月経前症候群(PMS):月経前におこる便秘の原因と対策

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月経は、健康な女性であれば思春期頃から50歳前後まで毎月起こります。女性が生涯で経験する月経の回数は、約400~500回といわれています。月経は、妊娠するための準備を行う周期の一部です。身体の中は、月経周期に応じて大きく変わっているのです。そのため、女性は月経周期によって体調が変動しやすいです。

特に、月経前にはさまざまな不快症状が起こりやすくなります。このような月経前の不調を、月経前症候群(PMS)といいます。PMSの症状には個人差があり、その種類は200種類を超えるといわれています。

月経前に起こる便秘も、PMSの一つです。そこで、ここでは月経前に便秘が起こるメカニズムとその対策について述べていきます。

月経前に便秘が起こるメカニズム

月経がある女性では、卵胞から卵子が飛び出す「排卵」が毎月起こります。排卵したあとの卵胞は「黄体」という組織に変化して、「プロゲステロン」という女性ホルモンを分泌し始めます。

プロゲステロンには、妊娠準備を行った子宮内膜を維持させるために、子宮の筋肉を緩める働きがあります。ただこのとき、プロゲステロンは子宮の近くにある腸を動かす筋肉も緩めます。

便は、腸が縮むことによって腸内を進んでいってやがて体外へ排出されます。そのため、プロゲステロンによって腸が緩むと、便が腸内に留まりやすくなり、便秘になることがあります。

また、プロゲステロンには、身体に水分や栄養素を蓄えるためにこれら吸収しやすくする働きもあります。

プロゲステロンによって身体が食物から水分をたくさん吸収すると、その分だけ便の水分が減ります。そのため、便が固くなって外へ排出しづらくなります。このように、プロゲステロンがもつ妊娠のための働きは、便秘を起こしやすくするのです。

月経前に起こる便秘の対策

前述のように、月経前に起こる便秘は生理的なものであるため、完全に防ぐことは困難です。ただ、プロゲステロンを分泌する黄体の寿命は約14日です。そのため、排卵が起こってから約14日後にはプロゲステロンの分泌量が低下します。

また、月経が始まると子宮内膜を体外に排出するために、子宮の収縮が起こります。このとき、腸が子宮の収縮につられて動きやすくなります。そのため、月経前の便秘は月経によって解決することがほとんどです。

ただ、便秘は肌荒れや肥満の原因の一つです。また、重症化すると吐き気や頭痛を伴って日常生活が困難になることがあります。

プロゲステロンの影響による便秘は、腸の働きの低下と便の水分不足によって起こります。そのため、これらを防ぐ生活習慣を身につけることで、プロゲステロンによる便秘を改善したり軽減したりすることができます。

排便をするためには、便が一定の量に達する必要があります。そのため、ダイエットなどによって食事量が低下すると、便の材料が減って排便が起こりにくくなります。

排便を促すためには、しっかり食事を摂るとともに食物繊維の摂取が有効です。食物繊維は人体ではほとんど吸収されないため、そのまま便になります。つまり、食物繊維を摂取すると結果として便の量が増えるため、排便が起こりやすくなるのです。また、食物繊維には腸内の善玉菌を増やす働きもあるといわれています。

また、運動不足やストレスも腸の働きを悪くさせる原因になります。定期的な運動を心がけて、一日に一回リラックスできる時間を取り入れることが大切です。

便秘予防には、水分補給をしっかり行うことも大切です。現代の日本人は、水分補給をお茶やコーヒー、清涼飲料水などで行うことが少なくありません。

ただ、これらには水分の排出を促したり水分の必要量を増やしたりする働きがあります。そのため、お茶やコーヒー、清涼飲料水などで水分補給をすると身体に水分が足りなくなって便秘が起こりやすくなります。一方で、水にはこのような作用はありません。そのため、水分補給には水が最適なのです。

喉の渇きを感じるときには、すでに体内に水分が足りていません。便秘の予防には、喉が渇く前に水分を補給するクセをつけることが大切です。

また、月経前における便秘は、市販の医薬品(一般用医薬品)によって治療することが可能です。一般用医薬品の便秘薬は、「腸の動きを活発にする医薬品」と「便の水分を多くしてやわらかくする医薬品」に大別できます。

前者の医薬品は、薬が腸を動かすので効果を早く実感できることが多いです。ただ、これを常用すると、腸が薬なしでは動きにくくなるため重症な便秘に繋がることがあります。また、腹痛を伴うことも多いです。

後者の便秘薬は、水分不足で固くなった便に水分を含ませるため、腹痛を伴うことはありません。ただ、月経前には腸の働き自体が低下しているため、効果の実感には時間がかかることがあります。

また、排卵抑制剤(ピル)の服用により便秘を防ぐという手段もあります。ピルの服用によって排卵が抑制されると、黄体ができないためプロゲステロンが分泌されません。ピルには、PMS防止という点でメリットがありますが、副作用が起こるリスクがあります。そのため、症状が軽い人が安易に使用するべきではありません。

ただ、吐き気を伴う便秘が定期的に起こるなどの症状が重いPMSは、生活の水準を著しく下げることがあります。そのようなときは、無理をせず専門の医療機関に相談して、ピルの服用などで治療を行うことが大切です。