質を摂取すると、分解されて生成されたブドウ糖が一時的に脳内のセロトニン量を増やします。特に、ショ糖はブドウ糖に分解されるスピードがでんぷんに比べて早いです。そのため、セロトニンが不足しやすい月経前には甘いものが食べたくなりやすいのです。

甘い食品の摂取とイライラの関係性

前述のように、甘い食品などの糖質は一時的にセロトニンが増えてリラックス状態になります。ただ、この作用はあくまで一時的なものであり、すぐに元の状態に戻ります。また、甘い食品の摂取を繰り返すことによって、脳内にセロトニンが分泌されにくくなります。

また、糖質の摂取は血糖値を急上昇させます。血糖値が急に上がると、反動で血糖値が通常より下がりすぎてしまいます。このとき、身体は「アドレナリン」を放出して血糖値を上げようとします。

アドレナリンは、身体を緊張状態にして攻撃的な精神状態にする物質です。そのため、アドレナリンが放出されるとイライラなどの症状が起こりやすくなります。

このような症状が起こると、イライラを抑えるためにさらに甘いものが食べたくなります。そして、再び甘いものを摂取すると、結果としてアドレナリンが放出されることになり、またイライラしてしまうのです。

さらに、プロゲステロンには血糖値の過剰な低下を起こしやすくする作用もあります。前述のように、血糖値が下がり過ぎると、血糖値を上げるためにアドレナリンが放出されます。

また、既に述べた通り月経前には甘いものが食べたくなったりイライラしたりしやすいです。ただ、月経前に甘い食品などの糖質を過剰に摂取すると、PMSによるイライラなどの精神症状が悪化しやすくなり、さらに甘いものが食べたくなるという悪循環が生まれます。

これを防ぐためには、甘いものの摂取をなるべく控えて規則正しい生活を送ることが大切です。ただ、月経前に食欲が増加するのは生理的なものなので、抑えることが困難です。

また、いきなり完全に甘いものなどの糖質を制限すると、逆効果になることがあります。そのため、間食や糖質の摂取を完全に制限するのではなく、食べ方を工夫することがおすすめです。

食事を摂るときは、白飯やパンなどの前に野菜や汁物を食べるようにすると、血糖値の急上昇を防いでイライラが起こりにくくなります。

また、間食をナッツなどに置き換えると、血糖値の急上昇を抑えるとともに身体に不足しがちな栄養素を補給することができます。甘い食品の摂取は特別なときだけに控えて、これまでに述べたようなことを理解した上で行うことが大切です。

また、適度な運動や規則正しい生活は、セロトニンの分泌を促してイライラを起こりにくくします。そのため、月経前にイライラなどが起こりやすい人は、生活習慣を総合的に見直してみることをおすすめします。